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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻6号

1970年06月発行

雑誌目次

図譜・323

外傷性膀胱破裂

著者: 島崎淳 ,   柴山勝太郎

ページ範囲:P.480 - P.481

 患者 斉藤某,65歳,家婦。
 主訴 交通外傷による骨盤骨折,血尿。

図譜・324

膀胱異物結石

著者: 三品輝男

ページ範囲:P.482 - P.483

 患者 Y.G.26歳,男子,会社員。
 初診 昭和44年9月4日。

図譜 泌尿器科病理組織図譜・6

腎盂癌および尿管癌

著者: 田崎寛 ,   坂口弘

ページ範囲:P.486 - P.487

 〔解説〕腎盂癌,尿管癌ともに組織学的には同一の移行上皮癌がほとんどである。組織学的には分化した型が多いにもかかわらず,生物学的には悪性度が高い。今回の2例はともにGrade IVであるが,第1例は細胞のatypismが強いが,浸潤は管内性てある。第2例は細胞のatypismが比較的低いにもかかわらず,壁内浸潤の型をとりそれぞれ特徴を示している。Newmanら1)は59例の腎孟尿管癌中の7例(12%)に,McIntyreら2)によれば40例の尿管原発腫瘍のうち8例(20%)に膀胱壁への浸潤ないし再発を認めている。また染料工場の職業性癌の場合,尿管の腫瘍で,膀胱部分切除を同時に行なったものの10%に膀胱粘膜のin situ car-cinomaがあるといわれる3)。したがって腎盂尿管の癌では,腎尿管全剔術と同時に膀胱部分切除を施行することの重要性が認識される。

綜説

膀胱腫瘍のレ線学的診断

著者: 松本恵一 ,   中内浩二 ,   藤田公生 ,   御厨修一

ページ範囲:P.489 - P.500

 膀胱癌の治療方針の決定,予後の判定に最も重要なものは悪性度よりその浸潤度の正確な診断にある。その手段として,内視鏡検査,触診所見などの重要なことは申すまでもないが,これらの検査では正確な診断は得られないことが多い。生検法でもまた実際の進度より軽く判定されがちなことは辻1)も指摘しているところである。そこで,レ線学的診断の必要性および重要性が認められるわけである。

膀胱腫瘍の内視鏡的診断

著者: 伊藤秦二

ページ範囲:P.503 - P.511

 膀胱腫瘍の診断に際して内視鏡的診断法の占める比重がきわめて大きいことは周知のごとくである。近年尿の剥離細胞診が大いに発達したが,これは尿路内における腫瘍の存在を知らせえても,その発生部位はもとより,腫瘍の大きさ,数,形状などに関する情報は提供しない。また諸種のX線診断法も膀胱腫瘍のごく初期の病態を捉えるには,まだ程遠いといわねばならない。したがって,尿路疾患の診断に際して尿路内への器械挿入はなるべく少なくするという全般的な傾向は進みつつあるけれども,膀胱腫瘍の診断における内視鏡診断の位置は現在もなお最も重要なものである。

小さな工夫・10

ペニス包帯の工夫

著者: 豊田泰

ページ範囲:P.511 - P.511

 ペニス包帯はやさしいようでなかなか難しいものである。わたくしは,弾性包帯を利用して長年便利しているので御紹介する。

手術手技

経尿道的前立線切除術

著者: 和久正良

ページ範囲:P.515 - P.520

はじめに
 TUR of prostateの手術手技について編輯部より依頼をうけましたが,わが国でも早くより伊藤秦二先生のTURについて手技を書かれた名論文があり,その後もさらに多くのことが付け加えられて,もう書くことがないというのが現情と見受けられます。さらに著者のごときTURを十分に修得していない者にとつては,はたして正しい解説ができるかという点についても疑問が浮かびます。そこで少数例ではありますが昭和39年2月以来今日にいたるまで,都立駒込病院および東大分院におきまして,何人かの若い手術者がすべてTURをなし,著者が助手としてついたその経験から,その手術者が多くのTURの著書をすでに読み,なおかつどの点について実地に示す必要があつたかという経験を中心として記述をし,責めを果たしたいと思います。そして最後に術中合併症がどのようにして起こり,またどのようにして発見し,そしてどのように処置したかの症例を記載してお役に立てたいと思います。

Urological Letter・96/・97

精管結紮希望者への説明書(2)/前立腺手術後の患者さんへの注意書

ページ範囲:P.520 - P.520

 この手術の危険は,ほかのどんな手術のときにもおこりうる危険と同じです。
 起こる可能性のある合併症のひとつについてお話ししておきましよう。

原著

副腎良性腫瘍の1例—左側副腎石灰化線維腫兼右側副腎結節性肥厚例

著者: 中田瑛浩 ,   外間孝雄 ,   遠藤博志 ,   片山喬 ,   百瀬剛一

ページ範囲:P.523 - P.528

緒言
 副腎の非内分泌良性腫瘍は臨床症状に乏しいが,局所腫瘤の触知ないし腫瘤による圧迫症状などにより発見される事が多く,比較的稀な疾患と見做されている。われわれは最近石灰化を来たした副腎線維腫に反対側副腎結節性肥厚を伴つた1例を経験したのでその症例を紹介し,併せて若干の文献的考察を加えたい。

化膿性孤立性腎嚢胞の1例

著者: 姉崎衛 ,   阿部礼男

ページ範囲:P.531 - P.535

はじめに
 化膿性孤立性腎嚢胞は腎実質内に比較的大きな,孤立性の化膿性嚢胞を形成したものをいい,その発生機序は明らかではないが,一般の腎膿瘍とはその病理像を異にするものである。本症の報告例はきわめてまれで,文献上欧米では17例,本邦では4例を数えるにすぎない。
 われわれは臨床経過と病理組織学的所見から,化膿性孤立性腎嚢胞と診断された症例を経験したのでここに報告し,若干の考察を加える。

女子尿道下裂症例

著者: 中島文雄 ,   折笠精一

ページ範囲:P.537 - P.541

緒言
 文献上女子の尿道下裂に関する記載はきわめて少ない。本症は尿道が正常の位置より中枢側の腟前壁に斜めに開口している奇形であるが,その臨床的意義は当然男子の場合とは箸しく異なる。われわれは最近,生来の排尿異常・尿失禁および排尿困難を主訴として来院した女子尿道下裂の1例を経験したので,以下報告するとともに本奇形について若干の考察を試みた。

前立腺摘出術後静脈血栓症の1例

著者: 福島修司 ,   田中一成 ,   高橋秀次

ページ範囲:P.543 - P.547

はじめに
 静脈血栓は外傷,感染,妊娠,悪性腫瘍,他の静脈疾患などに際してみられることがあり,また手術,ことに開腹手術後にしばしば発生することが知られている。しかしながら,発生時はほとんど気づかれないことが多く,肺塞栓を起して始めて発症が想像されたり,手術の影響が回復して歩行しはじめてから苦痛に気づいたりすることが多く,その診断も実際にはなかなか難しいようである。諸外国においてはその発生頻度はかなり高く,その発生からさらに肺塞栓症を惹起する危険があるとして極めて重大な疾患であるという。ところが本邦においては本症の発生は少なく,その合併症てある肺塞栓症あるいはPostphlebitic syn-dromeも少ない。泌尿器科領域においても本症の報告は極めて少ないので,われわれが経験した症例を報告し,若干の検討を試みた。

睾丸類表皮嚢腫の1例

著者: 石川堯夫 ,   嶋田孝男

ページ範囲:P.549 - P.552

緒言
 睾丸腫瘍の多くは悪性であり,良性腫瘍はまれなものである。とくに睾丸の類表皮嚢腫はきわめてまれなものとされているが,われわれは最近,本症の1例を経験したので,ここに報告し,若干の考察を加える。

睾丸回転症の1例

著者: 児玉和典 ,   近藤利之 ,   永井克彦 ,   菊田匡

ページ範囲:P.555 - P.558

緒言
 睾丸茎軸捻症は,Taylor(1965)1)によれば515例,本邦においては私の調査例214例を数える。
 最近私は,生下時から右睾丸下降不全があり,成人になつてもなお高位にあつた青年例を経験したのでこれを報告し,文献的考察を加える。

尿路感染症の起因菌およびその薬剤耐性分布—とくにグラム陰性桿菌を中心として

著者: 東福寺英之 ,   吉沢一太

ページ範囲:P.561 - P.571

はじめに
 近年,化学療法の発展はめざましく,それらに関する研究も枚挙にいとまがない。しかし広汎な,また不必要までの使用によりその副現象とみられる耐性菌の出現,菌交代現象の厄介な問題が生じている。
 尿路感染症においても,その起因菌が病原性ブドウ球菌等のグラム陽性球菌から大腸菌を主とするグラム陰性桿菌に変わり,またそれらの耐性菌による感染が増加し,治療上,困難な場合がすくなくない1,2)

文献抄録

膀胱粘膜癌の臨床

ページ範囲:P.535 - P.535

 著者らは1950年1月より1963年12月の14年間にMayo Clinicにて2,300例の膀胱癌を集計し,その内62症例の粘膜癌について臨床的観察を報告している。この62例について見ると,男女比は5対1で男性に多く,年齢は60ないし70歳台が76%を占めている。62例中41例は喫煙者であつた。初発症状としては顕微鏡的血尿を主訴としたもの7名で,半数以上が肉眼的血尿を主訴としている。膀胱粘膜癌の特異的症状としては頻尿,尿意促迫,排尿困難などの膀胱炎症状である。膀胱鏡的所見としては,粘膜の発赤と軽度に粘膜が隆起し顆粒状を示しており,病変部の境界は不鮮明である。一見しては膀胱炎所見と極めて類似している。生検による組織所見としては粘膜細胞の核に注目して見ると,核は比較的大きく濃染性時に細胞分裂像も散見される。基底膜の乱れはない。著者の症例では87%が悪性度2ないし3の移行上皮癌であつた。治療としては粘膜癌であるので診断確定後はすみやかに56名については経尿道的電気切除ないし焼灼を行なつたが,発生部位が広範囲に及ぶもの2名には放射線治療をし,3名は膀胱摘出,1名は部分切除を施行した。
 予後について見ると82%が1年以内に再発を見ている。再発の病巣は初回の治療時と同様なものが大部分であつたので,経尿道的治療を行なつたが,病巣の広範囲にわたる症例4例は膀胱摘出を行なつた。癌の浸潤を認めた37名中24名は死亡した。

見聞記

(7)留学体験記

著者: 中村宏

ページ範囲:P.573 - P.576

 長らく書き続けてきた海外見聞記も今回で終了することになつた。1962年にマウント・サイナイ・ホスピタル(ニュー・ヨーク市)に泌尿器科のレジデントとして留学したときにも,田村一名誉教授のお勧めで10回にわたつて病院のことを中心に見聞記を書いたが,今回はリサーチ・フエロウとして留学したので学会に出席する機会に多く恵まれ,そのため学会見聞記のようになつてしまつた。しかし学会で発表されたものが活字となつて雑誌に載るのは早くて1年,ときには2年近くかかることもあり,また手に入り難い雑誌に出たり,まつたく雑誌などに載らないこともあるので,主な演題のみできるだけ努力して書くように努めた。

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外国文献

ページ範囲:P.577 - P.579

INVESTIGATIVE UROLOGYVol.7.No.4, January 1970
The Tonicity of Fluids Draining from the Func-tional Kidney.S.H.Young and H.G.Swann.261
Evidence for Two Intrarenal Lymphatic Networks.A.T.K.Cockett, A.P.Roberts, and R.S.Moore.266

内国文献

ページ範囲:P.580 - P.582

副腎
 ・副腎皮質癌によるCushing症候群の1例,秋元健一・他:小児科臨床,23;(3),61,1970.
 ・急性副腎皮質不全,河野剛:最新医学,25;530,1970.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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