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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻3号

1970年03月発行

雑誌目次

図譜・316

孤立性腎嚢腫

著者: 川口安夫 ,   伊藤芳雄

ページ範囲:P.208 - P.209

 患者 村松某,65歳,女。
 主訴 排尿後の不快感。

図譜・317

膀胱頸部の離断

著者: 大原孝 ,   杉山喜一 ,   日野豪 ,   城戸摩利子

ページ範囲:P.210 - P.210

 患者 高原某,19歳男子。
 既往歴および家族歴 特記することなし。

図譜・318

尿道憩室

著者: 田崎寛 ,   河村信夫 ,   織田孝英

ページ範囲:P.211 - P.211

 患者 66歳,男子。
 主訴 血精液症。

図譜 泌尿器科病理組織図譜・3

腎腺癌

著者: 田崎寛 ,   坂口弘

ページ範囲:P.214 - P.215

1.透明細胞型(clear cell type)
 患者 46歳,男子。主訴 間歇的無症候性血尿。
 経過 5〜6年来主訴を繰返していたが次第に血尿は強くなった。IVPその他で左腎腫瘍の診断のもと,左腎摘出術を受けた。摘出腎は15×9×6cm,380gで下極に手拳大の腫瘤を認めた。割面では黄色斑多数認め所々灰白色を呈していた。

綜説

急性膀胱炎と上部尿路

著者: 佐藤昭太郎 ,   鈴木三継

ページ範囲:P.217 - P.224

はじめに
 急性膀胱炎,特に細菌性の膀胱炎は日常泌尿器科臨床で最も多く遭遇する,代表的な疾患である。これが通過障害や合併症を持たない限り,自然治癒の傾向を有し,抗生剤や化学療法剤によく反応することから,比較的安易に取り扱われがちである。簡単に急性膀胱炎の診断をつけて,ただ単に薬剤の投与を繰り返していることもある。一般に全身症状が軽微であるので,このように扱われているが,果して上部尿路に全く影響のないものであろうか。特に最近上部尿路感染症(腎盂腎炎)に対する関心が深まり,極めて重要な疾患であることが認識され,これらの原因的要素として下部尿路感染の存在,カテーテル挿入の功罪あるいは無症候性細菌尿の存在などが注目されている折柄,もう一度細菌性急性膀胱炎のさいの上部尿路への影響を考慮してみるのも有意義であろうと思う。

原著

Congenital Unilateral Multicystic Kidneyの1例

著者: 久住治男 ,   寺邑能実 ,   松原藤継

ページ範囲:P.225 - P.230

緒言
 主として新生児,小児にみられる腎の嚢胞性疾患の1つであるcongenital unilateral multicystic kidney (先天性偏側性多嚢腎)は,近年本邦においても次第に注目されるようになつた。本症に関する臨床病理学的考察は,混乱している腎の嚢胞性疾患の病因論の中にあつて,最も一般的なpolycystic kidneyなどと明らかに区別されうる独立した疾患であることを示している。
 multicystic kidneyの記載は1894年Hildebra—ndt1)によつてなされ,congenital unilateral multi—cystic kidneyの名称はSchwartz2)(1936)によつて,7カ月,男児の摘除左腎に対し提唱されたのにはじまる。また本症の第1報告例は1897年,Springerによるものとされている。本症が種々の病名のもとに報告されていること,あるいは他の疾患と混同されて報告されていることは,すでにしばしば指摘されており,あるものはその解剖学的,胎生学的見地からcongenital aplasia with cystic degenerationなる名称を提唱している。しかしながら臨床家においては,臨床病理学的見解にもとづくcongenital unilateral multicystic kid—neyを用いるものが多い。

原発性アルドステロン症の1例

著者: 石川尭夫 ,   加藤二郎 ,   森博志

ページ範囲:P.233 - P.236

緒言
 1955年,Conn1)が新しい症候群として,primary aldosteronismを発表して以来,多数の症例が報告されてきている。本症の典型的臨床像は,高血圧,低K血症,周期性四肢麻痺,アルカロージス,多尿であるが,特に高血圧に低K血症の合併する症例をみれば,primary aldosteronismの疑いが濃厚であることは,臨床医の常識となつて来ている現状である。
 今回われわれは高血圧と低K血症とを合併した症例を経験し,手術によりprimary aldosteronismであることを確認し得たので,ここに報告する。

Cowper氏腺嚢腫の1例

著者: 白神健志

ページ範囲:P.239 - P.242

緒言
 Cowper氏腺嚢腫は本邦では佐藤1)(1918),高島2)(1953)の報告をみるのみであり,また欧米でも少数の報告例がみられるにすぎない。最近われわれの教室で20歳の男子に発生したCowper氏腺排泄管の嚢腫様拡張,すなわち広義のCowper氏腺嚢腫の1例を経験したので報告する。

尿道憩室の4例

著者: 平野昭彦 ,   井上武夫 ,   鈴木彦人

ページ範囲:P.243 - P.250

はしがき
 尿道憩室は比較的まれな疾患とされているが,最近,本症に対する認識の向上とともに増加してきている。著者らも男子および女子尿道憩室の各2例を経験したので報告し若干の文献的考察を行なう。

先天性陰茎捻転症の1例

著者: 佐々木桂一 ,   一条貞敏 ,   竹内陸男 ,   白井将文

ページ範囲:P.251 - P.253

緒言
 先天性陰茎捻転症はきわめてまれな疾患であり,本邦においては1939年松田1)の報告以来現在まで自験例を含めてわずか15例をかぞえるにすぎない。最近,私達は本症の1例を経験したのでここに多少の文献的考察を加えて報告する。

非交叉性睾丸転位の2例

著者: 河村信夫 ,   東福寺英之 ,   川上隆

ページ範囲:P.255 - P.258

緒言
 睾丸の位置異常には停留睾丸と睾丸転位の2種が知られている。睾丸転位は「睾丸が正常の位置あるいは正常の睾丸下降の経路以外に存する。」ということで定義される。その頻度は停留睾丸より非常に少ない。また性器の発生研究上にも重要な資料である。
 われわれは比較的まれな,非交叉性の睾丸転位を最近2例経験したので,それについて報告する。

副睾丸腺癌の1例

著者: 福井準之助 ,   中平正美 ,   奥脇晴雄

ページ範囲:P.261 - P.264

緒言
 副睾丸の癌腫はきわめて稀な疾患であり,病理組織学的には腺癌がその大部分を占めている。われわれは最近腺癌の1例を経験したのでここに報告する。

Urological Letter

TUR,他

ページ範囲:P.231 - P.231

TUR-PのあとにThree-way Catheter
 筆者は過去1年TUR-Pのあとに持続灌流のために,三方カテーテルを使用してきた。カテーテルを牽引して止血したいときはバッグを膨らます枝に約500mlの水を入れた袋を結びつければ良い。結びつける紐を長くしてベットの足の中央から下にぶら下げておく。こうしておけば足の運動にも邪魔にならない。もちろん,ひどい出血のときには再び手術室に引きかえしてさらに出血点を探して凝固する。

文献抄録

両側性精嚢腺嚢腫

ページ範囲:P.259 - P.259

 精嚢腺の嚢腫は極めて稀な疾患で現在まで文献的に13例が報告されているのみである。著者がここに報告する症例は従来の症例と異なり両側性かつ60才台という高令者に見られたもので文献的にもこのような症例は見当らない。
 症例は69才で結婚,性生活も営み得る健康な男性であるが,昼夜間の頻尿と排尿障害を主訴に入院した。既往症として15年来慢性前立腺炎をもつていた。検査では膀胱の拡張と膀胱底の挙上が見られ,直腸診で前立腺上方に固い腫瘤を触れるが可動性で周囲との癒着はない。尿所見では沈渣に少数の白赤血球を認めたが培養では菌陰性,内視鏡では後部尿道の延長と三角部の著明な膨隆が見られた。排泄性腎盂像は正常。膀胱造影では直腸の後方圧排著明かつ膀胱底後部尿道の前方圧迫像も顕著に認められた。その他胸部,心電図にも異常はない。以上の所見から鑑別診断として,S状腸,結腸等の憩室形成,膀胱の筋腫,ミユラー氏管嚢腫あるいは直腸腫瘍の膀胱浸潤等が考えられるが,下腹部正中切開にて開腹術を施行した。膀胱後方に精嚢腺の位置に6×5×4cmの嚢腫を認め,この肥厚した壁を切除すると内容はムチン,ゲラチン様の物質でみたされ,一部血性であつた。嚢腫にドレーンをおき壁を切除して術を終つた。

新薬治験

上部尿路結石症に対するウロカルンの使用経験

著者: 和田一郎 ,   近沢秀幸 ,   西野辰平

ページ範囲:P.269 - P.271

はじめに
 尿路結石に対する溶解ないし発育阻止の目的で従来クエン酸塩,水酸化アルミニウム,ヒアルロニターゼ,ビタミンA,D,コンドロイチン硫酸,グルクロン酸などが用いられ,さらに近年では溶解,消炎,鎮痙,利尿などの総合的薬理機序を有するといわれる数種の揮発油を主成分としたロワチンが開発されている。しかしいまだ決定的薬剤がないのが現状であり,この方面の研究開発が要望されるわけである。今回,日本新薬株式会社よりうらじろがしエキスを主成分としたウロカルンの提供をうけ,上部尿路結石症に使用したので,臨床成績について報告する。

Furadantin Macrocrystal—特に副作用について

著者: 東福寺英之

ページ範囲:P.273 - P.275

 1944年DoddとStillmanによつて発見されたNitrofuranは,その安定性,広い抗菌力の他耐性菌が出現し難いなどの優れた特徴を有するうえ,その高い尿中排泄濃度が認められ尿路感染症に広く用いられ始めた。しかし本剤に伴なう嘔気,嘔吐などのため製剤面では腸溶錠が出現し,一般に1日投与量を400mgとしていたものを1日200mgに減量し,その治療効果を減少させることなくこれら副作用の軽減に努力が払われた。他方,本剤の内服時牛乳などを用いることが奨められたが必ずしも期待できる程の効果が挙げられたとはいえなかつた。
 この副作用についてはCatloWが本剤の点滴静注によつても濃度が高くなるに従つて急速に嘔気の発生率が高まりCompazineを併用することによつて嘔気の発現が半減する事実から中枢神経の作用も多分に関係していることを述べた。一方急速な吸収も誘因として否定できずPaulらは本剤の結晶の大きさを変えることにより吸収の速度を抑制し副作用防止に努めた。

見聞記

第2回国際移植学会(4)

著者: 中村宏

ページ範囲:P.279 - P.281

一般演題:組織適合性検査
 このセッションの座長はDr.J.J.van Rood (Univ. of Leiden, TheNetherlands)で,6題の演題が発表されたが,そのうち4題が腎移植と直接関係があつた。

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外国文献

ページ範囲:P.282 - P.286

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.102, No.4, October 1969
American Urology−1969.Its Achievements-Its Challenges.R.H.Flocks 373
Intrarenal Arteriovenous Fistula and Aneurysm in Solitary Kidney Due to Needle Biopsy.T.G.Ochsner and F.M.Busch 378

内国文献

ページ範囲:P.287 - P.288


 ○膜性腎症(Membrane Nephropathy),石川栄世:medicina,7;(1),92,1970.
 ○Kiil型人工腎による血液透析の研究,過去2年間の経験と透析液の検討,福重満・田中広見・田戸治・松木暁・仁平寛巳:泌尿紀要,15;847,1969.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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