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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科22巻1号

1968年01月発行

雑誌目次

図譜・261

小児悪性腎盂腫瘍

著者: 中神義三 ,   斎藤喬

ページ範囲:P.4 - P.5

 患者 14才,男子。
 主訴 無症候性血尿。

図譜・262

左腎欠損を伴つた下大静脈後尿管

著者: 水本龍助 ,   福地晋

ページ範囲:P.6 - P.7

 患者 18才,男子,工員。
 初診 昭和41年12月3日。

パネルディスカッション

前立腺炎の臨床(1)

著者: 大越正秋 ,   舟生富寿 ,   斯波光生 ,   西浦常雄 ,   豊田泰 ,   稲田俊雄 ,   河村信夫 ,   水谷栄之 ,   山本隆司 ,   田原達雄 ,   河田幸道 ,   島野栄一郎 ,   宮村隆三 ,   大塚晃 ,   南茂正 ,   上戸文彦 ,   井川欣市 ,   長久保一朗

ページ範囲:P.9 - P.15

 司会 では前立腺炎の臨床についてのパネルディスカツションに入ります。では先ず前立腺炎の診断の問題ですが,西浦先生からどうぞお願いします。
 西浦 慢性前立腺炎の症状は,第1表のごとく漠然としたものが多く,触診所見でも大きな場合と小さな場合があり,硬度は瘢痕や癌と区別しにくく,圧痛も直腸痛と区別しにくい場合があります。前立腺液中の膿球数が多くの人々によつて前立腺炎の診断の根拠となつておりますが,その正常値の限界については全く一致した線が見られておりません(第2表)。O'Schaughnessy等は正常人でも膿球数が著るしく多く認められるものが少なくないとし,前立腺炎の診断,ひいてはその診断に基づいた治療成績に疑問を呈しております。

原著

腎血管性高血圧症における副側血行路について

著者: 中山宏

ページ範囲:P.17 - P.23

Ⅰ.はじめに
 腎血管性高血圧症では患腎への副側血行路が発達し,これが腎盂撮影,動脈撮影によつて間接または直接に観察され,腎動脈狭窄の診断の手がかりとなり得るということはすでに2,3の欧米文献に記載されている。われわれも腎血管性高血圧症の検索中に腎盂撮影,動脈撮影で狭窄側腎への副側血行路形成を認めたので,これらのレ線像を紹介し,あわせて腎動脈狭窄における副側血行路について簡単な考察をおこなつてみたい。

下大静脈後尿管

著者: 杉村克治

ページ範囲:P.25 - P.30

Ⅰ.緒言
 本症は比較的稀な下大静脈の発生異常であるが,そのurogramで典型像を呈するものでは今日,その診断は極めて容易であり,最近の報告例では殆んどが術前診断が行なわれている。しかし稀に典型像を呈しない症例がありurogramの注意深い判読が要求される。これについては土屋らの詳細な記述がある。とはいえ今日,下大静脈後尿管における興味は専らその手術方法に向けられているようである。
 筆者は最近相次いで本症の2例を経験したが,1例はurogramで典型像を呈しており術前に診断しえて腎盂尿管吻合術(Harrill)を行ない,他の1例は非典型像で手術時に初めて本症である事が判明した。以下これらの症例について報告し,1966年末までの本邦例59例について観察し特にその治療について考察する。

下大静脈後尿管の1例

著者: 田中健嗣

ページ範囲:P.31 - P.36

Ⅰ.緒言
 下大静脈後尿管は,胎生期における下大静脈の発生異常に基づく尿管走行異常であり,先天性奇形の一種である。本疾患は従来比較的まれなものとされていたが,尿路X線診断法の進歩によつて,近年必ずしもまれな疾患ではなくなつて来ている。欧米では1893年Hochstteterが剖検上生後数週の男子に,この奇形を発見したのが初めてであり,最初の臨床例は1935年Kimbroughが第1例を報告した。Hochstteter以来1940年までに僅かに27例を数えたに過ぎないが,1952年には58例(Abeshous & Tankin)1),1960年には90例以上,1963年には148例(Wabrosch)2)に達している。本邦では1923年喜多3)が剖検上2例を発見したのが初めてであり,最初の臨床例は1941年山本が第1例を報告した。山本以来1965年までに前川等4)が32例をまとめている。その後の文献を調査した結果,第1表に示すごとく18例を認めた。自験症例は50例目に相当する。
 既に知られているごとく,本疾患に特有の症状は無い。従つて本疾患の診断にあたつては尿路X線検査によつて尿管の異常走行を認めることが重要である。しかしながら第1表に見るごとく,最近は殆んど術前に診断されており,本疾患の診断については諸家の認識の深さにより問題点は少なくなり,いかに合併症ならびに後遺症なく整復するかが残された問題と考えられる。

扁平上皮癌を生じた両側膀胱皮様嚢腫の1例

著者: 石部知行 ,   松木暁 ,   茶幡隆之

ページ範囲:P.37 - P.41

Ⅰ.緒言
 膀胱皮様嚢腫の報告は近時かなり増加したが原発性のものははなはだ少なく,大部分は卵巣その他を原発とし2次的に膀胱へ侵襲したものである。この場合原発巣として最も頻度が高いのは卵巣であり,この卵巣皮様嚢腫が膀胱に侵襲した場合感染症,結石形成,悪性変化など種々の合併症を呈することが知られている。
 我々は60才女子で卵巣より続発した両側性膀胱皮様嚢腫に結石と扁平上皮癌を合併した症例を経験したのでここに報告する。

膀胱周囲血腫の1例

著者: 白岩康夫 ,   舘山松男

ページ範囲:P.43 - P.47

Ⅰ.緒言
 最近,外傷事故が増加の傾向にあるが,下腹部を強打し,膀胱周囲に著明な血腫を生じ腹部腫瘤を主訴として来院,手術により治癒せしめ得た症例を経験したので若干の文献的考察を併せて報告する。

両側性睾丸悪性腫瘍の1例

著者: 赤坂裕 ,   今村一男 ,   甲斐祥生 ,   中西欽也 ,   丸山行孝 ,   菅孝幸 ,   近藤常郎 ,   中川長生 ,   落合元宏

ページ範囲:P.49 - P.56

Ⅰ.緒言
 睾丸腫瘍は現在では決して稀な疾患ではない。その悪性腫瘍も,教室が1964年に行なつた全国統計1)で464例の多きを算している。しかしながら睾丸腫瘍のうち,両側睾丸に発生した悪性腫瘍は非常に稀なものであり,かつ,その病理組織像を両側異にするものは更に珍らしい。本邦ではその記載を4例認めるに過ぎず,欧米においても,わずか10例を算するのみである。
 最近,われわれも36才の男性に,左右の組織所見を異にする睾丸悪性腫瘍を発生した1症例を経験したので,その症例報告とともに,若干の考察を行なつてみたい。

Klinefelter症候群の1例

著者: 白井将文 ,   松下鈆三郎 ,   加賀山学 ,   一條貞敏 ,   竹内睦男

ページ範囲:P.57 - P.61

Ⅰ.緒言
 1942年Klinefelter, Reifenstein and Albrightら1)により初めて本症候群が記載されて以来数多くの報告がなされ,近年染色体の分析が可能になるにつれて本症に対する考え方も大きな変化をきたした。すなわち従来本症は一般の半陰陽にみられるごとく中間的ないし両性的な特徴が少ないためHypogonadismとして取扱われることが多かつた。しかし現在では半陰陽の大きな原因的因子は性染色体の構成異常であるという考え方が一般に行なわれており従つて本症も性染色体構成異常を伴う半陰陽として理解されるようになつた。
 私達は最近性器発育不全を主訴として来院し検査の結果Klinefelter症候群と判明せる1症例を経験したので,その概要について報告するとともに多少の文献的考察を試みた。

新薬治験

泌尿性器慢性感染症に対するリリペンの使用経験

著者: 黒田恭一 ,   酒井晃

ページ範囲:P.67 - P.68

Ⅰ.緒言
 非ステロイド性消炎剤リリペン(Benzydamine hy-drochloride)は,内分泌系を介せず局所的に作用し,炎症部位に集積して消炎効果をもたらし,さらに人体では50%以上が未変化のまま尿中に排泄されるとされていることから,尿路の炎症に対する消炎剤としての有効性が期待される。今回著者らは,泌尿性器慢性感染症に対する本剤の効果を検討したので報告する。

特発性腎出血および血精液症に対するAngininの治療効果の検討

著者: 広川信 ,   井上武夫

ページ範囲:P.69 - P.70

Ⅰ.はじめに
 Angininは2-6-pyridine dimethanol bis(N-methylcarbamate)の構造を有する,ピリジン誘導体の一つで,抗キニン作用を有している。この薬剤は,動脈硬化の研究途上において,島木,石川等により開発された。
 その後,いわゆる,脱疸,狭心症,不整脈,血栓症などに臨床効果のあることが,報告されている。また,キニン類の血管透過性亢進作用に,特異的に拮抗することが注目され,出血性疾患に対し,Angininの治療が種々の領域で,検討されている。
 私達は,泌尿器科領域で,経験する腎出血,血精液症に,この型式をとる出血素因があるのではないかと想定し,これら疾患にAnginin療法を試みた。臨床上,明らかに奏効する症例が観察されたので,報告したい。

見聞記

第62回アメリカ泌尿器科学会総会(3)

著者: 中村宏

ページ範囲:P.73 - P.76

 第3日も先ず学術映画で始まつた。
 Dr.W.E.Goodwin(Univ.ofCalifornia,Ros Angeles,Calif.)は,萎縮膀胱または膀胱部分切除後の回腸を用いた膀胱拡張術の手技を映画で示した。空置した回腸を切り開き,一側の長辺を真中から二つ折りにする形にして縫合し,U字型の回腸片を作り,これを膀胱欠損部と縫合する方法で,こまかい点について判り易く映画で説明した。続いてやはりUniv.of California,LosAngeles,Calif.のDr.J.J.Kauf-manが,馬蹄鉄腎に発生したグラヴイッツ腫瘍に対する腎部分剔除術の鮮な手技を映画で示した。次いで今度の学会の映画部門で1位となつたDr.M.Tannenbaum(ColumbiaUniv.,New York, N.Y.)のTimeLapse Photographyが上映された。前立腺組織の細胞培養を日本光学(ニコン)の特殊装置を用いて撮影したもので,悪性腫瘍細胞は正常細胞に比して,より頻回活発に細胞分裂を起こしているのを見事に写していた。

随筆

定年退官後に思う

著者: 稲田務

ページ範囲:P.77 - P.77

 永らく勤めた京大泌尿器科を昭和42年3月に定年退官して民間の病院で仕事をすることになり,境遇も気持も大いに変つた。
 この病院は兵庫県西宮市の北方,六甲山国立公園内にあり,財団法人香雪会経営の香雪記念病院で,香雪というのは朝日新聞創設者村山竜平氏の雅号である。6月に新設,開院し,米国式オープンシステムを採用し,自由診療が主で,外来診療は行わない。設備が秀れているのでホテル病院などと云われる。私は財団理事長で,泌尿器科医を兼ねている。

教室だより

千葉大学

著者: 片山喬

ページ範囲:P.78 - P.78

 我が教室は7年前の昭和35年6月,当時の皮膚泌尿器科より皮膚科と泌尿器科が分離し,当時皮膚泌尿器科教室の助教授であつた百瀬剛一教授が主宰者として就任され,ここに発足をみるに至つた。百瀬教授は昭和13年千葉医大卒,その後本学皮膚泌尿器科教室に入局され,本学医専教授,学部講師,同助教授を歴任された。教授初め諸先輩より承る所では嘗ての皮膚泌尿器科時代にも石原正次氏,中野等氏,黒田通教授,並木重郎教授等のごとき泌尿器科を表看板とされた諸氏が居られ,これらの方が百瀬教授とともに泌尿器科教室の礎を築いてこられた訳であるが,特に並木教授は昭和25年4月より僅か1年有余の御在職にて急逝されたが,その業蹟,御人徳等が現在でもよく話題にのぼつている。
 教室発足当時は百瀬教授,平岡助教授(現東京厚生年金病院部長)以下僅か9名という小人数であつたが,その後年毎に多くの入局者を迎え,現在20有余名となつているが,外からの需要も多く,医局長は頭を悩ましている。

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外国文献

ページ範囲:P.79 - P.80

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.98, No.1 July 1967
Atmosphere for Graduate Education in Urology. W.H.Boyce 1
Concerns in Urologic Education.E.Burns 6

内国文献

ページ範囲:P.81 - P.83

副腎,後腹膜
 ○ クツシング症候群,京都大学小児科学教室:小児科,8;976,1967.
 ○ 小児の副腎皮質機能について(その検査と臨床への関連),加藤精彦:小児科,8;1015,1967.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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