icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻7号

1970年07月発行

雑誌目次

図譜・325

偏位腎

著者: 渡辺国郎 ,   斉藤豊一

ページ範囲:P.588 - P.589

 症例 25歳,主婦。
 主訴 右下腹部に腫瘤が触れる。家族歴・既往歴特記すべきことはない。

図譜・326

不完全仮性三重複尿道

著者: 上田利夫

ページ範囲:P.590 - P.591

 患者 中込某,85歳,男子,元大工。
 主訴 排尿困難。

図譜 泌尿器科病理組織図譜・7

腎結核

著者: 田崎寛 ,   坂口弘

ページ範囲:P.594 - P.595

 〔解説〕結核症は最近の医学の進歩により征服され,すでに過去の疾患となつたとする印象が強い。しかし,腎結核に限つて言えば,抗結核剤による化学療法の限界1)があるように思われ,供覧した2例に示されるごとく,臨床的には治癒と判定されていても,組織学的には明らかな結核性病変を認める。臨床面からいえば,Lattimerら2)やBeck3)らの主張は正しいが,組織像に見られる血管壁の肥厚,内腔の狭小化は病巣に到達する薬剤の量の減少による治癒の遅れ,あるいは腎血管性高血圧の可能性を示唆する。

綜説

膀胱腫瘍のTURと60Co併用療法

著者: 南武 ,   町田豊平 ,   南孝明

ページ範囲:P.597 - P.600

はじめに
 膀胱腫瘍は尿路の悪性腫瘍のうち発生頻度が最も高く,きわめて重大な疾患である。
 治療の上からも乳頭状腫瘍は,もし,それが早期に発見されれば,経尿道的電気切除術でかなりよい成績をあげているが,この型のものでも進行したものおよび浸潤性のものの全治は最も難しい。

手術手技

恥骨上式前立腺摘除術

著者: 高安久雄

ページ範囲:P.601 - P.607

Ⅰ.準備
 前日入浴し手術前の剃毛をする。前夜,および当日朝,それぞれ約500ccの石けん浣腸を行ない,腸内をきれいにしておくことが後の手術操作上重要である。麻酔は硬膜外麻酔を行ない(第1図),体位は砕石位で臀部下に薄い枕3枚位をおき骨盤高位とする(第2図)。その後で膀胱洗滌を行ない,内腔を十分きれいにしておく。

原著

腎杯憩室の成因について

著者: 藤田公生

ページ範囲:P.611 - P.615

緒言
 腎杯憩室はその疾患単位に関して,名称あるいは成因について議論が多い。著者は自験16例を含めた本邦例をもとにしてその臨床像を述べているが1),自験例および内外の報告例を類似疾患を含めて検討した結果,本症についてひとつの見解をもつに至つたのでここに述べてみたい。

過去10年間における尿路結石症の臨床的観察

著者: 渋谷昌良 ,   菅原博厚 ,   関野宏 ,   桑原正明 ,   土田正義

ページ範囲:P.619 - P.623

緒言
 わが国の尿路結石症に関する臨床統計的観察は,これまでも種々の面から検討されており,従来本症は南方に多く,北方に行くにしたがつて漸減するといわれていた。しかし,私どもは昭和37年に東北地方の3年半における統計的観察で,発生頻度は他地方に比較して必ずしも低くないことを述べた。最近私どもは前回の報告を含めて10年間における尿路結石入院患者631名について臨床統計的観察を行なう機会があつたのでその成績を報告し,発生頻度をはじめ治療,予後などの問題について検討を加えたいと思う。

種々な病変に対する膀胱二重造影

著者: 藤田公生 ,   松本恵一

ページ範囲:P.625 - P.628

緒言
 われわれは,膀胱腫瘍を客観的に判定かつ記録する方法として膀胱造影法をとりあげ,種々検討を加えた結果,われわれなりにひとつの方式に到達した1)が,この方法は膀胱における他の病的状態においても有用と思われるので,ここに紹介する。

転移性精索腫瘍の1例

著者: 大井鉄太郎 ,   田林幸綱 ,   土屋哲

ページ範囲:P.631 - P.638

はじめに
 精索腫瘍は比較的まれな疾患とされていたが,田辺・他(1965)92)によると欧米では約380例,本邦では約55例の報告がある。その大部分は原発性精索腫瘍であり,転移性精索腫瘍については高井・他(1969)61)によれば,内外文献上20例前後でその症例数はきわめて少ない。
 副睾丸結核の疑いでわれわれが剔除術を施行した症例が,転移性精索腫瘍であることが後日判明した。再入院ののち精査の結果,その原発巣は胃癌と思考される症例を経験したのでここに報告する。

陰茎折症の2例

著者: 高橋剛 ,   長田尚夫 ,   穂坂正彦

ページ範囲:P.641 - P.643

はじめに
 陰茎折症は多くの場合,勃起陰茎に鈍力が作用し,陰茎海綿体,まれに尿道海綿体の白膜の断裂によつて発症するものである。本症は簡単な動機に起因するにもかかわらず,報告例は内外ともに比較的少なく,本邦においては,われわれが調べ得た範囲では,現在まで60例にすぎない。最近われわれは本症の2例を経験したので報告し,あわせて簡単な文献的考察を試みた。

印象記

第58回日本泌尿器科学会総会印象記

著者: 大堀勉 ,   安藤弘 ,   小柴健 ,   緒方二郎 ,   大越正秋

ページ範囲:P.648 - P.654

総会を聞いて
 第58回日本泌尿器科学会総会学術大会は,昭和45年4月4〜6日の3日間にわたつて,東京・虎の門の教育会館において,会長東京慈恵会医科大学南武教授主宰のもとに開催された。
 3日間合計すると,一般演題137題,会長講演,招講講演各1,宿題報告2,シンポジウム2,パネルディスカッション1とかなりのボリュームでそのほか映画4本が上映されるなど,年々充実した学会となり,誠に喜ぶべきことと思う。

--------------------

外国文献

ページ範囲:P.658 - P.659

BRITISH JOURNAL OF UROLOGYVol.42, No.1 February 1970
BRITISH ASSOCIATION OF UROLOGICAL SURGEONS-ANNUAL MEETING, LONDON,1969—
Urinary Symptoms following Hysterectomy. Patrick Smith, Michael Roberts and Norman Slade 3
Cryosurgery of the Prostate Gland in the Unfit Subject.Alan Green 10

内国文献

ページ範囲:P.660 - P.661


 ○腎移植の展望,稲生綱政:医学のあゆみ,73;1,1970.
 ○低肺機能者に起こつた術後急性腎不全—腹膜潅流による1治験例—,秋山千太郎・他:麻酔,19;317,1970.

Urological Letter・98

パイロニー氏病の客観的観察

ページ範囲:P.659 - P.659

 パイロニー氏病の治療に関しては多くの研究が発表されているにもかかわらず,その結果は種々雑多である。というのはfollow-upの不足,年齢による反応の違い,あるいは異つた炎症反応によるのであろう。
 治療成績にこのような違いのでることの大きな理由はその観察方法の違い,すなわち,主観的かまたは客観的観察による違いであると考える。

文献抄録

骨盤骨折および尿道断裂後の性交不能

ページ範囲:P.662 - P.662

 骨盤骨折や尿道断裂に伴う性交不能症は患者にとつても,また損傷の評価という面からも極めて重要な問題である。著者らは1952年から4年間に尿道断裂患者59名を取扱つたが,予後の観察をしえた35名について性交の可否の状態を主眼に述べている。患者層は13歳から65歳までに及んでおり,観察期間は平均8.2年である。
 著者らの35名中13名(37%)が性交不能症となつている。13名中完全な勃起不能は7名で,8名は勃起力が極めて弱い状態である。従来まで報告された尿道断裂後の勃起不能を見るとTrafford (1965)の36%,Balfour(1963)33%,Gbson(1965)の37%という率で著者らと大体一致している。損傷の状態は膜様部の完全断裂が26名で,9名は球部の損傷である。損傷部位からみたインポテンツは膜様部が42%,球部が22%で,前者の方が発生率が高い。損傷後子供を生み得たものは5名であつた。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

76巻13号(2022年12月発行)

特集 これだけは知っておきたい! 泌尿器科診療でも活きる腎臓内科の必須知識

76巻12号(2022年11月発行)

特集 ブレずに安心! 尿もれのミカタ

76巻11号(2022年10月発行)

特集 限局性前立腺癌診療バイブル―このへんでキッチリと前立腺癌診療の“あたりまえ”を整理しよう!

76巻10号(2022年9月発行)

特集 男性不妊診療のニューフロンティア―保険適用で変わる近未来像

76巻9号(2022年8月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)の手術療法―臨床現場の本心

76巻8号(2022年7月発行)

特集 泌尿器腫瘍における放射線治療―変革期を迎えた令和のトレンド

76巻7号(2022年6月発行)

特集 トラブルゼロを目指した泌尿器縫合術―今さら聞けない! 開放手術のテクニック

76巻6号(2022年5月発行)

特集 ここまで来た! 腎盂・尿管癌診療―エキスパートが語る臨床の最前線

76巻5号(2022年4月発行)

特集 実践! エビデンスに基づいた「神経因性膀胱」の治療法

76巻4号(2022年4月発行)

増刊号特集 専門性と多様性を両立させる! 泌尿器科外来ベストNAVI

76巻3号(2022年3月発行)

特集 Female Urologyの蘊奥―積み重ねられた知恵と技術の活かし方

76巻2号(2022年2月発行)

特集 尿路性器感染症の治療薬はこう使う!―避けては通れないAMRアクションプラン

76巻1号(2022年1月発行)

特集 尿道狭窄に対する尿道形成術の極意―〈特別付録Web動画〉

75巻13号(2021年12月発行)

特集 困った時に使える! 泌尿器科診療に寄り添う漢方

75巻12号(2021年11月発行)

特集 THEロボット支援手術―ロボット支援腎部分切除術(RAPN)/ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)/新たな術式の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻11号(2021年10月発行)

特集 THEロボット支援手術―現状と展望/ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻10号(2021年9月発行)

特集 今こそ知りたい! ロボット時代の腹腔鏡手術トレーニング―腹腔鏡技術認定を目指す泌尿器科医のために〈特別付録Web動画〉

75巻9号(2021年8月発行)

特集 ED診療のフロントライン―この一冊で丸わかり!

75巻8号(2021年7月発行)

特集 油断大敵! 透析医療―泌尿器科医が知っておくべき危機管理からトラブル対処法まで

75巻7号(2021年6月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)薬物治療のニューノーマル―“とりあえず”ではなくベストな処方を目指して

75巻6号(2021年5月発行)

特集 躍動するオフィスウロロジー―その多様性に迫る!

75巻5号(2021年4月発行)

特集 前立腺癌のバイオロジーと最新の治療―いま起こりつつあるパラダイムシフト

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科当直医マニュアル

75巻3号(2021年3月発行)

特集 斜に構えて尿路結石を切る!―必ず遭遇するイレギュラーケースにどう対処するか?

75巻2号(2021年2月発行)

特集 複合免疫療法とは何か? 腎細胞癌の最新治療から学ぶ

75巻1号(2021年1月発行)

特集 朝まで待てない! 夜間頻尿完全マスター

74巻13号(2020年12月発行)

特集 コロナ時代の泌尿器科領域における感染制御

74巻12号(2020年11月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈下部尿路機能障害/小児・女性・アンドロロジー/結石・感染症/腎不全編〉

74巻11号(2020年10月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈腫瘍/処置・救急・当直編〉

74巻10号(2020年9月発行)

特集 令和最新版! 泌尿器がん薬物療法―手元に置きたい心強い一冊

74巻9号(2020年8月発行)

特集 泌尿器腫瘍の機能温存手術―知っておくべき適応と限界

74巻8号(2020年7月発行)

特集 これが最新版! 過活動膀胱のトリセツ〈特別付録Web動画〉

74巻7号(2020年6月発行)

特集 小児泌尿器科オープンサージャリー―見て学ぶプロフェッショナルの技〈特別付録Web動画〉

74巻6号(2020年5月発行)

特集 高齢患者の泌尿器疾患を診る―転ばぬ先の薬と手術

74巻5号(2020年4月発行)

特集 ここが変わった! 膀胱癌診療―新ガイドラインを読み解く

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科診療の最新スタンダード―平成の常識は令和の非常識

74巻3号(2020年3月発行)

特集 泌尿器科手術に潜むトラブル―エキスパートはこう切り抜ける!

74巻2号(2020年2月発行)

特集 いま話題の低活動膀胱―これを読めば丸わかり!

74巻1号(2020年1月発行)

特集 地域で診る・看取る緩和ケア―泌尿器科医として知っておくべきこと

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら