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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻4号

1970年04月発行

雑誌目次

図譜・319

仙骨前・直腸後腫瘍

著者: 高羽津 ,   生駒文彦 ,   岡本英三 ,   佐谷稔

ページ範囲:P.296 - P.297

 患者 7ヵ月女児。主訴尿閉および腹部膨満。家族歴および既往歴第1子にて満期安産。
 現病歴 昭和43年9月上旬,食思不振および便秘傾向あり。同9月11日,尿閉をきたし某医にて導尿をうけ一時軽快していたが,9月23日再び尿閉ならびに腹部膨満著明となり,当科入院す。

図譜・320

子宮動脈の絞扼による水尿管

著者: 姉崎衛 ,   阿部礼男

ページ範囲:P.298 - P.299

 患者 古○ハ○ミ,30才,女性。
 初診 昭和43年6月20日。

図譜 泌尿器科病理組織図譜・4

Wilms腫瘍

著者: 田崎寛 ,   坂口弘

ページ範囲:P.302 - P.303

1.未分化型undifferentiated type
 患者 14歳,男子。主訴 腹部膨隆。経過 1か月前から主訴に気付き後腹膜腫瘍の診断で入院手術を受けた。腫瘍は左腎よりはじまり右は正中線を越え,左は脾を前上方に圧迫していた。

綜説

膀胱結石と異物

著者: 岡直友

ページ範囲:P.305 - P.313

緒言
 膀胱結石ならびに膀胱異物は,膀胱に特異な合併症のない限り,経尿道的に除去することができるのであつて,泌尿器科的手技の真髄の発揮できる疾患である所に治療上の興味がもたれる。両者ともそれがやや長期間にわたつて存在すると膀胱炎を併発し,かつこれは結石ないし異物が除去されぬ限り慢性化し,ひいては上行感染によって重大な腎盂腎炎を誘起するから注意を要する。膀胱異物を中心にして上として燐酸塩の沈着が起こり,異物結石が成立する点,異物と結石は一連の関係を示すものである。

Urological Letter

泌尿器科臨床における過去1年の注目すべき経験,他

ページ範囲:P.313 - P.313

(1)くり返し再発する女子膀胱炎
 女子患者では比較的多くの尿道憩室患者を経験した。当然,すべての泌尿器科医が同様の問題に遭遇している筈であるが,難しい問題は尿道を拡張しても,薬物療法でも膀胱洗浄でも癒らない再発性の膀胱炎である。こういう女子の患者に対しては,筆者は現在Davisカテーテルを用いて尿道造影を行なうことにしている。過去6カ月以内に,こうして発見された尿道憩室をもつ8人の患者を手術して全治せしめ得た。

手術手技

会陰式前立腺腺腫剔除術

著者: 辻一郎

ページ範囲:P.315 - P.322

 前立腺肥大症に対する各種の腺腫剔除術式のうち,会陰式前立腺剔除術は歴史的には最も古くより試みられた方法であるにもかかわらず,従来一般に「会陰の解剖が複雑で手技面倒のうえ視野が狭く時には直腸損傷の危険もある」というような理由で最も敬遠されている術式である。昭和27年以来約7年間会陰式手術に専念した筆者の経験でも,会陰式は確かに恥骨上式や恥骨後式等の腹壁切開法に比し解剖が複雑であり,また前立腺背面に達するまでの筋および筋膜(特にいわゆる直腸尿道筋やDenonvillier膜)の構造は各解剖書や手術書の記載が不統一・混乱しているばかりでなく実際に個人差が大なることを痛感していた。その後,加藤(日泌尿会誌,57巻2号,1966)は会陰式前立腺剔除の立場より会陰構造を詳しく再検討して従来の混乱をほぼ完全に解決してくれた。その結果以前よりは遙かに安心して容易に本術式を施行できるようになつて来ている。もちろん,会陰式には後述のごとき長・短所がある訳で,その適応は必らずしも多くはない(前立腺肥大症openoperationの1〜2割程度)が,泌尿器科医として前立腺肥大症と限らず種々の前立腺および後部尿道の外科的治療に際しperineal approachを習得して随時施行できることが望ましいと思う。

原著

腎腫瘍に対する腎動脈造影法,腎Scanningの診断的価値

著者: 菅原博厚 ,   関野宏 ,   渋谷昌良 ,   土田正義

ページ範囲:P.325 - P.332

緒言
 腎腫瘍に対する診断法として,従来,静脈性および逆行性腎盂造影法,後腹膜腔送気法が主として行なわれてきた。しかし最近,腎動脈造影法やradioisotopeを利用した腎scanning法が試みられ,その有効なことが報告されている。
 私どもは,教室において経験した腎腫瘍症例のうち,腎動脈造影法および腎scanning法のいずれか,あるいは両法を行なつた症例について,その診断的価値を,従来行なわれてきた腎盂造影法による診断的価値と比較検討したので報告する。

経腰的腎盂撮影法について

著者: 三品輝男

ページ範囲:P.335 - P.342

緒言
 現在腎疾患の診断には腎盂撮影が最も有力な手段とされている。特に最近の造影剤の進歩および手技の検討,すなわち排泄性腎盂撮影におけるdouble injection method, drip infusion methodおよびdelayed IVPなど長足の進歩が見られ,従来造影不能だつた症例の診断も可能になつた。しかしこれらの排泄性腎盂撮影においても造影が不可能であり,しかも尿管カテーテル挿入不能のため逆行性腎盂撮影も成功しない症例もしばしば経験されるところである。このような場合,経腰的(経皮的)に直接腎盂を穿刺して造影剤を注入し,腎盂および尿管を造影するいわゆる経腰的腎盂撮影法は極めて診断価値が高いと言える。本法は1950年代より報告の見られる比較的新しい方法であるが,直接腎盂を穿刺することの困難さと合併症に対する憂慮のため,主として巨大水腎症に対しては比較的用いられるが,積極的に利用されるには到つていない。
 最近著老も42症例53腎に経腰的腎盂撮影:translumbar pyelography (以下TLPと略す)を施行し適確な診断を下し得たので,ここに総括して報告する。

腎盂に転移を来たしたVater乳頭部癌の1例

著者: 河村信夫 ,   川上隆

ページ範囲:P.345 - P.349

緒言
 Vater乳頭部癌は,膵頭部癌に比して,早くから黄疸症状が強く,周辺リンパ節への転移もやや遅いので,3年後生存率も50%近い値を示している。しかし,60歳以上に多いこと,疼痛があまりないこと,治療としては比較的侵襲の大きいWhi-ppleの手術が必要なこと等,全治を困難にさせる素因も多い。転移は大動脈周囲および腸間膜リソパ節,肝,肺に多いといわれる。
 われわれは昭和41年10月にVater乳頭部癌の診断でWhippieの手術を行なつた症例が昭和43年2月(16ヵ月後)に右水腎症を来たし,手術により前記癌の腎盂転移と判つた症例を経験したので報告する。

興味あるレ線像を呈した小児の巨大水腎症の1例

著者: 中神義三 ,   高橋厚

ページ範囲:P.353 - P.359

まえがき
 一般に水腎症は,尿路系障害において,しばしば認められ,決して稀な疾患ではない。小児においても往々先天的に発生し,腎腫瘍,後腹膜腫瘍等と並んで,腹部腫瘤を形成する主要な疾患の一つである。
 本邦では,小児水腎症の報告は最早300例以上に達し,比較的増加している。

経尿道的留置カテーテルを使用しない前立腺摘出術

著者: 久保隆 ,   加藤義朋 ,   猪狩大陸 ,   沼里進

ページ範囲:P.363 - P.368

緒言
 前立腺摘出術はいずれの術式を選択しても術後の成績にそれ程の差がないものと考える。
 しかし同じ術式で行なつても症例によつては術後に前立腺床からの出血に悩まされることがある。このため頻回の膀胱洗滌または留置カテーテルが閉塞されて,この交換を余儀なくされ,医師の苦労のみならず患者に与える苦痛は甚だ大きい。

腺腫組織に結核性病変を合併した前立腺肥大症の1例

著者: 佐藤昭太郎 ,   金子佳雄

ページ範囲:P.371 - P.375

はじめに
 前立腺肥大症ならびに尿路性器結核はともに泌尿器科臨床においてもつともありふれた疾患の1つでありながら,摘出した前立腺腺腫に結核性病変を合併することは極めて珍らしい。これは両疾患の発生年代が異なることによるためでもあろうが,昨今のごとく,尿路結核そのものの頻度が次第に減少の傾向をとるならば,更に稀なものとなつてゆくであろう。最近,前立腺肥大症の診断で摘出した腺腫において結核性病変を合併した症例に遭遇したので,ここに報告する次第である。

文献抄録

膀胱尿管逆流の間接的レ線所見

ページ範囲:P.342 - P.342

 排泄性腎盂撮影(IVP)において,腎盂尿管に見られる縦の縞や線状陰影は,膀胱尿管逆流(VUR)の存在を示す間接的所見である。小児の腎盂腎炎の大部分にVURがあるが,尿路疾患の判定はIVPが唯一の手段であるから,IVPで上述の所見があれば,先ずVURの存在を考えねばならない。今一つのVURの存在を考えさせる所見は,患側腎の造影剤排泄遅延と,排尿時および排尿後の尿管下1/3の拡張像あるいは尿管の延長屈曲像,腎盂腎炎の変化として皮質の萎縮像,腎杯の拡張像などがある。
 著者等はVURと腎盂像の縦縞との関係について調査した。症例は女児132,男児45で平均年令5.3才の小児について行なつた。

故北川淏先生追悼

故北川淏先生遺影・略歴

ページ範囲:P.380 - P.380

略歴
明治31年5月21日出生
大正12年4月 東京帝国大学医学部医学科卒業

故北川淏先生の御逝去を悼む

著者: 川井博

ページ範囲:P.381 - P.381

 昭和44年8月中旬北川先生には突然脳血栓による脳軟化症にて病床に臥され,本学新内科に御入院加療を続けて居られましたが,昭和45年1月18日早朝,教室あげての治療も効なく逝去せられました。翌日御自宅で密葬が,次いで1月24日大学葬が駒込吉祥寺にて盛大に行なわれました。
 先生は第4高等学校を経て,大正12年3月東京帝国大学医学部を卒業して皮膚泌尿器科教室に入り,土肥慶蔵先生に師事されました。当時泌尿器科学は皮膚科学を母体として講義が行なわれている時代でようやく我国においても泌尿器科学の独立の必要性が認識され慈恵医専,九州大学で泌尿器科学講座が設立されたばかりてありました。当然先生も皮膚科学を主体に研鑚をつまれ,その学位論文も「先天性ヘマトポルフィリン症ならびにその実験的研究」でありました。そして先生は大正15年3月には日本医専の皮膚科泌尿器科教授に就任され,皮膚科学泌尿器科学の講座を担当せられました。そして昭和22年まで本学において皮泌の両科を担当しておられましたが,戦後昭和22年に両科が分離して皮膚科学は現名誉教授の丸山千里教授が講座を担当せられるようになりました。そのために先生のお仕事は昭和の初めには皮膚科学に関するものが多く主な論文としては「急性湿疹のインシュリン療法」,「サルバルサン中毒の予防と治療」あるいは「鼠蹊淋巴肉芽腫症に関する研究」等をあげることができます。

見聞記

第2回国際移植学会(5)

著者: 中村宏

ページ範囲:P.383 - P.385

 異種性抗血清は現在の臓器移植の中心テーマであるだけに,2部に分かれて開かれ,この学会のハイライトのような感があつた。第1部は異種性抗血清の基礎的問題が取上げられ,Dr.M.Hasek, CzechoslovakAcademy of Sciences, Pragueが座長を務めた第2部で臨床と関係した問題が出された。そのうちから腎移植に関連した演題のみをここでは御紹介する。

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外国文献

ページ範囲:P.387 - P.388

INVESITGATIVE UROLOGY Vol.7, No.1, July 1969
Further Studies on the Prostatic Tissue Antigens. Separation of Two Molecular forms of Aminope-ptidase.Severi Mattila
Renal Lymphatic Transport of Fluid and Solutes. A.T.K.Cockett, A.P.Roberts, and R.S.Moore 10

内国文献

ページ範囲:P.389 - P.390


 ○腎動脈瘤の手術,百瀬剛一:手術,24;37,1970.
 ○腎盂(腎杯)切石術について,堀内誠三:手術,24;80,1970.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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