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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科23巻13号

1969年12月発行

特集(増刊号の)2 腎不全

Ⅲ.慢性腎不全

産婦人科領域における慢性腎不全の臨床

著者: 大川公康1

所属機関: 1日本医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.71 - P.75

文献概要

はじめに
 腎の生理および病理についての研究の進歩によつて従来から慢性腎炎,良性腎硬化症と考えられていたものの中からいろいろの症病が分類され鑑別されてきた。尿毒症といえば慢性糸球体腎炎によるものと考えられていたが,現在では腎盂腎炎がかなりの割合に占める統計が出てきたといわれ,産婦人科領域でも重要な位置を占めるものである。すなわち妊娠中における無症状性細菌尿,妊娠,産褥中の腎盂炎は妊娠中毒症に関係を有するとされるようになつた。また婦人科領域の疾患と尿管,膀胱底や尿道の機能的または解剖学的変化による排尿障碍は慢性腎盂腎炎と密接な関係を有するものとして注意が向けられてきた。
 慢性腎盂腎炎は最近10〜20年間に高血圧症を伴う腎不全を惹起する最も多い疾患として認められその研究も盛んである。これは尿路感染を繰り返したものから後年になつて高血圧症と腎不全を発生し易いことが認められた。しかし腎盂腎炎と考えた例に必ずしも細菌感染の明らかな証拠がないことがあるが,これは急性の細菌感染の静まつた後に,ある障害のあとの変化が進行性の腎疾患をおこしてくるとWeiss, S.等は考えた。これが拡大解釈されて細菌感染のないものも腎盂腎炎と診断されることがある。しかしこの診断には充分吟味されねばならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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