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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科23巻9号

1969年09月発行

雑誌目次

図譜・304

腎動静脈瘻

著者: 徳原正洋 ,   西尾徹也

ページ範囲:P.712 - P.713

 患者 62歳,女子。
 初診年月日 1968年9月12日。

図譜・305

PYELOURETERITIS CYSTICAの1例

著者: 井上武夫 ,   平野昭彦 ,   広川信 ,   鈴木彦人

ページ範囲:P.714 - P.715

 患者 倉○レ○,69歳,女。
 初診 昭43.5.17.

原著

腎乳頭壊死の1例

著者: 小津堅輔 ,   石崎允 ,   新井元凱 ,   杉田篤生 ,   川村俊三

ページ範囲:P.717 - P.722

Ⅰ.緒言
 腎乳頭壊死は,1877年Von Friedreich1)により報告されて以来,欧米では多数の報告がみられるが,本邦における報告は比較的少ない。教室では先に斉藤ら2)が糖尿病に起因する腎乳頭壊死の1例を報告したが,最近腎盂腎炎によると考えられる症例を経験したので報告する。

原発性副甲状腺機能亢進症の経験

著者: 高崎悦司 ,   徳江章彦 ,   松本泰 ,   高橋勝三 ,   島野栄一郎 ,   西浦常雄

ページ範囲:P.723 - P.732

 尿路結石の成因にはいろいろなものが挙げられるが,血中および尿中のカルシウム増加も原因となることは良く知られ,その代表として副甲状腺機能亢進症がある。副甲状腺機能亢進症は本邦においても症例数が次第にふえてはいるが未だ稀な疾患に属する。我々も尿路結石を伴つた2症例を経験したので報告するとともに考察を加えたい。

胃癌転移による仮性無尿症の1剖検例

著者: 後藤甫 ,   中久喜茂也 ,   西尾徹也 ,   徳原正洋

ページ範囲:P.733 - P.738

Ⅰ.緒言
 尿管閉塞に起因する,仮性無尿症はまれな疾患ではなく,その原因の多くは結石,結核および腫瘍である。高安らの本邦における統計では,腫瘍の場合の大部分は子宮癌(77.8%)で,ついで胃癌(9.1%)が多い。しかし胃癌の転移による仮性無尿症の本邦報告例は1968年までに17例をみるにすぎない(第1表)。われわれは最近本症の1剖検例を経験したので報告する。

睾丸回転症6例—附,本邦集計の臨床的考察

著者: 山中英寿 ,   松岡政紀 ,   黛卓爾 ,   海老原和典

ページ範囲:P.741 - P.744

Ⅰ.緒言
 睾丸回転症は睾丸部の疼痛を主訴とする他疾患との鑑別が困難なため,誤診されたり,観過される事が多く,臨床的にも決して稀れな疾患ではないと考えられている。しかも,発症当初の処置が妥当でない時には睾丸壊死という重大なる事態に陥入るものである。最近著者等は本症の6例を経験したので,症例について報告するとともに,本邦集計を考按し,卑見を述べてみたい。

睾丸ヘルニヤの2例

著者: 金沢稔 ,   中村順 ,   広井康秀

ページ範囲:P.745 - P.748

Ⅰ.緒言
 睾丸外傷のうちでも睾丸脱出症の報告は,本邦では現在まで28例で,なかんずく睾丸ヘルニアは,調べえた範囲では7例に過ぎず非常に稀なものである。我々は最近骨盤部轢過による1例と,会陰部強打による1例の計2例の睾丸ヘルニアを経験したので報告するとともに,若干の文献的考察を加えた。

若年性前立腺癌症例

著者: 折笠精一 ,   広田紀昭 ,   川村五郎

ページ範囲:P.751 - P.754

Ⅰ.緒言
 前立腺癌は高令者の疾患であり,40歳以下に発生することは,市川(1959)の本邦統計791例中4(0.5%),Tjaden (1965)の4,009例中3(0.075%)にみるごとく稀である。
 最近我々は23歳の前立腺癌を経験したので以下報告するとともに,若年性前立腺癌の特異性につき若干の考察を試みたい。

水溶性造影剤の過誤注入による脊髄偶発症

著者: 柏木崇 ,   広中弘 ,   酒徳治三郎

ページ範囲:P.757 - P.760

Ⅰ.緒言
 水溶性造影剤の硬膜内注入による偶発症の報告は,本邦および外国においてもことが医療事故であるだけに,その発表は非常に少ない。このたび,孤立性腎嚢胞を直接造影する目的で経皮的に33%スギウロン15mlを注入したところ,過つて硬膜内に達し,注入直後より激烈な症状を呈したが,硬膜内洗浄などを行なつて,幸にも治癒せしめえた貴重な症例を経験したのでここに報告する。

Urological Letter

(78)根治的後恥骨式前立腺摘除術/(79)腎癌に対する胸腹切開

ページ範囲:P.722 - P.722

 恥骨後式前立腺全摘術の12例を1955年以来12例行なつたものを今回まとめてみた。本法の適応は癌が腺内に限局している例に限られる。酸フォスファターゼ値も正常範囲内でその他も健康な65歳以下の症例としている。
 5例はTURPのあと発見されたので,そのあとに本法を施した。他の7例は経肛門的生検で発見されたものである。

文献抄録

20歳台以下の上皮性膀胱腫瘍

ページ範囲:P.732 - P.732

 若年者の上皮性膀胱腫瘍の臨床については不明な点が多かつたので,この論文は1954年から64年にいたる間の10,000例に及ぶ上皮性膀胱腫瘍中から見出された,40例の20歳以下の患者について統計的観察を行なつたものである。
 先ず性別については40例中男子36例,女子4例で圧倒的に男性に多く9:1。最年少者は6歳である。臨床症状としては血尿が最も多く35例が肉眼的血尿を呈し2例が顕微鏡的な血尿を示した。初期症状として排尿困難と頻尿を示したものは膀胱炎・前立腺炎と誤診される。若年者で(14歳以上)1日1箱半の喫煙をしていた者は18例で喫煙歴は症状発現の2ないし5年となつている。腫瘍は左・右の側壁にそれぞれ15例見られ,頚部に4例,後壁に2例で,1例のみ多発性であつた。腫瘍型について見ると38例は移行上皮癌であり,2例は扁平上皮癌と腺癌の各1例であつた。

手術手技

恥骨後前立腺・精嚢腺剔除術

著者: 井上彦八郎 ,   三瀬徹 ,   宮川光生 ,   高橋香司 ,   佐藤義基

ページ範囲:P.765 - P.772

Ⅰ.緒言
 前立腺肥大症に対する外科的療法には,種々の到達経路による腺腫の剔除術が試みられてきており,それぞれ特徴ある操作によつてよい治療成績を挙げてきている。その内の1つである恥骨後前立腺剔除術も,他の術式に優るとも劣らない成績を多くの症例に示してきている。しかし,この術式も他の前立腺剔除術がそうであるように,2,3の点に問題が残されているようである。その主なものを挙げると,術後における血尿の持続期間が長いこと,後出血が出現すること,尿路感染の長期間存続とそれによる合併症のあること,そして術後排尿に関する異常が新しく発現したり,術前の症状がなおも残存することなどで,この点については本邦でも多くの人達の努力によつて改善されつつある。我々もこの術式で可能な範囲での注意を払い,また手術操作の上でいろいろと改良を加えてきたのであるが,それでもなおある症例に対しては満足すべき成績を得ることはできなかつた。そこでいろいろと検討した結果,以上の諸問題は膀胱頸部,前立腺床およびその後方にある精嚢腺に原因があることを知り,これらに対して何等かの操作を加えれば,この問題は多少なりとも解決され得るのではないかと考えた。

見聞記

第63回米国泌尿器科学会総会(8)

著者: 中村宏

ページ範囲:P.775 - P.778

 最終日の午前中の一般演題の続きから御紹介することにする。

教室だより

東京女子医科大学

著者: 河野南雄

ページ範囲:P.779 - P.779

 教室だよりを書くにあたつて,今や国際的流行ともなつている大学騒動・ゲバ棒の時代に,女子医科大学なるゆえか今のところ平穏無事に学び,遊べていることを,まず特筆大記せねばならない。
 本学は申すまでもなく,明治33年12月,吉岡荒太,彌生ご夫妻によつて,東京女医学校としてうぶ声をあげ,ヒトの生涯にたとえれば,明治45年に東京女子医学専門学校という学童期に入り,戦後昭和25年に東京女子医科大学という思春期に及んだわけで,この思春期にちようど男女共学の気運が風びしていたときで,共学にふみきるべきか否かに思い悩んだらしいが,結局,女子医科大学というわが国ではユニークな(共産圏は不明だが,米国に1校のみ女医大があるやにきいている)存在となつた。その後,附属機関としての,心研や,消化器病センターも併設され,ベット数も1,210床となり,生後67年にしてはじめて成人期に入り,これからの発展が期待されるわけである。

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外国文献

ページ範囲:P.780 - P.781

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.101, No.2, February 1969
Bilharzial Calcification of Renal Capsule.A.Atala and M.F.Zaher 125
Recognition and Treatment of Tuberculous Pyo-calyx of Kidney.A.W.Bruce, S.A.Awad and T.W.Challis 127

内国文献

ページ範囲:P.782 - P.783

副腎・後腹膜
 ○後腹膜に発生した神経鞘腫(Schwannoma)の1例,丹田均・寺田雅生・大西茂樹・加藤修爾:日泌尿会誌,60;421,1969.
 ○巨大副腎皮質癌によるCushing症候群,笹野伸昭手術,23;780,1969.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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