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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻13号

1970年12月発行

特集(増刊号の)3 小児の泌尿器疾患

Ⅱ.病因と治療

夜尿症の心理学的・精神医学的諸問題

著者: 平井信義1

所属機関: 1大妻女子大学家政学部児童学科

ページ範囲:P.71 - P.79

文献概要

はじめに
 夜尿症は,今日の科学的接近からすれば,いまだに本態のはつきりしていない症状の一つである。実に多くの子どもが,そしてその母親や保育者が,夜尿症で悩んでいるにもかかわらず,原因が明らかにされていないし,治療法も確立されていないのである。したがつて,医師もまた,夜尿症の患者に訪問されると,あれこれと治療をしてはみるが,決して確信に基づいてはいない。その間にあつて,劇的な治療効果のあがつた例を経験するから,また妙である。そのような経験は,一時的に,医師の気持を鼓舞し,しばらくの間その効果を挙げた治療法に固執し,その理論的展開を試みる。そのようにして発表された論文の数は非常に多く,治療剤の数に至つては数百種類に及んでいる。しかし,それらは決定的・永続的な効果をあげず,次第に無効例が多くなるにつれて,その治療法は次第に用いられなくなつている。以上の状態がくり返されてきた中で,各種の民間療法が行なわれ,その効果が宣伝されるという状況にある。
 夜尿症の治療に当つた医師の多くが,劇的な治療効果をあげたという経験を持つていることは,非常に興味深いことである。その点をもつと追究してみなければならないが,そのような経験が一般化されず,夜尿症に対する決定的な治療法にまで発展しないことは,夜尿症の複雑さを物語つている。夜尿症で悩む者は依然として多く,相談に来る人々も跡を絶たないのが現状である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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