文献詳細
特集(増刊号の)1 尿路の外傷と損傷
Ⅴ尿道の外傷
文献概要
はじめに
高度尿道損傷時に行なわれる尿路変更術には一時的なものと永久的なものとがある。一時的なものは受傷後に創傷が治癒するまで,あるいは尿道再建術後の尿による創汚染を避けるために行なわれ,いずれは尿流を本来の尿道に戻さなければならない。永久的尿流変更は尿道の再建がいかなる手段をもつてしても不可能の場合や,萎縮膀胱,難治性膀胱周囲膿瘍,腹壁欠損などのため膀胱を使用しえない場合にはじめて適応となる。
われわれの昭和41年までの15年間の統計では114例に尿路変更手術が行なわれたが,そのうちわずか5例(4.4%)が尿道損傷に対して行なわれたものである。しかし,われわれの基本方針は不自然な尿路変更よりも自然な尿路を再建することであり,高度の尿道損傷に対しても性急に永久的尿路変更を行なうことなく尿道の再建に努力し,成果をあげている。従つて,尿道損傷に対する尿路変更の経験に乏しいことをお断りしておく。ここではまず症例を説明し,ついで高度尿道損傷の場合のわれわれの治療方針および尿路変更術についてのべてみたい。
高度尿道損傷時に行なわれる尿路変更術には一時的なものと永久的なものとがある。一時的なものは受傷後に創傷が治癒するまで,あるいは尿道再建術後の尿による創汚染を避けるために行なわれ,いずれは尿流を本来の尿道に戻さなければならない。永久的尿流変更は尿道の再建がいかなる手段をもつてしても不可能の場合や,萎縮膀胱,難治性膀胱周囲膿瘍,腹壁欠損などのため膀胱を使用しえない場合にはじめて適応となる。
われわれの昭和41年までの15年間の統計では114例に尿路変更手術が行なわれたが,そのうちわずか5例(4.4%)が尿道損傷に対して行なわれたものである。しかし,われわれの基本方針は不自然な尿路変更よりも自然な尿路を再建することであり,高度の尿道損傷に対しても性急に永久的尿路変更を行なうことなく尿道の再建に努力し,成果をあげている。従つて,尿道損傷に対する尿路変更の経験に乏しいことをお断りしておく。ここではまず症例を説明し,ついで高度尿道損傷の場合のわれわれの治療方針および尿路変更術についてのべてみたい。
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