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綜説
急性膀胱炎とその治療
著者: 白岩康夫1
所属機関: 1弘前大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.17 - P.23
文献購入ページに移動最近の抗生物質の開発は急で目ざましい。10数年前まではペニシリン,テトラサイクリン,クロロマイセチン,オオレオマイシンなど,わずか数種を数えるに過ぎなかつたのが,現在では種類も豊富となり枚挙にいとまがなく,適応も広範囲となつた。膀胱炎の治療として一般療法は昔と変らないとしても,第2次世界大戦中の抗生物質がなく,薬物療法としてウロトロピンの内服かウロトロピン剤の静注や利尿剤の服用を行なうか,あるいは5,000倍KMnO4,2〜3%硼酸水,5,000倍リバノール水,4,000〜2,000倍の硝酸銀溶液などを用い,出てくる液が透明になるまで洗滌を行なつた1)ころと比べればまさに雲泥の差である。
今日の急性膀胱炎の治療は,これら抗生剤を自由に駆使しうるから治癒率も高く,治療上困難を感ずることはほとんどなくなつてしまつた。しかし急性膀胱炎といえども,新たに検討を加えるべき問題も発生してきており,興味の尽きないものがある。
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