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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科22巻8号

1968年08月発行

文献概要

シンポジウム 脊髄損傷患者に対する早期尿路管理

脊損患者の4大尿路合併症の予防

著者: 近藤賢1

所属機関: 1関東労災病院泌尿器科

ページ範囲:P.586 - P.590

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 関東労災の近藤でございます。きようは脊損患者の早期尿路管理に関する話でありますが,私どもの病院には受傷後相当の年月が経つてから転送されてくる患者が多いので,過去10年間に大体200例近くの脊損患者をみましたが,早期の患者は比較的少なうございます。そこで,いままで行なつてきた早期の治療の成績をまとめるという形はとらず,数多く経験してきた慢性期の脊損患者における尿路合併症から,逆に早期にはこういつた治療をしたほうがいいのではないかと推論する,逆の方向をとつて話を進めてゆきたいと思います。
 脊損患者にはいろいろな尿路合併症がありますが,その中から4つを取り上げてみました(第1表)。1番目は尿道皮膚瘻,2番目は過緊張性膀胱および膀胱尿管逆流,3番目は尿路感染症,最後は尿路結石症という4つの問題です。これらは慢性期脊損患者に相当数みられるものであり,1番目の問題は急性期の無緊張性膀胱の処置法が適切でないために,起きると思われます。2番目の過緊張性膀胱と膀胱尿管逆流の発生には膀胱尿管の代謝異常が相当大きな影響を及ぼしていると思われます。3番目の尿路感染症は急性期の殆んど全ての脊損症例に合併し,それはそのまま慢性型をとつて継続的に存在し,その治療には特別の配慮を要します。最後の尿路結石症は脊損患者の大体3分の1近い症例に発生がみられ,一般の患者よりははるかに多発します。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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