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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科22巻11号

1968年11月発行

雑誌目次

図譜・282

尿管瘤内結石

著者: 浅野美智雄 ,   柿沢至恕

ページ範囲:P.834 - P.835

 患者 51才男子。
 主訴 排尿終末時痛。

図譜・283

陰茎海綿体造影法

著者: 三木誠 ,   入倉英雄 ,   南武

ページ範囲:P.836 - P.837

 Hurtl(1962),Hamilton & Swann(1967)らがcorpus cavernosographyをPeyronie's diseaseの診断に用い,その硬結の拡がり程度を知るのに極めてよい方法であることを報告している。我々は最近諸種陰茎疾患に本法を行なつており,Peyronie's diseaseと思われる症例と陰茎癌症例に興味ある像を得たので供覧する。
 刺入部は硬結等をさけ,冠状溝からやや根部よりがよく(陰茎癌では可及的根部),左右どちらかの海綿体に刺入すればよい。局麻を行ない20gauge程度の注射針を刺し,まず生食水を少量注入し抵抗なく入ること(あたかも静注のごとく)を確認した上で,造影剤20ml(60% Urografinを生食水で倍に薄め20mlとした)を注入し,その直後に撮影すればよい。本法は特別の装置を要せず,簡単で副作用もないことから,Peyronie's diseaseのみならず,陰茎癌の拡がり程度や陰茎外傷の診断などにも有用と考える。

原著

最近病棟内に多発した緑膿菌感染症について

著者: 佐藤昭太郎 ,   鈴木三継 ,   安食悟朗

ページ範囲:P.839 - P.844

Ⅰ.はじめに
 種々の化学療法剤および抗生物質(以下化学療法剤と称す)の出現によつて細菌感染症に対して極めて有力な対抗手段を得た筈であるが,これらの使用経験が重ねられるにつれて,2, 3の厄介な問題が派生してきた。その1つは病原菌の耐性獲得であり,他は病原性の強い細菌が抑制されたあとで,他の比較的病原性が弱いとみられてきたが,感受性の低い細菌の感染が臨床面に擡頭してきたことである。すなわち,グラム陰性の桿菌,耐性ブドウ球菌および真菌感染症などの問題である。
 最近,我々は病棟内で緑膿菌感染が多発し,漸くこれを治めえたので,ここにその転末を報告する次第である。

孤立性(単純性)腎嚢胞—診断と治療法

著者: 斎藤博 ,   石渡大介 ,   鈴木滋 ,   細田和成 ,   斎藤隆

ページ範囲:P.845 - P.851

Ⅰ.緒言
 いわゆる孤立性腎嚢胞(solitary cyst of the kid-ney)を含む腎の嚢胞性疾患(cystic diseases)の発生病理とか,これに基づく分類などは,まだかなりまちまちで一定していない。また診断や治療という臨床面においても再検討を要するところが指摘されるに至つている。われわれは1962年から1967年の5年間に当教室で10例の孤立性腎嚢胞を経験しているが(第1表参照),その臨床経験の成績を報告するとともに,主としてその診断法,手術的療法の適応あるいは術式などについて若干の考察を試みる。

結石を有する細動脈硬化性萎縮腎

著者: 佐藤威 ,   樋口正士

ページ範囲:P.855 - P.859

Ⅰ.緒言
 細動脈硬化性萎縮腎は,元来本態性高血圧症があり,細動脈系に異常なる血圧が負荷されたため硬化性病変,すなわち細動脈硬化症をおこし,この変化が腎臓細動脈なかんずくVasa afferentiaおよびaa. rectaeに出現し,萎縮腎に陥いるとされている。最近われわれは高血圧症を伴わない細動脈硬化性萎縮腎に結石を併発した症例を経験したので稀有と思いここに報告する。

副腎腺腫によるクッシング症候群の3例

著者: 渡辺泱 ,   森田昌良 ,   高橋寿 ,   海法裕男

ページ範囲:P.861 - P.866

Ⅰ.緒言
 我々は諸検査により術前に確定診断を下し,手術により治癒せしめ得た副腎腺腫によるクッシング症候群の3例を経験したので報告する。

リンパ撮影で興味ある所見を呈した後腹膜リンパ嚢腫の1例

著者: 伊藤本男 ,   斎藤良司

ページ範囲:P.871 - P.877

Ⅰ.緒言
 近年リンパ撮影法の考案により後腹膜腔のリンパ系の通過障碍に起因する一連の疾患に新たな興味が持たれている。後腹膜嚢腫の中にもこうした原因によるものも当然存在すると考えられているがその発生母地や発生病理の解明は必ずしも容易ではない。我々は最近リンパ撮影で興味ある所見を呈し,組織所見と併せて後腹膜リンパ嚢腫と診断できた後腹膜嚢腫の1例を経験したのでここに報告し,若干の考按を加えた。

Distal Ureteral Atresiaによる超巨大水尿管症の1例

著者: 仲野谷祐介 ,   草階佑幸

ページ範囲:P.879 - P.884

Ⅰ.緒言
 先に教室の佐藤等1)は極めて稀な尿管奇型であるdistal ureteral atresiaによる巨大水尿管症の本邦第1例を報告した。今回さらに新たな1例を経験したが,この例は従来の報告とことなり成人でありかつほとんど腹部全体を占めるほどの超巨大な水尿管を形成していて,長年にわたり腹水と誤診されていた点が特異であつたので,以下報告する。

妊娠と上部尿路—附:Right Ovarian Vein Syndrome

著者: 井上武夫 ,   広川信

ページ範囲:P.887 - P.891

Ⅰ.緒言
 妊娠により泌尿器は著明な解剖学的および機能的な変化を受ける。なかんずく,上部尿路の拡張および弛緩は特徴的で,尿路感染症の発生と密接な関係がある。水腎,水尿管については,妊娠子宮,胎児頭の圧迫,妊娠性ホルモンの影響があげられている。右側に頻発することについては,妊娠子宮は右転位右捻転し,ために右尿管が強く圧迫され,一方左側尿管はS状腸によつて保護されるためと考えられている。しかし,現在明確にこの原因を説明するものはないようである。
 私は3年前,Emmettの著書Clinical Urography(Saunders, 1964,2版)において,J.C.Clarkが妊娠と右水腎,水尿管について興味ある症例を発表し,この症候群をRight Ovarian Vein Syndrom(右側卵巣静脈症候群とでもいうか)と命名しているのを記憶していた。最近F.C. Derrik et al.(1967)が同様の4症例を報告している。

Glucosaccharo 1・4, 3・6 dilactone長期服用の膀胱癌患者にみられた肝重量の減少

著者: 近藤賢 ,   内藤政男 ,   杉浦啓之

ページ範囲:P.893 - P.898

Ⅰ.緒言
 動物実験的には担癌状態の肝酵素の性質には種々の異常が認められ,また臨床的にも癌と肝機能との密接な関係が推測されている。
 われわれはGlucosaccharo 1・4, 3・6 dilactoneを死亡直前まで相当長期にわたり連続服用していた膀胱癌患者2例の剖検時に,その肝重量が著明に減少していることをつづけて経験した。そこで癌死亡例における肝重量はどうなつているか,かかる肝重量の減少は日常診療に行なう肝機能検査にどのような異常をおこしてくるか,また肝重量減少をおこす原因は何かという点を中心にして考察を試みた。

膀胱線維腫の1例

著者: 水本龍助 ,   身吉隆雄 ,   鈴木弘之 ,   赤坂哲治郎

ページ範囲:P.899 - P.902

Ⅰ.緒言
 膀胱の非上皮性良性腫瘍は,比較的稀れとされているが,最近われわれは,右腎盂尿管結石,前立腺肥大症を合併した膀胱線維腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

膀胱嚢胞腺腫の1例

著者: 北原敬二 ,   藤田道夫

ページ範囲:P.903 - P.908

Ⅰ.緒言
 膀胱腫瘍のうち,最も多いのは上皮性腫瘍であり,その中でも度々見られるものは乳頭腫および癌腫であつて,その他の腫瘍は比較的稀である。なかでも腺腫はきわめて少ないものの一つであり,かつ発生病理学的にも興味あるものであるが,我々は最近その1例を経験したので報告する。

重篤な陰茎絞扼症に対する陰茎形成術

著者: 瀬川昭夫 ,   早川常彦 ,   山内高峰

ページ範囲:P.909 - P.913

Ⅰ.はじめに
 産業災害あるいは交通事故の増加とともに以前にはみられなかつた種々の傷害が発生している。泌尿器科領域においても腎損傷,更に下腹部あるいは骨盤部の外傷等により膀胱破裂,尿道損傷,あるいは陰茎外傷等もしばしばみられるようになつた。これらとは別に従来,何かの目的で故意に行なわれる陰茎外傷もあとをたたない状態である。その一つである陰茎絞扼症は本邦にても比較的稀な症患ではあるが,最近,我々は重篤な本症,即ち陰茎表皮および尿道の完全断裂更に陰茎海綿体まで損傷された症例に対し陰茎形成術を施行,陰茎の再建に成功したので報告する。

Urological Letter

前立腺摘除後のTrigonal irritative syndrome,他

ページ範囲:P.851 - P.851

 この諸症状というのは,頻尿,尿意逼迫,夜間頻尿,排尿中または排尿後の灼熱感,残尿感,会陰部圧迫感,下腹部圧迫感および腹部膨満感等である。これらの症状はBPH (良性前立腺肥大症)の外科的手術またはTUR (経尿道的電気切除術)のあと何カ月か時には何年間も現われることがある。
 よく調べてみて適応症としても正しく,膀胱鏡検査でも手術もよく行なわれており,前立腺摘出窩もよく治つている。何ら排尿障害になるものもなく,尿もきれいで,残尿もない。排尿状態も正常で,尿線も正常である。

文献抄録

留置カテーテルと膀胱洗滌/急性腎動脈閉塞症について

ページ範囲:P.866 - P.866

 短時日の留置カテーテルによつても尿感染のさけられないことは良く知られている。著者等は短期間の留置カテーテル中膀胱洗滌による尿感染防止にフラシンが有効であることを認めている。
 著者等の検査対照とした患者は92名の成人で,いずれも術後5日間以内のFoley型カテーテル留置を必要とした患者である。

教室だより

日本大学

著者: 滝本

ページ範囲:P.919 - P.919

 日本大学医学部泌尿器科教室は,大正14年に専門部医学科として創立された発祥の地,神田駿河台に開設された附属病院内に皮膚科泌尿器科として,故梅津小次郎博士を主任教授として創設されたことに始まる。ついで,東大から官野英利博士が就任されたが,当時は助手1名という微々たる内容であつた。
 昭和4年に本学第1回卒業生が5名入局し始めて態勢も整う緒についたといわれている。

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外国文献

ページ範囲:P.920 - P.922

THE JOURNAL OF UROLOGY Vol.100, No.2, August 1968
Radioisotope Renography in Assessment of Renal Func-tion in Newborn.C.C.Winter, J.Elliott, D.Grace and A.Robertson 99
Radioisotope Renal Function Studies in Human Renal Allorafts: Value in Differential Diagnosis of Oliguria in Presence of Obstructive Disease With and With-out Urinary Extravasation.J.E.Figueroa, W.S. Maxfield, H.M. Batson and R.Birchall 104

内国文献

ページ範囲:P.922 - P.923


 臓器相関からみた肝腎関係,前田貞亮:総合臨床,17;1741, 1968.
 無尿の鑑別診断,高安久雄:総合臨床,17; 1775,1968.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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