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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻13号

1970年12月発行

特集(増刊号の)3 小児の泌尿器疾患

Ⅱ.病因と治療

小児尿路感染症の原因と治療—泌尿器科的立場から

著者: 川村猛1

所属機関: 1東京都立清瀬小児病院泌尿器科

ページ範囲:P.61 - P.69

文献概要

はじめに
 近年わが国でも小児泌尿器科疾患が注目されるようになり,それに伴つて小児の尿路感染症の重要性が認識されはじめているが,この領域についての観察は従来小児内科の観点からされたものが多く,小児泌尿器科的観点からの検討も少ない。これはわが国における小児泌尿器科学の発達が遅れたことと一般小児科診療と泌尿器科診療の緊密な連携体制の欠如などに起因するものと思われる。しかし,本症の小児泌尿器科疾患の占める頻度がきわめて高いこと1)2)3),種々の治療法の著しい進歩にもかかわらず,その治癒率は満足するに至つてないこと4),本症の診断の困難さも加わつて,長期にわたつて無症状に経過し,成人期に至つて高血圧,腎不全などに発展するおそれがあること5),それらの原因として本症では高率に尿路の障害,特に先天性奇形が基礎疾患として存在すること6)7)8)などから,われわれ泌尿器科医も小児尿路感染症に対する認識を新たにする必要があり,本症の診断,治療に当つては万全の策を講じて慎重に対処しなければならない。
 本症の発見,診断は患者が小児であることの理由から成人の場合と異なり,主として他覚的異常所見から行なわなければならないために,非常に困難で,診断自体にも山積する問題が含まれるが,本稿ではその病因と治療方針に焦点をしぼり,筆者が観察した臨床統計を述べるとともに文献的考察を加え,併せて私見を述べて見たいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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