文献詳細
特集(増刊号の)3 小児の泌尿器疾患
Ⅰ.綜説
文献概要
A.総論
下部尿路通過障害は小児泌尿器科の重要な分野を占めている(われわれの教室の外来小児患者の少なくとも6%,入院小児患者の12%に相当す)。
その大部分は先天性病因によるものと思われるが,新生児・乳児期の下部尿路通過障害の症状は多彩でしかも尿路症状よりも発育栄養不良・発熱などの全身症状が前景に出るためしばしば他科疾患と誤診され,排尿異常の存在は看過されていることが多い。さらに幼児期に入つても排尿困難の自覚症状が少ないのが特徴的であり,また家人および相談をうけた医師も安易な姑息主義から専門的検査をうけさせずに長く放置していることも少なくなく,しかもこの間に慢性尿閉と高率に続発する尿感染,あるいは膀胱尿管逆流のため,腎・上部尿路は進行性障害をこうむり,時には高度の水腎水尿管と慢性腎盂腎炎が相まつて潜在的尿毒症状態となつていることもある。一方,通過障害除去術後の遠隔成績も,結局来院時の腎上部尿路障害の程度(非可逆性か否か)によるわけで,この意味で新生児・乳児期の排尿状態の注意深い観察と早期診断治療の重要性が強調される。
下部尿路通過障害は小児泌尿器科の重要な分野を占めている(われわれの教室の外来小児患者の少なくとも6%,入院小児患者の12%に相当す)。
その大部分は先天性病因によるものと思われるが,新生児・乳児期の下部尿路通過障害の症状は多彩でしかも尿路症状よりも発育栄養不良・発熱などの全身症状が前景に出るためしばしば他科疾患と誤診され,排尿異常の存在は看過されていることが多い。さらに幼児期に入つても排尿困難の自覚症状が少ないのが特徴的であり,また家人および相談をうけた医師も安易な姑息主義から専門的検査をうけさせずに長く放置していることも少なくなく,しかもこの間に慢性尿閉と高率に続発する尿感染,あるいは膀胱尿管逆流のため,腎・上部尿路は進行性障害をこうむり,時には高度の水腎水尿管と慢性腎盂腎炎が相まつて潜在的尿毒症状態となつていることもある。一方,通過障害除去術後の遠隔成績も,結局来院時の腎上部尿路障害の程度(非可逆性か否か)によるわけで,この意味で新生児・乳児期の排尿状態の注意深い観察と早期診断治療の重要性が強調される。
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