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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科23巻13号

1969年12月発行

特集(増刊号の)2 腎不全

Ⅳ.腎不全の対策 3.人工腎臓

急性腎不全に対する透析法のABCと注意点

著者: 大沢炯1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.159 - P.168

文献概要

緒言
 血液透析療法が腎不全に対し,すでに有力なる対策として確立したことは周知の事実である。特に急性腎不全においてはこれの90%を超える死亡率を半減することのできる唯一の手段であることは繰り返して想起されるべき当療法の成果の一つであつて,何例かの急性腎不全の治療に当るうちに誰しもが実感と体験を通じて銘記する事実でもある。
 急性腎不全による尿毒症の成立は慢性の場合に較べ跛行的に現われることが多く,早期のBUN上昇,2,3日ずれたクレアチニンの上昇,速やかな血清Kの上昇による生命の危険,ショックや出血,外傷または手術後のカタボリズム,感染の危険等どれをとつても難物の条件が重複していることが多い。これがその死亡率の高い理由でもあるが,輸血,抗生物質,水,電解質,カロリーの補給,カリウム用イオン交換樹脂等を活用してもなお残るのは尿毒症そのものであり,そこにこれら患者の全身状態を生理的Homeostasisの状態に近く保ち利尿期まで生命を維持するもの,すなわち注意深くコントロールされた血液透析が必要不可欠な療法として必要となつてくる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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