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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻5号

1970年05月発行

手術手技

仙骨式前立腺摘除術

著者: 高井修道1

所属機関: 1横浜市立大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.419 - P.422

文献概要

緒言
 前立腺肥大症の腺腫摘除術(enucleation of ade-noma)は古くから出血の手術といわれ,また骨盤底の部に位置しているため充分な視野が得られない。しかも患者は高齢者であるため,できるかぎり短い時間で,出血を少なくしなければならない。このような理由から前立腺に到達するのに種々の経路が考えられ,臨床例について試みられ比較検討がなされている。到達法には大きく分けて前面または腹側(abdominal)よりの経路と,後面または下側よりの経路とがある。前者には恥骨上式(suprapubic route),と恥骨後式(retropubic route)とがある。後者には会陰式(perineal route)と仙骨または尾骨式(sacral or coccygeal route)とがある(第1図)。腹側より入る経路は術者にとつては比較的やりよい,つまり初心者でもやれる術式である。ことに恥骨上式は特別の技術を要しないので初心者が好んで行なう。ところが患者にとつては後下側よりの術式の方が術後全身状態の侵され方が遙かに少なく,大変楽である。Poor riskの患者にはぜひ試みるべき術式である。しかし後下側から入る経路は視野が比較的狭く,骨盤底の解剖を充分理解し,ある程度の習練をつんでいないといけない。つまり術者にとつてはむつかしい術式といえる。会陰式の最大の欠点は術後インポテンツになる頻度が高い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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