icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科22巻9号

1968年09月発行

随筆

並木重郎教授の想い出

著者: 百瀬剛一1

所属機関: 1千葉大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.723 - P.723

文献概要

 並木教授は大正15年東大医学部を卒業,直ちに皮膚科泌尿器科教室に入り,遠山,高橋両教授の指導下に,螢光性色素の光力学的作用,又は本邦では初期時代の泌尿器科的レ線学などの研究を,学生時代から得意とされた数学的知識を駆使して検討されている。後年,皆見賞を受けられた駆梅療法成績の統計的観察などにも難解な数式を応用してペニシリン使用量などを決定されているが,その当時私共も高校時代の数学を復習し,計算器を操り先生の御仕事を御手伝いした事を想い出す。
 先生は長大,新大の助教授,金大教授を歴任され,昭和24年千葉大教授となられたが,御転任に当つては,先生の学識,人をひきつける御人格などを反映して学生,教室員に激しい留任運動などが起り中々容易に行なわれなかつた様であつた。本学に赴任されるや,忽ち学生間に強烈な印象を与えられ,当時学生であつた教室の三橋助教授は次の様に語つている。先生の講義は極めて魅力に溢れ,常に最新の内外文献などを織り込み,微に入り細に亘るユニークなもので,当然その年度内には終了せず,その続きは次年度クラスに引継がれたため,継続講義を次年度のものと聴講した何人かが居たという。先生は自分の講義は教室員を対象としたものだと言われたが,講義時には教室員も大挙してノートを携え列席するという当時の他講義には見られない盛況なものであつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら