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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科21巻8号

1967年08月発行

雑誌目次

図譜・250

巨大なParagangliomaの1例

著者: 小池六郎 ,   横川正之

ページ範囲:P.676 - P.677

 患者 69才,家婦。
 主訴 腹部膨隆。

図譜・251

泌尿器科的症状を示した卵巣皮様嚢腫

著者: 伊藤鉦二 ,   劉自覚 ,   田村公一

ページ範囲:P.678 - P.679

 患者 上平某,22歳,女子,看護婦。
 主訴 腰痛と血尿。

綜説

尿路結石症の経験

著者: 楠隆光

ページ範囲:P.681 - P.691

 尿路結石症は,今日泌尿器科で最も多い疾患である。故に,本症について正しい知識をもつことは,極めて大切である。私は第17回日本医学会総会において,尿路結石症について特別講演をするのを機会に,大阪大学泌尿器科における過去10年間の経験をまとめて見た。ここにその要点を述べたいと考えた。

Urological Letter

逆行性腎孟撮影にBraasch Bulbの使用,他

ページ範囲:P.691 - P.691

 最近は造影剤の大量使用により,逆行性腎孟撮影法の必要性が著しく低下してきた。点滴静注法とか2回静注法あるいは大量一回静注法などで,腎盂腎杯系や尿管系が充分よく描出されることについての研究はかなり多い。大量造影剤使用法の唯一の禁忌は造影剤に対する感受性だけである。
 それでも逆行性腎盂造影法が必要と考えられる例ではBraasch Bulbを用いるとよい。その逆行性尿路X線写真は診断のための要求を充分満たすように思われる。そして,本法は尿管やcollecting sys-temsを傷害することも最も少ない。

検査法

尿路レントゲン撮影のこつ

著者: 大越正秋

ページ範囲:P.693 - P.697

 泌尿器科の診療にあたつては,レントゲン撮影を必要とすることが多く,したがつてよいレントゲン像をとることはよい診療を行なう基礎となるということができる。
 そこで標題は「撮影のこつ」ということになつているが,診療上正しく役に立つフィルムを撮影する方法というような意味で以上述べてみたいと思う。

原著

巨大悪性褐色細胞腫の1例

著者: 大島浩太郎 ,   南後千秋 ,   酒井晃 ,   松原藤継

ページ範囲:P.699 - P.704

Ⅰ.緒言
 近年,諸検査法の発達により褐色細胞腫が少なからず発見され,その報告も次第に増加してきているが,この中で悪性のものは文献的に8〜10%とされている。著者らは最近,肺に転移を伴つた悪性褐色細胞腫を1例経験したので報告する。

尿管異常開口症の4例

著者: 鍬塚寿 ,   坂口浩 ,   高崎登

ページ範囲:P.705 - P.709

Ⅰ.緒言
 尿管異常開口は1674年Schraderによつて初めて報告されて以来,Thom1)は1929年までの文献を調査し785例について詳細な検討を加えている。本邦では1932年高橋,市川2)の両氏が第1例を報告して以来,現在まで志田3)が29例,岩崎4)が60例,仁平5)が81例,松村6)が109例,相戸7)が149例,嶺井8)が171例,入沢9)が190例,中川10)が228例につき詳細な考察を行なつている。
 我々は昭和37年から昭和41年8月までに4例の本症例を経験したのでここに報告し,併せて中川氏以後の本症例につき調査したので報告する。

結石に合併した尿管ポリープの1例

著者: 杉村克治

ページ範囲:P.711 - P.716

Ⅰ.緒言
 従来良性尿管腫瘍は比較的まれでなかんずく尿管ポリープは極めてまれな疾患とされていたが最近2〜3年その報告例が急増している。しかし尿管口より突出しているもの以外は術前診断は依然困難である。またその治療についても未だ一定の見解がない。
 著者は最近結石に合併した本症の1例を保存的手術により治癒せしめ得たので報告し併せて本邦報告例の統計的観察を行なう。

Soft typeの前立腺癌の1例

著者: 市川碩夫 ,   小平潔

ページ範囲:P.717 - P.721

Ⅰ.緒言
 前立腺のSoft type carcinomaを始めて記載したのはYoung(1926)10)であり,以後Thom-pson(1953)7),Weller(1957)9)の報告がある。本邦では岩佐・糸井(1961)4),田崎・高瀬(1964)6)の報告がみられる。この稀有疾患は直腸内指診で前立腺が軟かく触れる点が特有で,これが本疾患の診断を困難ならしめている。また血清酸Phos-phatase値の上昇が認められないこと,レ線上骨吸収性骨転移像を示すこと,抗男性ホルモン療法に反応しないこと,予後は極めて悪いこと等がその特徴であるとされている。ここに報告する症例は自覚症状が現れてより数年経るもなお健康を維持している興味あるSoft type carcinomaの1例である。

破裂腎片残存による尿瘻の1例

著者: 姉崎衛

ページ範囲:P.723 - P.726

Ⅰ.はじめに
 現在の社会状況のもとでは,腎外傷は必ずしも珍しい疾患ではないが,我々は腎破裂の診断で腎摘除術を施行するも,手術創から尿の漏出をみる患者を紹介された。検査により破裂腎片の取残しによる尿瘻であることが判明し,改めてこれを摘除し治癒せしめた。このような経過をとつた腎外傷症例は極めて稀であると思われるので,ここに報告する。

Priapismの1治験例

著者: 中平正美 ,   渡辺節男

ページ範囲:P.727 - P.730

Ⅰ.はじめに
 Priapismは比較的稀な疾患であるが,最近しだいに報告が増加し1930年山本12)の第1例以来,大越等4)は66例,永田等9)84例,中溝等7)95例,古川等11)129例,入沢等2)135例(1965年6月まで)について報告している。我々は中溝等95例後の症例を蒐集し自験1例を加えて現在(1966年9月まで)では150例に達している。その原因は非常に複雑で,かかる患者に接するとき,その由来を即断しがたいが患者の苦痛を見,その後遺症を考えるとき,速やかに適切な治療法を完成することの必要性を痛感する。我々は最近本症の1例を経験したので報告する。

新薬治験

尿管結石症に対するUrocalunの使用経験

著者: 石部知行 ,   嶋田孝宏 ,   平川十春 ,   数田稔

ページ範囲:P.735 - P.736

 日常我々は,激烈な疼痛を主訴として来院する尿管結石症の患者に接した場合,手術的療法を行なうべきか,あるいは保存療法にたよるべきか,判断に苦しむ場合が少なくない。もちろん患側腎の状態は,この問題の大きなきめ手となることはいうまでもないが,我々としてはできるだけ非観血的に治癒せしめ得るならば,患者にとつても一大福音である。従来より保存療法可能な比較的小さな結石に対しては,各種のすぐれた製剤があり,相当の成績を挙げている。
 尿石を生体内で溶解しようとする考えは古くからあつたが,1920年頃より盛んとなり,Albright, Sulkowitchand Chute(1939),Suby et al.(1942),Abeshouse andWeinberg(1951)等によつて研究されてきた。しかしその後幾多の追試者による実験成績からみて現在使用さたている結石溶解剤をもつてしては尿石の溶解排泄は難かしく,あくまで補助的手段に過ぎないとされてきた。

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日本泌尿器科学会の変遷(8)

著者: 田村一

ページ範囲:P.737 - P.738

—坂口賞について(2)—
 坂口賞規定 昭和33年に坂口勇博士が資金として100万円を追加寄附されたことは已に述べたが,それにともない坂口賞規定が次の如く更新された。
 1.坂口賞を継続する目的を以て其の基金として坂口勇は日本泌尿器科学会へ金壱百万円を寄附する。

外国文献

ページ範囲:P.745 - P.746

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.97 No.3, March 1967
 Panel on Urological Education.E.Burns, P.J. Sanazaro, W.G.Anlyan, G.Child, III, P.
Peterson, H.W.Glattly and R.Waller 379 Primary Aldosteronism: Its Diagnosis and Surg-ical Management.R.M.Nesbit 404

内国文献

ページ範囲:P.747 - P.749

腎,腎盂
 ○ 低カリウム血性腎症の1症例,酒井糾:小児科臨床,20;(6), 73, 1967.
 ○ 内科的腎疾患のレノグラムとその解釈,倉光一郎:臨床放射線,12;518,1967.

随筆

上林教授,佐藤恒祐博士と私

著者: 田林綱太

ページ範囲:P.739 - P.739

 臨床泌尿器科雑誌に田村名誉教授が順を追つて記載されている本学会の変遷と,その次に掲載されている各先輩教授の泌尿器科に関する思い出欄を興味深く,かつ有難く拝見している。
 学会の成立に関する屈伸も当然の事乍ら,是等の文中に登場する大先輩の御高名を見る時,瞼に残る俤が走馬燈の如く去来する。その重疎は別として40余年前に馨咳に接した方々である。土肥(慶)先生,田中(友)先生は同郷の先輩でもある。高橋(明)先生,阿久津先生,広川(和)先生,笹川(三)先生,北川(正)先生,岡村(竜)先生,朝倉(文)先生,池田(悦)先生,佐藤(恒)先生,井上(五)先生,石原(正)先生等の御名は本学会の発展に輝しい功績の有つた各位で永く後世に伝えられる可きであり,本欄の如きは時に反覆して後人の仰ぐ糧にもしたいものである。

見聞記

アメリカ外科学会・ニューヨーク地方会(1)

著者: 中村宏

ページ範囲:P.740 - P.743

 アメリカ外科学会のニュヨーク地方会が,2月27日から3月2日までの4日間,ニューヨーク市のホテル・アメリカーナとヒルトン・ホテルで行なわれた。会長はDr.JohnL.Madden(St.Clare's Hosp.,New York)で,泌尿器科分科会の代表者はDr.Victor F.Marshall(Cornell Univ.)だつた。
 学会は一般外科,産婦人科,神経外科,眼科,整形外科,耳鼻咽喉科,形成外科,肛門科,胸部外科,外傷外科,泌尿器科,大学卒業後の教育,看護学の部門に分かれていた。

文献抄録

前立腺癌患者の治療と予後について

ページ範囲:P.743 - P.743

 最近6カ年に,14のVeteransAdministration Hospitalsの泌尿器研究グループが協力して前立腺癌患者2,812名についてその治療と予後の関係を統計的に観察し興味ある結果を得たので報告する。以上の癌患者の内統計資料になり得た症例は2,052名であつた。その内訳は癌病巣が前立腺のみに限局している,いわゆるStage ⅠおよびⅡに該当する症例は計288名であつて,これ等の患者はいずれも根治的手術を施行した。そして約半数に当る146名は術後1日5mgのDiethylstilbestrol経口投与を行ない,残りの142名は偽錠(Placebo)投与を行なつて5年以上の経過を観察した。この根治手術を行なつた288名の5年以内の死亡者は,50名であつたが,女性ホルモン投与群では32名,偽錠投与群では18名という統計結果を得た。この結果から判断すれば手術後の補助療法として女性ホルモン投与で必ずしも延命効果を期待し得ないと云える。
 次に癌の遠隔転移は証明されないが,癌は前立腺外へ浸潤を示している,いわゆるStage Ⅲの患者992名については治療法を4群に分け,第1群256名は女性ホルモン投与のみ(投与法は前記)第2群251名は除睾術と偽錠投与,第3群237名は女性ホルモンおよび除睾術,第4群248名は対象として偽錠のみとして予後を観察した。

教室だより

徳島大学

著者: 藤村宣夫

ページ範囲:P.744 - P.744

 徳島市は吉野川下流の右岸デルタに発達した蜂須賀公の旧城下町である。
 現在の徳島大学医学部は昭和18年徳島県立医学専門学校として発足し,その後,国に移管されて徳島医専となり,昭和20年戦火に焼かれ戦後病院は居を求めて転々とし,混乱と窮乏の時代にどうにか現在の旧徳島連隊跡に腰を落着けるに及び徳島医専は廃校となり徳島医科大学として新発足した。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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