文献詳細
特集(増刊号の)2 腎不全
Ⅲ.慢性腎不全
小児科領域における慢性腎不全の臨床
著者: 村上勝美1 山本博章1 山田隆義1 羽鳥雅之1 本多和智1 芦田光則1 松岡和彦1
所属機関: 1日本医科大学小児科学教室
ページ範囲:P.83 - P.88
文献概要
小児の腎疾患はその多くは急性糸球体腎炎であり,そのほとんどがほぼ定型的な症候と経過を示し,予後も良いことは小児科医の常識となつている。ことに中でもpoststreptococcal (臨床的にASLO値上昇を示す)のものはその代表的なものとしてかなりはつきりしたclinical entityとなつている。
最近,いわゆる流行性腎炎の消退につれて小児期の腎炎も原因的,症候的に多彩となり,全経過も3〜6ヵ月から1年ないし1年半を要するもの(急性遷延型1))もあり,予後の上から病理学者のいう慢性腎炎と区別される症例が見られるようになつた。同時にまた小児においても成人に見られる慢性腎炎が増加し,今まであまり多く経験しなかつた慢性腎不全にも遭遇するようになつた。この現象が出てきた背景についてはここでは措くとしても,小児における慢性腎不全に実際に対処する心がまえを持たなければならないと思われるので,主として臨床面から述べ,あわせて小児の成人と異なつた面についても触れたいと思う。
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