文献詳細
原著
Milk of calcium renal stoneの1例
著者: 久住治男1 乗岡栄一2
所属機関: 1金沢大学医学部泌尿器科学教室 2国立鯖江病院,放射線科
ページ範囲:P.911 - P.913
文献概要
Milk of calcium renal stoneとは腎杯憩室あるいは腎杯嚢胞などといわれる嚢内に,微細なカルシウム粒子が粘稠な内容液に懸濁した状態で存在するものをいう。したがつて立位,側臥位のレ線写真では,微小結石と内容液の比重差によつて,この内容液は水平面を有する半月状陰影を示し,仰臥位では円形ないし類円形を呈する特徴がある。1940年Lüdin and Howard1)は炭酸カルシウム,燐酸カルシウムの微細粒子がいわゆるmilk-of-calciumの状態を呈して腎嚢胞内に存在する1例をはじめて報告した。1959年にHowell2)がこの特徴あるレ線像に対し,Milk of calcium renalstoneと命名して以来,欧米文献上12例の報告2〜13)がみられるが,本邦ではわずかに広中ら(1968)14),中田ら(1969)15)の報告がみられるにすぎない。
最近われわれは胃集団検診の際,偶然発見された本症の1例を経験したので報告する。
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