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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科23巻13号

1969年12月発行

特集(増刊号の)2 腎不全

Ⅱ.急性腎不全

急性腎不全の血液化学の示標

著者: 稲生綱政1 水野克己1

所属機関: 1東京大学医学部第二外科学教室

ページ範囲:P.21 - P.26

文献概要

はじめに
 急性腎不全をもたらす原因には,外傷・手術侵襲・大出血・火傷,あるいは急性糸球体腎炎・急性腎盂腎炎・子癇の重症例・更には慢性腎疾患の急性増悪をも含めて考えても良い。この際,腎機能検査所見,血清・尿検査所見,臨床症状にいろいろの変化が見られるが,最初に異常が認められるのは尿量の減少である。その後種々の症状が発現するが,これらの病変は一般に適切な処置がとられれば可逆性で完全に治癒し得るものである。その病理組織学的変化は主として下部ネフロンにあり,いわゆるlower nephron nephrosisと総称されるものが多い。しかし,循環障害によるものなどでは必ずしも下部ネフロンのみに変化は限局されず上部ネフロンにも及ぶなど,必ずしも同一の変化より成るものではない。
 急性腎不全による乏尿・無尿が持続すれば,血中には窒素化合物などの老廃物の蓄積・酸塩基平衡の破綻・水分電解質の不均衡などの結果,浮腫・高血圧・高K血症・アチドーシスなどをもたらし遂には死亡するに至る。しかし,腎の病変は前述のように可逆性のものが多いのであるから,体液の平衡に努め更に要すれば透析療法を積極的に行ない救命に努力すべきであろう。ここではこの際の血液化学の示標を中心に,診断的症候を含めて述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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