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原著
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Ⅰ.緒言
下部尿路すなわち膀胱あるいは尿道の異物,または陰茎異物は,しばしば遭遇するもので,さして珍しい疾患ではない。しかしながら上部尿路(腎盂,尿管)の異物症例はまれである。南里1)(1936)の鍼の腎臓異物の1例,土居2)(1939)の腎臓異物の1例(迷入せる縫針),太中3)(1939)の留弾による腎臓異物摘出例,荒川,土居4)(1945)の鍼針による腎臓異物兼腎臓結石症例,斎藤5)(1951)の腎異物症例(弾片),重松ら6)(1960)の鍼針を核とした腎盂結石の報告例,また尿管については,前田ら7)(1957)の尿管異物の1例,最近では,酒徳ら8)(1966)の尿管カテーテル折損による尿管異物症例などが見られるに過ぎない。
われわれは,最近,原因不明の右腎部鈍痛および微熱が,術後の病歴を検討することによつて,上行性腎盂内異物に起因するものであることを確認し得た稀有な1例を経験したので,ここに報告する。
下部尿路すなわち膀胱あるいは尿道の異物,または陰茎異物は,しばしば遭遇するもので,さして珍しい疾患ではない。しかしながら上部尿路(腎盂,尿管)の異物症例はまれである。南里1)(1936)の鍼の腎臓異物の1例,土居2)(1939)の腎臓異物の1例(迷入せる縫針),太中3)(1939)の留弾による腎臓異物摘出例,荒川,土居4)(1945)の鍼針による腎臓異物兼腎臓結石症例,斎藤5)(1951)の腎異物症例(弾片),重松ら6)(1960)の鍼針を核とした腎盂結石の報告例,また尿管については,前田ら7)(1957)の尿管異物の1例,最近では,酒徳ら8)(1966)の尿管カテーテル折損による尿管異物症例などが見られるに過ぎない。
われわれは,最近,原因不明の右腎部鈍痛および微熱が,術後の病歴を検討することによつて,上行性腎盂内異物に起因するものであることを確認し得た稀有な1例を経験したので,ここに報告する。
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