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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科23巻13号

1969年12月発行

特集(増刊号の)2 腎不全

Ⅱ.急性腎不全

手術と急性腎不全の実際

著者: 稲生綱政1 水野克己1

所属機関: 1東京大学医学部第二外科学教室

ページ範囲:P.27 - P.32

文献概要

はじめに
 手術侵襲に関係して腎機能が少なくとも一過性の影響を受けることは古くから知られた事実である。この原因としては,生体反応の一環としての抗利尿物質分泌亢進の他に,術前よりの脱水状態等による腎機能低下,術中の大量出血等に基づく循環血液量の減少,腎の血行障害,異型輸血,輸液療法の過誤,腎毒性薬剤の大量投与,感染による有毒物質の吸収など枚挙に限りがない。
 従つて,術後の急性腎不全を防止するためには,保護的な麻酔法の下に必要最少限の侵襲に止まる確実な手術を施行するのが第1の要因であるが,更にこれとともに,充分な術前準備と適切な術後療法が大切なことは論をまたない。しかし,これらの療法がかなり進歩した現在でも,心臓大血管手術後や肝機能障害の高度な患者などでは腎不全が進行し遂には無尿に陥り,人工腎臓や腹膜潅流による透析療法が必要となる患者が必ずしも稀とはいい切れない現状である。従つて,これらの患者の実際を中心として手術後の腎不全について述べよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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