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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科23巻11号

1969年11月発行

雑誌目次

図譜・308

腎嚢胞を思わした腎結核

著者: 渡辺国郎

ページ範囲:P.876 - P.877

 患者 48歳,男子。
 主訴 左腰背部鈍痛および血尿。

図譜・309

骨盤腎

著者: 徳原正洋 ,   西尾徹也

ページ範囲:P.878 - P.879

【症例】
 患者 18歳,女子,高校生。
 初診年月日 昭和43年5月9日。

原著

腎瘻,尿管瘻,膀胱瘻設置患者の腎機能,血中電解質の変動に関する検討

著者: 星野嘉伸 ,   富田義男 ,   堀内誠三

ページ範囲:P.881 - P.885

はじめに
 腎瘻,尿管瘻,膀胱瘻等を設置する術式は古くより尿路変向術の一つとして行なわれている。このうち腎瘻,膀胱瘻は尿路形成術などの手術に際して一時的に設置する場合もあるが,他の尿路変向術や尿路形成術の進歩に従って,このような瘻孔を設置する術式は行なわれることが次第に少なくなりつつある。
 しかし長時間にわたりこれ等の瘻孔を設置してある患者について,腎機能,血中電解質の変動を検討することは,他の尿路変向術と比較する上に興味ある問題と考えられる。

高血圧を伴つた腎動脈瘤の1例

著者: 広中弘 ,   多嘉良稔 ,   柏木崇 ,   桐山啻夫 ,   関谷智雄

ページ範囲:P.887 - P.891

緒言
 腎動脈瘤の剖検による発見頻度は0.01%前後で,全動脈瘤中約1%という比較的稀な疾患とされていたが,臨床診断法としての腎動脈撮影法の普及により,ここ十数年の間に本症の臨床報告例もあいついでみられるようになつた。欧米においては400例近い報告がみられる。本邦においても勝目ら1)(1961)の本邦第1例以後,河西ら2)によると18例1)−14)を数えている。
 われわれも高血圧および石灰化を伴つた本症の1例を経験したのでここに報告する。

腎異常血管に起因する水腎症の2例

著者: 白岩康夫 ,   工藤茂宣

ページ範囲:P.897 - P.905

緒言
 腎血管造影法が臨床において容易に行なわれている今日では,腎の上,下極に入る異常血管はしばしば発見される。下極に存する腎異常血管が腎盂または上部尿管を絞扼すれば,当然水腎症が惹起されるが,一般水腎症においてかかる水腎症は比較的稀なものとされており,水腎症例において異常血管が存していても,この異常血管が水腎症に対し実際にどれ程の役割を果しているかについての判定に難しい点も存し,また論議の多出する所でもある。我々は最近,腎異常血管と腎下垂が水腎症を惹起させていたと判定された2症例を相次いで経験したので報告する。

膀胱異物の興味ある1例

著者: 青野要 ,   平木祥夫 ,   杉田勝彦 ,   飯田荘介 ,   貞利庫司 ,   野間新也

ページ範囲:P.907 - P.910

緒言
 我国における膀胱異物の報告例については数多くなされており,昭和42年までに本邦において820例以上に及んでいる。またその異物の種類についても絹糸,ビニール管,鉛筆,針,体温計等の報告がみられ,侵入機転としては自慰の目的によるものが多いとされている。私達は今回自慰の目的によつて使用された針金が過つて膀胱内に挿入され,しかも10年間放置された結果,この針金を核として形成された膀胱結石の珍しくまた興味ある1例に遭遇したので報告する。

陰茎折症の1例

著者: 渡辺国郎 ,   斎藤豊一

ページ範囲:P.913 - P.918

緒言
 陰茎折症は従来まれな疾患とされていたが外国では既に19世紀半ばにMott29)の報告があり,本邦においては1934年長谷川・小林11)がその第1例を報告して以来,著者が調べ得た限りでは現在までに49例を数えるに至つている。
 著者は最近本症の1例を経験したので報告するとともに本邦報告例について多少の文献的考察を試みた。

乳児両側睾丸腫瘍の1例

著者: 村上基千代 ,   山岡秀樹 ,   藤井浩 ,   大熊晴男

ページ範囲:P.921 - P.924

 生後1年未満の乳児に見られた,両側睾丸腫瘍の1例について報告する。

Pyridinol Carbamate投与が奏効したと思われる陰茎持続勃起症の1例

著者: 佐々木桂一 ,   一条貞敏 ,   竹内睦男 ,   白井将文

ページ範囲:P.925 - P.928

緒言
 陰茎持続勃起症は,最近ではその報告例も比較的多くみられるようになり,それほど稀有な疾患ではなくなつた。しかしながら,その成因についてはいまだ定説がなく,ましてや治療法にいたつては多岐にわたり満足すべき有効な治療法もないのが現状であり,治療後も長期間性障害を残す等の解決されねばならない多くの困難な問題が残されている。
 最近私達は,陰茎持続勃起症の1症例に対して,その治療として抗キニン剤pyridinol carbam-ate(Anginin)(第1図)の投与を行ない治癒せしめ得たのでその概要について報告するとともに多少の文献的考察を試みた。

国立熱海病院泌尿器科における1年8カ月間の外来入院患者および手術術式の統計的観察

著者: 浅野美智雄 ,   柿沢至恕 ,   河村毅

ページ範囲:P.929 - P.931

はじめに
 国立熱海病院は人口5万の地方中小都市熱海の中心をなす医療機関であり,患者の分布は伊豆半島一円および箱根,三島地区におよんでいる。昭和44年2月国立熱海病院を辞任するにあたり昭和42年7月着任以来1年8ヵ月間の泌尿器科における統計的観察を行なつてみた。

文献抄録

結核による尿管狭窄の対策

ページ範囲:P.905 - P.905

 抗結核剤の台頭以来腎結核の治療成績は極めて向上したが,反面治療によつて尿管狭窄から腎機能障害を招来することが非常に多い。結核性尿管狭窄は幸なことに膀胱近接部に発生することが多いので,従来これに対していろいろな手術方法が報告されている。しかし狭窄が尿管の処々におきたり,ある長さの狭窄になるとボアリー法ないし尿管腸膀胱吻合術などが応用されている。尿管狭窄に対する簡単な処置としてHan-ley(1961)は8 Fの副木カテーテルを留置することによつて狭窄による水腎形成を治癒せしめた3例を既に報告しているが,その後この方法による報告が極めて少ないが,著者は尿管狭窄による結核性水腎の治療症例を経験し本法を推奨している。この方法は副木カテーテル留置により健常尿管粘膜の再生をはかるので,尿管に炎症があつては効果は少ない。これは外科的尿管再建においても同様である。そこで尿管狭窄の本法による治療は抗結核の化学療法開始後4ヵ月以上経過して結核性炎症が消退してから行なうことが望ましい。
 著者の症例は2例で1例は33才女性。左腎・膀胱結核と診断され,ストマイ・パス・アイナの三者併用治療を開始後4ヵ月半にて患者に中等度の尿管狭窄による水腎形成が見られるようになつた。逆行性腎盂撮影で尿管中央部に2ヵ所の狭窄部が明らかとなつた。そこで8Fの副木カテーテルを腎盂まで留置し反対側を尿道より出して17日間留置した。

Urological Letter

膀胱腟瘻形成術/Lewisの尿管結石用ピンセットとKollmannの尿道拡張器

ページ範囲:P.910 - P.910

 膀胱腟瘻形成術について経験豊かな泌尿器科医や婦人科医と討論しているうちに,経膣式手術に対して必要以上におくびようであり,恐れていることが分る。これは,この術式が技術的にも簡単であり,一般的に成功率が高いという基礎的知識や経験の貧しいことに由来していたためである。
 本法術式の概略は次のとおりである。

見聞記

第2回国際移植学会(1)

著者: 中村宏

ページ範囲:P.937 - P.940

 国際移植学会は1967年パリで開かれたのが最初だが,その第2回は1968年9月7〜11日にニユー・ヨーク市のAmericana Hotelで開かれた。本学会会長のJohn MarquisConverseと秘書のFelix T.Rapa-portとが共同でこの学会の会頭に当つた。国際移植学会の対象とする範囲は広く,骨髄移植,妊娠と移植,癌と免疫学と移植,臓器保存,臓器移植(腎・心・肝・肺・腸・膵・脾など),移植遺伝学,移植における組織適合性検査,異種性抗血清,移植抗原,移植における血清化学,免疫生物学といつた多方面にわたる問題が取り上げられたが,ここでは腎移植に関連した演題についてのみ御紹介することにしたい。
 シンポジウム—臓器保存(座長:Cdr.K.W.Sell, MC, USN, U.S.Naval Tissue Bank, Bethesda, Md.)

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外国文献

ページ範囲:P.942 - P.943

BRITISH JOURNAL OF UROLOGYVol.4, No.3, June 1969
Original Articles-
Renal Sinus Lipomatosis: A Report of Twenty -sixGases.J.-N. Poilly, J.E.N.Dickie and W.B.James257

内国文献

ページ範囲:P.944 - P.945


 ○腎不全患者の心電図,西出啓二郎:内科,24;516,1969.
 ○12才男児に見られた大動脈炎症候群に伴なつた腎血管性高血圧の1例,広沢元彦:24;586,1969.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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