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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科23巻10号

1969年10月発行

雑誌目次

図譜・306

興味あるX線像を呈した小児の巨大水腎症

著者: 中神義三 ,   高橋厚

ページ範囲:P.792 - P.793

 患者 桝田某,6才,男子。
 主訴 左側腹部腫瘤。

図譜・307

膀胱腸瘻

著者: 水本龍助 ,   身吉隆雄

ページ範囲:P.794 - P.795

 患者 52才,女子。
 主訴 尿混濁。

綜説

尿管炎について

著者: 安藤弘

ページ範囲:P.797 - P.803

はじめに
 尿管は,解剖学的に,腎と膀胱とを連絡する細い導管であり,腎より産成された尿を,停滞なく,膀胱に流送する使命を有する。
 従って,この導管である尿管に病変が起これば,その及ぼす影響は腎に及び,両側尿管の病変は腎のみならず,全身に影響する。

原著

新潟大学泌尿器科入院患者の統計的観察(第5報)—第4,001例より第5,000例までの統計

著者: 佐藤昭太郎 ,   渡辺悌三 ,   峰山浩忠 ,   安食悟朗 ,   外川八洲雄

ページ範囲:P.805 - P.812

Ⅰ.はじめに
 新潟大学泌尿器科で扱つた入院患者の統計をこれまで本誌上に第1報ないし第4報として第4,000例まで報告してきたが,今回昭和40年1月から昭和43年9月までに第4,001例から第5,000例を取り扱つたので,これを第5報として報告する。ここで,昭和25年に新潟大学泌尿器科教室が皮膚泌尿器科より分離,独立して以来,5,000例の入院患者を扱つたこととなる。記述の形式および分類は前報にのつとつて行なうが,最後にこれまでの報告例とあわせて,5,000例に至るまでの主要疾患に関する年代的推移を明らかにした。なお,この間昭和31年までは楠隆光教授が主任教授であり,昭和32年から昭和38年6月までは高安久雄教授(現東大教授)が主任としておられ,昭和38年7月以降,著者の一人佐藤が主任となつた。

特異な発生を示した成人ウイルムス腫瘍の1例

著者: 鎗水史朗

ページ範囲:P.813 - P.818

Ⅰ.緒言
 ウィルムス腫瘍は主に5才以下の小児にみられる悪性腫瘍で,成人では稀とされるが,私は最近中年女性に特異な発生の仕方を示したウイルムス腫瘍を経験したので報告し,併せて若干の考察を加える。

尿管瘤症例とその統計的観察

著者: 近喰利光 ,   秋元成太 ,   西浦弘 ,   富田勝 ,   沼沢和夫

ページ範囲:P.821 - P.825

Ⅰ.緒言
 尿管瘤について,現在まで本邦での報告は多数なされているが,その統計的観察は大趣1),落合2),土屋3),三浦4),鍬塚5)等によつてなされている。著者は,両側完全重複腎盂兼重複尿管に左側の尿管瘤を伴い,しかも多数の結石を合併した症例を経験したので報告するとともに,鍬塚以後の尿管瘤の統計的観察及び今回までに集計された165例について文献的考察を試みた。

原発性尿管癌の臨床診断について

著者: 渡辺徳夫 ,   岡崎忠夫 ,   金子義弘 ,   東梅誠太郎 ,   丹治伸夫 ,   鳥井塚博 ,   中村紀子 ,   二宮規郎 ,   箱崎半道 ,   長谷川浩一

ページ範囲:P.829 - P.835

Ⅰ.緒言
 最近我々の教室において静脈血栓症,動脈瘤,後腹膜腫瘍などとの鑑別困難であつた症例を経験し,診断上注意すべき2,3の知見を得たので報告する。

後部尿道弁の3例

著者: 阿部弥理 ,   折笠精一

ページ範囲:P.837 - P.843

Ⅰ.緒言
 先天性後部尿部尿道弁は1919年Young等の臨床報告以来,欧米では多数報告されているが,本邦に於ては1962年高井等の第1例以後,今日までわずか6例の報告をみるにすぎない。
 最近,私達は本症の1例を経験したので,これまでに私達の教室で取り扱つた2症例とともに以下報告する。

睾丸類表皮嚢腫の2例

著者: 小川秋実 ,   横山正夫 ,   仁藤博

ページ範囲:P.845 - P.849

Ⅰ.緒言
 睾丸の良性腫瘍は稀であるが,この中でも類表皮嚢腫(Epidermoid cyst)は極めて稀で,本邦でも現在までに11例の報告をみるに過ぎない。我々は最近本症の2例を経験したので,ここに追加報告し,若干の考察を試みる。

Behçet症候群に合併した再発性副睾丸炎

著者: 勝目三千人 ,   藤枝順一郎 ,   大室博

ページ範囲:P.853 - P.859

Ⅰ.緒言
 Behçet症候群は,口腔アフタ性潰瘍,眼症状および陰部潰瘍をTriasとする疾患として知られているが本症における症状の発現は全身性であり,当然尿路性器領域にも本症に随伴した症状発現が考えられる訳である。しかしそれに関する認識が浅く,その報告例は意外と少ないようである。
 我々は最近,Behcet症候群の患者に再発性副睾丸炎を伴つた2例を相ついで経験したので報告し,いささかの考察を加えたいと思う。

文献抄録

膀胱壁弁による腟瘻閉鎖術/膀胱尿管逆流の程度から見た治療指針

ページ範囲:P.812 - P.812

 膀胱膣瘻閉鎖術はSimsにより,1852年に行なわれており,その後手術手技の改良,化学療法剤の進歩で術後成績も極めて改善されているが,今日なおこの手術は外科医を悩ますものの一つで,著者等は三角部近接の大型腟瘻に対して膀胱壁弁を用いて治癒せしめ,その手術手技および注意点を述べている。
 手術方法は先ず経腟的に瘻孔の周囲の腟粘膜を膀胱壁から瘻孔周囲2cm四方を剥離する。一方膀胱は腹壁から入つて周囲組織から頂部側壁,頸部まで殊に瘻孔の存する側を充分游離する。次いで膀胱を開き尿管カテーテルを左右尿管口へ挿入し尿管損傷を防止する。膀胱壁の瘻孔を清掃して,瘻孔の大きさに応じた壁弁を膀胱側壁に形成する。

Urological Letter

(80)1.膀胱鏡検査後にキシロカインの注入,他/(81)腎手術に対する肋骨上部切開

ページ範囲:P.849 - P.849

 膀胱鏡検査の後,1%のキシロカインを膀胱内へ注入すると,術後の膀胱刺激症状や排尿痛を軽減するのに役立つことが分つた。この方法は尿道に機械を入れたあとの最初の排尿痛を除いてやる点で殊に小児の場合に有効である。

小さな工夫・7

万能泌尿器小手術盤

著者: 井田正文

ページ範囲:P.863 - P.863

 かねがね泌尿器科の小手術すなわち,除睾術,睾上体切除,包茎手術,ワゼクトミー等に際して,助手を要しないで,しかも短時間で施術する方法はないかと考えていたが,今回第1図のような小手術盤を作つて試用してみた。この盤は厚目の金属板を8角形に形取り,各々の角に柔かいスプリングを有する円柱を立てたものである。中央の円口は径約10cmで,煮沸滅菌を容易にするために,蝶番で折りたためるようにした。
 使用法:患部が中央口より露出するように盤を直接患者の上に置き,たとえば第2図のように包茎手術時,皮膚切断縁に小コッヘルをかけ,その耳を円柱のスプリングに引かけると,ペニスは円口の中央に固定挙上されるような形となりまた,術者の両手は自由なので,止血,皮膚切除が容易となる。また第4図のように,出血点にかけたAコッヘルをスプリングに固定し,結紮糸を一回結び,その一端をスプリングにかけた他のコッヘルでひつぱり,Aをはずしながら結紮糸を緊縛すれば,術者一人で止血結紮が簡単にできる。また第3図のごとく,精管を固定し,切断結紮,造影剤注入等も楽にできる。その他種々の手術に利用できる。

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外国文献

ページ範囲:P.864 - P.865

 THE JOURNAL OF UROLOGYVol.101, No.3, March 1969.
Problems Lesions in Adrenal Surgery.J .D.Young, Jr.,A.S.Qureshi, T.B.Connor and J.G.Wiswell 233
Trauma to Genitourinary Tract.K.Waterhouse and M.Gross 241

内国文献

ページ範囲:P.866 - P.868

腎・腎盂
 ○腎不全例における3H標識digoxinの臓器分布,上田英雄:最新医学,24;1581,1969.
 ○妊娠中毒症と腎血管性高血圧,本間恒夫・他:産と婦,36;(8),44,1969.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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