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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻11号

1970年11月発行

綜説

膀胱癌化学療法—血管よりの治療

著者: 中村恒雄1 緒方二郎1 右田紀雄1 野溝昌成1

所属機関: 1熊本大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.989 - P.997

文献概要

はじめに
 癌の化学療法は1865年Lissauer1)が白血病にPotassium arseniteを投与したのに始まるとされるが,第2次大戦後,ことに最近の発展にはまこと目覚しいものがある。この理由として,癌化学療法が一時的にもせよ臨床的にある程度の効果をもたらすこと,癌を全身病となす概念が台頭し,白血病,悪性リンパ腫などの系統臓器腫瘍だけでなく,限局性癌においても方法論的に優れていること,さらには最近における幾多の優秀な制癌剤の開発などが挙げられる。しかしながら感染症に対する化学療法の効果に比べて,その効果にはなお大きなへだたりがあり,手術療法あるいは放射線療法無効例に化学療法を行なつても無意味となすものもある。たしかに現在においては化学療法を単独ないし主要療法となすには問題もあるが,最近化学療法のみで急性白血病2),Choriocarcinoma3),Neuroblastoma, Wilms'tumor,横紋筋肉腫などの症例を5年以上生存せしめえたとなす報告もあり,制癌剤の開発,改良とともに手術療法,放射線療法との併用,あるいは投与法の工夫によつて癌治療成績の向上に努力すべきであろう。膀胱癌に対する制癌剤の全身性投与法は手術例における併用療法あるいは手術不能例に対する姑息的療法として行なわれて来た。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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