icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科22巻9号

1968年09月発行

雑誌目次

図譜・278

膀胱憩室癌

著者: 池上茂 ,   高木健太郎

ページ範囲:P.660 - P.661

 患者 80歳,無職,既婚男子。
 既往歴 著患なし。

図譜・279

尿管性尿失禁—右重複腎盂兼重複尿管,上腎に属する尿管の尿道への開口

著者: 岩崎太郎 ,   福地彊

ページ範囲:P.662 - P.663

 患者 4歳の女児。
 現病歴 おしめを外してから,日に4〜5回パンツをとりかえる。数ヵ所の病院を受診したが,その結果は異常なし,あるいは神経的なものといわれてきた。

原著

尿管瘤の4例ならびに本症の統計的観察

著者: 鍬塚寿 ,   高崎登 ,   黒木隆亨 ,   進藤和彦

ページ範囲:P.665 - P.671

Ⅰ.緒言
 尿管瘤は1853年Lechlerが剖検で認めたのが最初であり,本邦では1923年尾形1)の報告が第1例目である。その後内外ともに多数の症例が報告されており,本邦においては本症に対し大越2),落合3),土屋4),三浦5)等の詳細な報告がある。著者は最近完全重複腎盂兼尿管側の尿管瘤に結石を合併した症例を含む4例の本症を経験したので報告し,三浦以後の本症例につき文献的考察を行なつた。

原発性尿管癌の1例および本邦報告統計的観察

著者: 青木克行 ,   熊川英長 ,   寺嶋一夫 ,   中村興太郎 ,   成澤トシ ,   平野忠弘

ページ範囲:P.673 - P.679

 先に当教室の河村ら1)は原発性尿管癌の1症例を報告したが,最近,さらにわれわれは左側尿管下部に発生せる単純癌で診断学上興味ある1例を経験したので報告し,原発性尿管癌本邦報告例164例を整理し,最近の外国文献の考察を試みた。

帝王切開後の膀胱子宮頸管瘻の1例—Youssef's syndromeについて

著者: 町田豊平 ,   石橋晃 ,   佐藤英資 ,   吉良正士 ,   斎藤賢一 ,   南武

ページ範囲:P.681 - P.687

Ⅰ.はしがき
 尿瘻のなかでも女性々器瘻は,臨床的にしばしば遭遇する婦人科的泌尿器科疾患として重要な位置をしめている。特に膀胱は女性々器に隣接しており,産婦人科的処置に際し外科的侵襲をうけ易く各種の膀胱瘻が発現する。これら膀胱瘻のうち,膀胱と子宮頸管との間に生ずるいわゆる膀胱子宮頸管瘻は非常に稀な疾患で,本邦では現在まで約30症例の報告がみられるにすぎない。本症は近年,産科的処置特に帝王切開と関係して発症する傾向がみられ,臨床的にはIatrogenic diseaseであり,留意すべき疾患といえよう。
 われわれは最近,遷延分娩による帝王切開後,周期性血尿と膣性失禁を発症し,膀胱子宮頸管瘻の診断のもとに,膣式瘻孔閉塞術および頸管形成術を施行,術後約3年で分娩に成功した家婦の1例を経験した。本症例を報告するとともに本邦での報告例を集計し,その統計的観察と本症についての若干の問題点を検討したい。

原発性膀胱憩室癌の1例

著者: 森浩一 ,   茶幡隆之

ページ範囲:P.689 - P.692

Ⅰ.緒言
 膀胱憩室の合併症としては感染や結石がその主たるものであるが,憩室に腫瘍を発生することは比較的稀とされてきた。
 最近我々は術前に膀胱憩室腫瘍を疑い術後これを確認した例を経験したので,ここにこの症例を報告し若干の文献的考察を試みた。

原発性女子尿道腺癌の1例

著者: 堀米哲 ,   菅原剛太郎 ,   丹田均 ,   大西茂樹

ページ範囲:P.693 - P.697

Ⅰ.緒言
 原発性女子尿道癌は比較的まれな疾患とされ,またとりわけ予後不良である点注目される。
 組織学的に移行上皮癌ならびに扁平上皮癌は尿道の移行上皮およびそれと重層扁平上皮の結合部から発生する一方,腺癌は尿道側管から発生するといわれている。

単睾丸症の2例

著者: 松下鈆三郎 ,   白井将文 ,   加賀山学 ,   一条貞敏 ,   竹内睦男 ,   佐々木桂一

ページ範囲:P.699 - P.703

Ⅰ.緒言
 単睾丸症とは一側睾丸が完全に欠如せる先天的異常で,一般には広義の睾丸欠損症としてとりあつかわれ比較的稀有とされている。欧米においては,Cabrol1)(1564)の剖検例による両側欠損を第1例とし約150例の報告がなされているが,本邦では小林2)(昭10)が初めて報告して以来現在まで両側欠損2例を含めて僅か29例を数えるにすぎない。
 私共は既に本症の3例につき報告したが3),最近再びその2症例を経験したので追加報告し,併せて若干の文献的考察を加える。

前立腺平滑筋肉腫の1例

著者: 三矢英輔 ,   福島賢秀 ,   小幡浩司 ,   石川文易 ,   千田八朗

ページ範囲:P.705 - P.709

 前立腺に原発する悪性腫瘍のなかで,中胚葉性の腫瘍(すなわち,前立腺肉腫)の発生頻度は,極めて稀なものであり,全前立腺悪性腫瘍中の0.21)%〜0.32)%に過ぎない。そのなかでも,Lei-omyosarcomaは更に少なく,1960年までの報告では,米国3)で25例,英国2)で35例,本邦では数例を数えるに過ぎず,その予後は極めて不良とされているが,最近当泌尿器科教室において,前立腺肉腫の胱胱内にまで浸潤したと思われる症例に,膀胱全摘出術,回腸導管形成術,ならびに経恥骨式前立腺全摘出術を施行し,術後約1年を経過した現在,比較的良好な状態を呈する1例を経験し,ここに報告する。

精嚢腺Calcificationの1例

著者: 海野良二 ,   山本泰秀 ,   石川博義

ページ範囲:P.711 - P.713

Ⅰ.緒言
 精管および精嚢腺の石灰化はさほど稀な疾患ではないとされているが,治療上の価値が少ないためか,その報告は少なく本邦においては現在まで僅かに9例を算えるに過ぎない。我々も最近本症の1例を経験したので報告する。

先天性精管欠損症

著者: 折笠精一 ,   網野勇 ,   仲野谷祐介

ページ範囲:P.715 - P.719

Ⅰ.緒言
 発生学的に男子においては,中腎導管(Wolff氏管)の上端は睾丸細精管と結合して副睾丸輸出管を形成し,中腎導管の中間部は精管を形成し,その下端部より精嚢腺,尿管,膀胱三角部が形成される。従つて中腎導管の発達過程の異常により,精路系と尿路系の先天異常が度々重複して起こり種々の所見を呈する。
 我々の教室では,先天性性器異常として1側Wolff氏体の完全欠損症(単腎単睾丸症)の1例を中島,藤枝(1961)が発表しているが,最近3例の先天性精管欠損症を経験した。これを機会に本邦文献上先天性精管欠損症として発表されている66例と,睾丸欠損症として発表されているが精管欠損症を合併していた4例を集め自験を加えた73例の先天性精管欠損症につき若干の文献的考察を試みた。

文献抄録

小児脊髄瘤の排尿について/後腹膜線維化症138例の統計観察

ページ範囲:P.671 - P.671

 Myelomeningoceleの小児の大部分の者が大小便の失禁を来す事は知られており,近時小児外科でその治療について注目されている。1966年Ecksteln等は239例の小児脊髄瘤症例について報告しているが,著者はこの内死亡その他を除いて117例の予後調査をし得た者について臨床統計観察を行なつた。
 先ず117症例について見ると39例(33%)が正常の排尿が可能となつている,,部位別に見ると上位(頸・胸髄瘤)の疾患では正常排尿が16例中15例で失禁を見た者は1名にすぎないが,下位すなわち胸・腰髄では失禁は75%,腰髄では77%,腰・仙髄では86%と当然のことながら大部分が失禁状態であるが,仙髄部では23例中失禁は15例(65%)となつている点が注目される。脊髄瘤の大きさは必ずしも失禁と関係は見られない。

Urological Letter

前立腺癌のときの骨疼痛に対する弗化物治療,他

ページ範囲:P.687 - P.687

 W.P.Scott M.D.が1967年の11月13日のJAMA誌上に前立腺癌の際の骨疼痛に弗化物治療のことを書いている。著者は9例に著効があつたといつており,分量は1日100mg宛である。本剤の使用は合理性という点ではこの疑問のある細胞毒的効果と長期使用の書類上の安全性等からして,ページェット氏病の骨造成性疾患に有効であるという以外では,合理性はほとんどない。
 骨に対する弗化物の実際の作用機序はまだ不明であるが,恐らくは全く複雑な物理的と細胞学的効果であろうと彼は述べている。

新薬治験

泌尿器科領域におけるインテバンの使用経験

著者: 中村武夫

ページ範囲:P.721 - P.722

Ⅰ.緒言
 近年非ステロイド性の抗炎症鎮痛剤の開発は目覚しいものがあり臨床的にも多数応用されている。今般住友化学工業株式会社よりインテバン(Indomethacin:C19H16CINO4)の提供を受け,その泌尿器科領域における臨床実験を試み,ほぼ満足すべき成績を得たので報告する。

随筆

並木重郎教授の想い出

著者: 百瀬剛一

ページ範囲:P.723 - P.723

 並木教授は大正15年東大医学部を卒業,直ちに皮膚科泌尿器科教室に入り,遠山,高橋両教授の指導下に,螢光性色素の光力学的作用,又は本邦では初期時代の泌尿器科的レ線学などの研究を,学生時代から得意とされた数学的知識を駆使して検討されている。後年,皆見賞を受けられた駆梅療法成績の統計的観察などにも難解な数式を応用してペニシリン使用量などを決定されているが,その当時私共も高校時代の数学を復習し,計算器を操り先生の御仕事を御手伝いした事を想い出す。
 先生は長大,新大の助教授,金大教授を歴任され,昭和24年千葉大教授となられたが,御転任に当つては,先生の学識,人をひきつける御人格などを反映して学生,教室員に激しい留任運動などが起り中々容易に行なわれなかつた様であつた。本学に赴任されるや,忽ち学生間に強烈な印象を与えられ,当時学生であつた教室の三橋助教授は次の様に語つている。先生の講義は極めて魅力に溢れ,常に最新の内外文献などを織り込み,微に入り細に亘るユニークなもので,当然その年度内には終了せず,その続きは次年度クラスに引継がれたため,継続講義を次年度のものと聴講した何人かが居たという。先生は自分の講義は教室員を対象としたものだと言われたが,講義時には教室員も大挙してノートを携え列席するという当時の他講義には見られない盛況なものであつた。

思いつくまま

現代の医者

著者: 黒田一秀

ページ範囲:P.724 - P.724

 激しい腹痛が起こつて楽なときは全然なくなつた。しかし熱がないので,医者達は楽観していた。この重病人の枕もとで,あのモリエール流のいまわしい茶番劇がはじめられる。十七世紀の人間は,臨床に必ずこんな目にあわなければならなかつたのである。医者のひとり,ゲノー氏は,パスカルの両腕から瀉血し,下剤をかける。
 つぎに油とブドー酒の浣腸をおこない,さらに三回にわたつて瀉血する。「パスカル氏はその腹痛のために再度腕から瀉血された」と一医師は記録している。オメー,プレイエ,ゲノー,ルノドー,ウァロなどの医師が診察したが,そのひとりはセンナを飲ませることを主張し,他のひとりはタマリンと「きくぢしや」を下剤に調合したらといい,また他のひとりは「カトリコン」がいいという。

教室だより

昭和大学

著者: 中西

ページ範囲:P.725 - P.725

 当昭和大学は昭和3年,昭和医学専門学校として設立され,昭和21年学制改革により,昭和医科大学となり,同39年薬学部の新設に伴い昭和大学となつた。
 我が教室は昭和3年の開校とともに皮膚泌尿器科教室として開設され,故荻原省三教授が初代教授として教室を主宰された。

--------------------

外国文献

ページ範囲:P.726 - P.728

UROLOGIA INTERNATIONALISVol.23, No.1-2, 1968
Eroffnungsansprache.Bisehoff, P. F.(Hamburg) 5
Indication for Urinary Diversion in Children Leadbetter, W.F.(Boston) 8

内国文献

ページ範囲:P.729 - P.730

副腎・後腹膜
 後腹膜脂肪肉腫,山本浩・他:癌の臨床,14;581,1968.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

76巻13号(2022年12月発行)

特集 これだけは知っておきたい! 泌尿器科診療でも活きる腎臓内科の必須知識

76巻12号(2022年11月発行)

特集 ブレずに安心! 尿もれのミカタ

76巻11号(2022年10月発行)

特集 限局性前立腺癌診療バイブル―このへんでキッチリと前立腺癌診療の“あたりまえ”を整理しよう!

76巻10号(2022年9月発行)

特集 男性不妊診療のニューフロンティア―保険適用で変わる近未来像

76巻9号(2022年8月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)の手術療法―臨床現場の本心

76巻8号(2022年7月発行)

特集 泌尿器腫瘍における放射線治療―変革期を迎えた令和のトレンド

76巻7号(2022年6月発行)

特集 トラブルゼロを目指した泌尿器縫合術―今さら聞けない! 開放手術のテクニック

76巻6号(2022年5月発行)

特集 ここまで来た! 腎盂・尿管癌診療―エキスパートが語る臨床の最前線

76巻5号(2022年4月発行)

特集 実践! エビデンスに基づいた「神経因性膀胱」の治療法

76巻4号(2022年4月発行)

増刊号特集 専門性と多様性を両立させる! 泌尿器科外来ベストNAVI

76巻3号(2022年3月発行)

特集 Female Urologyの蘊奥―積み重ねられた知恵と技術の活かし方

76巻2号(2022年2月発行)

特集 尿路性器感染症の治療薬はこう使う!―避けては通れないAMRアクションプラン

76巻1号(2022年1月発行)

特集 尿道狭窄に対する尿道形成術の極意―〈特別付録Web動画〉

75巻13号(2021年12月発行)

特集 困った時に使える! 泌尿器科診療に寄り添う漢方

75巻12号(2021年11月発行)

特集 THEロボット支援手術―ロボット支援腎部分切除術(RAPN)/ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)/新たな術式の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻11号(2021年10月発行)

特集 THEロボット支援手術―現状と展望/ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻10号(2021年9月発行)

特集 今こそ知りたい! ロボット時代の腹腔鏡手術トレーニング―腹腔鏡技術認定を目指す泌尿器科医のために〈特別付録Web動画〉

75巻9号(2021年8月発行)

特集 ED診療のフロントライン―この一冊で丸わかり!

75巻8号(2021年7月発行)

特集 油断大敵! 透析医療―泌尿器科医が知っておくべき危機管理からトラブル対処法まで

75巻7号(2021年6月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)薬物治療のニューノーマル―“とりあえず”ではなくベストな処方を目指して

75巻6号(2021年5月発行)

特集 躍動するオフィスウロロジー―その多様性に迫る!

75巻5号(2021年4月発行)

特集 前立腺癌のバイオロジーと最新の治療―いま起こりつつあるパラダイムシフト

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科当直医マニュアル

75巻3号(2021年3月発行)

特集 斜に構えて尿路結石を切る!―必ず遭遇するイレギュラーケースにどう対処するか?

75巻2号(2021年2月発行)

特集 複合免疫療法とは何か? 腎細胞癌の最新治療から学ぶ

75巻1号(2021年1月発行)

特集 朝まで待てない! 夜間頻尿完全マスター

74巻13号(2020年12月発行)

特集 コロナ時代の泌尿器科領域における感染制御

74巻12号(2020年11月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈下部尿路機能障害/小児・女性・アンドロロジー/結石・感染症/腎不全編〉

74巻11号(2020年10月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈腫瘍/処置・救急・当直編〉

74巻10号(2020年9月発行)

特集 令和最新版! 泌尿器がん薬物療法―手元に置きたい心強い一冊

74巻9号(2020年8月発行)

特集 泌尿器腫瘍の機能温存手術―知っておくべき適応と限界

74巻8号(2020年7月発行)

特集 これが最新版! 過活動膀胱のトリセツ〈特別付録Web動画〉

74巻7号(2020年6月発行)

特集 小児泌尿器科オープンサージャリー―見て学ぶプロフェッショナルの技〈特別付録Web動画〉

74巻6号(2020年5月発行)

特集 高齢患者の泌尿器疾患を診る―転ばぬ先の薬と手術

74巻5号(2020年4月発行)

特集 ここが変わった! 膀胱癌診療―新ガイドラインを読み解く

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科診療の最新スタンダード―平成の常識は令和の非常識

74巻3号(2020年3月発行)

特集 泌尿器科手術に潜むトラブル―エキスパートはこう切り抜ける!

74巻2号(2020年2月発行)

特集 いま話題の低活動膀胱―これを読めば丸わかり!

74巻1号(2020年1月発行)

特集 地域で診る・看取る緩和ケア―泌尿器科医として知っておくべきこと

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら