文献詳細
原著
性染色体構成XX型の真性半陰陽の1例
著者: 佐々木桂一1 竹内睦男1 一条貞敏1 松下鈆三郎1 白井将文1
所属機関: 1東北大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.311 - P.316
文献概要
性に関する研究は,遺伝学の進歩とともに発展し,1949年Barr等1)のSex chromatinに関する研究で一躍進歩をとげ,現在では性の決定は,性染色体の組合わせにより行なわれるとされている。しかしながら,胎生のごく初期においては性腺原基は性染色体の組合わせが男であれ女であれ将来睾丸にも卵巣にも発育できる両要素を有しており,正常な個体では性染色体に一致した要素のみが分化発育し反対の要素は退化萎縮するわけであるが,何等かの原囚で両要素が発育してくることが当然起こりうるわけである。このような先天的な異常を真性半陰陽と呼んでいる。
本症は,極めてまれな疾患であり,本邦においては1923年前田2)の報告以来現在までわれわれが蒐集しえた症例は自験例をふくめてわずか64例をかぞえるに過ぎない。
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