文献詳細
特集(増刊号の)1 尿路の外傷と損傷
Ⅵ尿路の放射線損傷
文献概要
近年,放射線治療装置の著しい進歩によつて,がん治療上放射線療法の占める比重が大きくなつてきたことは今更いうまでもないことである。放射線療法は適応が広く,その利用の仕方によつてはこれまでのがん治療成績を大きく向上させ得る可能性については,今日疑う余地のないことであり,放射線療法を導入しなければ成績向上は望めないといつても過言ではないと考える。しかしながら,放射線療法は慎重な治療計画にもとづいて行なわれない場合には,放射線傷害発生の危険があることを常に忘れてはならない。実際に高度な放射線傷害の症例を経験するにつけ,傷害発生の防止に極力気を配らねばならないと痛感するわけである。とはいえ,いたずらに傷害発生を恐れて,放射線療法を敬遠することもないと考える。
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