icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻13号

1970年12月発行

特集(増刊号の)3 小児の泌尿器疾患

Ⅰ.綜説

下部尿路通過障害の臨床

著者: 辻一郎1

所属機関: 1北海道大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.27 - P.38

文献概要

A.総論
 下部尿路通過障害は小児泌尿器科の重要な分野を占めている(われわれの教室の外来小児患者の少なくとも6%,入院小児患者の12%に相当す)。
 その大部分は先天性病因によるものと思われるが,新生児・乳児期の下部尿路通過障害の症状は多彩でしかも尿路症状よりも発育栄養不良・発熱などの全身症状が前景に出るためしばしば他科疾患と誤診され,排尿異常の存在は看過されていることが多い。さらに幼児期に入つても排尿困難の自覚症状が少ないのが特徴的であり,また家人および相談をうけた医師も安易な姑息主義から専門的検査をうけさせずに長く放置していることも少なくなく,しかもこの間に慢性尿閉と高率に続発する尿感染,あるいは膀胱尿管逆流のため,腎・上部尿路は進行性障害をこうむり,時には高度の水腎水尿管と慢性腎盂腎炎が相まつて潜在的尿毒症状態となつていることもある。一方,通過障害除去術後の遠隔成績も,結局来院時の腎上部尿路障害の程度(非可逆性か否か)によるわけで,この意味で新生児・乳児期の排尿状態の注意深い観察と早期診断治療の重要性が強調される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら