文献詳細
原著
泌尿器科領域における内視鏡の研究
著者: 舟生富寿1 白岩康夫1 及川敬喜1 田代彰1 田村瑞穂1 舘山松男1 小松奎一1
所属機関: 1弘前大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.785 - P.792
文献概要
泌尿器料領域における内視鏡検査法は古い歴史をもち,膀胱鏡検査法をはじめ,すでに前世紀の末に完成されたかの観がある。そのため現在でも,一部では古い形のNitze式膀胱鏡が使用されて居り,最近まで写真用膀胱鏡,手術用膀胱鏡など二,三改良が加えられたに過ぎない。ところが極く最近glassfiberscopeが出現するに及び,今までと全く異なつた方式の膀胱鏡を作製できるようになつた。ひとつはガラス線維を導光体として利用し,体外光源より強力な光を膀胱内に導き照明しようとするものであり,もうひとつはガラス線維は曲つた状態でも像を伝達することを利用し,直線状の内視鏡が挿入できない体腔内をも見ようとするものである。
泌尿器科医として,膀胱鏡所見をカラー写真に収録したり,テレビに受像したり,または腎盂を何ら手術侵襲を加えずに明視しようと願うのは当然であろう。われわれはカラーテレビに用い得るほど明るい膀胱鏡を作製するには,この新しいglassfiber方式を採用すべきであることを知り,それぞれの試作器を作製することにより一応の望みをとげることができた。すなわち数年前より東北大式写真用膀胱鏡を使用し,鮮明なカラー写真の撮影を行なつてきたが,最近改良を加え,テレビ兼カラーシネ用膀胱鏡,カラーテレビ用膀胱鏡を作製した。また昨年は尿管腎盂鏡を完成,腎盂内病変の内視鏡的診断確立に一歩近づくことができた。
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