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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科23巻5号

1969年05月発行

雑誌目次

図譜・295

腎盂腫瘍

著者: 河村信夫 ,   松永重昻

ページ範囲:P.348 - P.348

 患者 67歳,女子。
 主訴 血尿。

図譜・296

FUSED PELVIC KIDNEY

著者: 平竹康祐 ,   大江宏 ,   青木正

ページ範囲:P.349 - P.349

 患者 43歳,女,主婦。
 既往歴 22歳,24歳および26歳のとき正常分娩,29歳のとき虫垂切除。31歳のとき子宮筋腫,37歳のとき卵巣嚢腫といわれて開腹手術をうけた。

図譜・297

漆喰腎

著者: 広瀬欽次郎 ,   岡田清己

ページ範囲:P.350 - P.351

 患者 39歳,男子。
 初診 昭和42年9月21日。

綜説

尿管の先天性異常—73症例の観察

著者: 大田黒和生

ページ範囲:P.353 - P.362

Ⅰ.緒言
 尿管はWolf氏管末端部に生じた尿管芽が後腎組織細胞群内にのびてゆき,その先端部を扇形にひろげ,腎盂を形成しつつ,完成されてゆく。したがつて,腎に位置,数,形態(融合)などの奇形があれば当然,それと同時に尿管にも先天的な異常を生じてくる。また,そもそも尿管は腎実質内で生成された尿を膀胱へ運搬する役割を果しているため,逆に,尿管の先天性異常が腎へ影響を及ぼしていることが多い。たとえば先天性水腎症の80%以上が尿管の通過障害(腎盂尿管移行部—U-P,尿管膀胱移行部,U-Vを含む)に基づくといつても過言ではない。もちろん,尿管の先天性異常があつても必ずしも腎へ悪影響を及ぼしているとは限らない。そのような場合には一生涯発見されずに過されてしまう可能性が強い。
 発生異常と先天性通過障害の2群に分けることができるが,前者では腎の奇形を伴い,後者では腎は先天性水腎症の形となることが多い。これら奇形の発見の端緒はその大部分が尿路感染症である。慢性的膿尿,発熱のくりかえし,腹部腫瘤など腎盂の炎症や,水腎症などがあつて始めて臨床的に発見されている。

原著

腎ブルセラ症

著者: 中野幸雄 ,   大橋伸生

ページ範囲:P.363 - P.367

Ⅰ.緒言
 本邦における人のブルセラ症は比較的まれな疾患であり,とくに尿路系にブルセラ病変を呈する症例はまだ発表されていないようである。われわれは今回長期にわたる定型的波状熱をくり返えす本症の1例で合併した腎病変を手術する機会をえたので報告する。

膀胱平滑筋腫の1例

著者: 城仙泰一郎

ページ範囲:P.369 - P.372

Ⅰ.緒言
 原発性膀胱腫瘍は,そのほとんどが上皮性腫瘍で,間葉性腫瘍は比較的少なく,ことに良性間葉性腫瘍ははなはだまれなものとされている。われわれは最近膀胱平滑筋腫の1例を経験したので報告するとともに,良性間葉性腫瘍について若干の考按を加える。

膀胱癌の4剖検例—本邦膀胱癌349例の統計的考察

著者: 竹中生昌 ,   森脇昭介

ページ範囲:P.377 - P.383

Ⅰ.緒言
 原発性脳腫瘍に対して,二次性転移性脳腫瘍の頻度は報告者によりかなりの差がある(1.6〜40.0%)4,6,9)が,なかんずく肺癌や乳癌を除くと比較的少なく,とくに膀胱腫瘍の脳転移例は稀である。
 最近膀胱癌4例に剖検を行なうことができたが,うち2例には転移なく,1例は肺,肝転移を,他の1例では生前より脳症状を発現し,剖検にて脳をはじめ副腎,小腸および皮膚転移をみとめた。よつてこれら4例の臨床経過ならびに剖検所見とともに日本病理解剖輯報より集めた膀胱癌349例の転移形成について検討したので併せて報告する。

組織学的に骨形成を伴う間細胞腫と診断された無精子症の1例

著者: 水間圭祐 ,   滝本至得

ページ範囲:P.385 - P.389

Ⅰ.緒言
 睾丸間細胞腫はきわめてまれな疾患であり,Sacchi (1895)1)の報告に始まり,最近Gerwiget al.(1964)2)は文献上135例を集録しているが,その後Minkowitzの1例(1965)3),Bayerの2例4),Johonston5)らの1例など数例で,本邦では緒方,金子例(1917)6)の報告以来1965年まで7例のきわめて少数にすぎない。最近われわれは異所的骨形成を伴なつて組織学的に睾丸間細胞腫と診断された1例を経験したので,これを報告するとともに若干の考察を試みた。

両側性睾丸悪性腫瘍の1例

著者: 栃倉博

ページ範囲:P.391 - P.395

Ⅰ.はじめに
 両側性睾丸悪性腫瘍は1側性に発生する睾丸悪性腫瘍に比し,きわめてまれなものである。著者は両側性睾丸悪性腫瘍の1例を経験したので報告し,若干の考察を行なつてみた。

陰茎の淋巴管腫(淋巴管拡張症)

著者: 大矢正巳

ページ範囲:P.397 - P.399

Ⅰ.緒言
 淋巴管腫は身体各所に生ずるが,陰茎に認めた報告は極めて少ない。私は陰茎皮下の索状腫瘤が,拡張した淋巴管であることを確認した1例を経験したので報告する。

武蔵野赤十字病院泌尿器科における1967年7月〜1968年6月1年間の外来および入院患者の統計的観察

著者: 高崎悦司 ,   宮下厚 ,   徳江章彦 ,   加納勝利 ,   松本泰

ページ範囲:P.401 - P.405

 昭和42年(1967年)7月武蔵野赤十字病院に泌尿器科が誕生してから昭和43年6月で1年を経過したので,この間に外来をおとずれた患者および入院患者について統計的に観察した。この種の統計は大学病院においてしばしば行なわれているが,一般病院については少ないので参考に資するため報告することとした。

文献抄録

外傷性切断陰茎の再吻合術

ページ範囲:P.399 - P.399

 著者は外傷により完全に切断された陰茎の再縫合について文献的に調査したが,現在までに1例の縫合成功例があつた。この症例は50才の精神分裂症患者が自己の陰茎を肉切り包丁で完全に切断したもので,患者は直ちに病院へ運ばれ,切断後1時間45分後に陰茎の再吻合が行なわれた。経過は陰茎皮膚は10日後には壊死になり38日後には完全に脱落,遠位尿道も血行再開せず,後日陰茎皮膚および尿道は陰嚢皮膚により再建し排尿も可能となり,勃起射精等も本人の言によると満足にできるといわれる。著者は8才の少年が性戯から陰茎を振子根部において完全に切断した症例を経験し,その再縫合方法についての知見を述べている。この少年の場合は事故後3時間して陰茎の再吻合を行なつたのであるが,血行再開を考慮して陰茎の断端の血管結紮は行なわず,被切断陰茎の皮膚は切除しておいて尿道および陰茎海綿体はそれぞれに再吻合し,陰茎は陰嚢皮下に埋沒し,亀頭部は露出した。排尿は膀胱瘻より行ない尿道にはカテーテルを留置しない。術後の経過は7日目頃には亀頭部は黒化し皮膚は脱落したが,3週間目には上皮は再生し亀頭部の知覚も完全に保たれており膀胱瘻設置したまま一時退院した。そして術後11週目に陰嚢皮下に埋沒陰茎を正常に戻し,吻合尿道に軽度の狭窄を認めたがこれを正常に拡張(20Fまで)した。この患者は現在排尿は全く自由であり,亀頭部の知覚もあり早朝時には勃起もある。

Urological Letter

ストンバスケットは使用前に検査せよ,他

ページ範囲:P.405 - P.405

 尿管の下1/3にある結石を処置するために,ストンバスケットを用いることは泌尿器科医によつても,患者にとつても非常に良いものである。かなりしばしば自然排出すべき結石がこの部分で引懸つてしまうので,ストンバスケットで引出すことに成功すれば喜ばしいことである。しかし,この方法は余り強く押したり,引張るための損傷だけでなく,バスケットカテーテルそのものの故障による危険もある。
 最近,尿管下端から2cm上方の小結石を捕かくしているときに,バスケット全体が柄から抜けてしまつた。X線検査で4つの針金全部が尿管の中で洋傘のように開いていることが分つた。手術的に結石もバスケットもともに取り出した。

新薬治験

Ubretidによる術後腸蠕動療法

著者: 酒徳治三郎 ,   桐山啻夫 ,   大北純三 ,   佐長俊昭

ページ範囲:P.409 - P.410

Ⅰ.緒言
 UbretidはOsterreichische Stickstoffwerke A.G.研究所で開発された新しい抗コリンエステラーゼ剤であり,本剤はカルバミン酸誘導体で,その効果が持続的な所が特徴とされている。自律神経の刺激伝達物質であるacethylcholinはcholinesteraseによつて分解されるが,Ubretidの作用機序はこのcholinesteraseと可逆的に結合し,その作用を阻害し,acethylcholinを蓄積させてその作用を増強し,かつ持続させるといわれている。したがつて泌尿器科的には,膀胱機能障害および術後の腸管麻痺に対して有効であるとされている1,2,3)
 今回,鳥居薬品株式会社よりUbretid注射薬の提供をうけ,術後腸蠕動療法について検討したのでその結果を報告する。

尿管結石症に対するSH-100の使用経験

著者: 黒田恭一 ,   津川龍三 ,   福島克治

ページ範囲:P.411 - P.412

Ⅰ.緒言
 尿管結石症の治療としては,できうる限り保存的にかつ早期に,腎機能,感染などの合併症を避け,自然排出させることが最も望まれる。現在まで種々の方法が講じられているが,今回われわれは富山化学よりSH-100の提供を受け,本症への臨床的応用を試みたので報告する。なお症例の検討に当つては第1表のごとく各機関のご協力をえたので発表に先立ち謝意を表する。

見聞記

第63回米国泌尿器科学会総会(4)

著者: 中村宏

ページ範囲:P.414 - P.417

 5月14日は8時から3本の学術映画によつて始められた。Dr.Leo-nard Harold Wolin(Brooklyn, N.Y.)は「慢性血液透析のための動静脈シャント」でその手技を示し,Dr, Alan Hoffman他(Cleveland,Ohio)は「前部尿道再建術」で皮膚全層を用いる方法を紹介し,Dr.Donald R, Krawitt他(New York,N.Y.)は「後部尿道における先天性弁形成」で,教育用シリーズの一つとして内視鏡写真で弁がどのように見えるかを示した。

教室だより

東京慈恵会医科大学

ページ範囲:P.418 - P.418

 わが東京慈恵会医科大学は,法規的には大正10年10月19日設立されたのであるが,実質的には明治14年5月1日に泰西医学の講習を施す目的で開設された成医会講習所に始まり,本年は89年目に当る。
 本学の泌尿器科学講座は大正11年2月に創設され,初代教授には第1回および第6回泌尿器科学会総会の会長をつとめられた朝倉文三氏(明治21年東大別科卒)が招かれた。朝倉教授は留学から帰られて,本邦に初めて膀胱鏡を紹介したと伝えられ,膀胱鏡検査法を大正3年吐鳳堂書店から出しておられる。昭和4年朝倉教授が退職し,後任には大正元年本学卒,ミシガン大学で泌尿器外科を修めてこられた渡辺一郎氏が就任した。同教授は昭和10年に既に前立腺肥大症の経尿道的切除術を行なつたりしたが,最も得意としたのは結核腎の剔出であり,在任中に剔出腎は1000例を数えたといわれる。昭和26年1月渡辺教授が急逝され,翌昭和27年1月に本学第1外科助教授だつた南武教授が就任された。

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外国文献

ページ範囲:P.419 - P.420

 BRITISH JOURNAL OF UROLOGY Vol.40, No.6, December 1968.
British Association of Urological Surgeons-Annual Meeting, Cardiff, 1968
Congenital Anomalies of the Urethra.Richard A. Mogg 638

内国文献

ページ範囲:P.421 - P.424


 ○ウサギの実験腎性高血圧症における肝静脈結紮の影響,蔵本新太郎:日腎誌,5;467,1968.
 ○アンジオテンシン注入試験の臨床的意義,とくに食餌中,Na,K量の影響,東泰宏・川崎晃一・田仲謙次郎・尾前照雄・勝木司馬之助;日腎誌,5;477,1968.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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