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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻8号

1970年08月発行

綜説

膀胱全剔後の導管形成および結腸膀胱について

著者: 田崎寛12

所属機関: 1慶応義塾大学医学部泌尿器科学教室 2慶応義塾大学病院泌尿器科

ページ範囲:P.677 - P.686

文献概要

はじめに
 膀胱全剔術は従来泌尿器科手術の中では最も困難な手術とされてきたが,最近は麻酔法の進歩で患者が長時間にわたる手術に耐えられるようになつたこと,全剔後の尿路変向法に腸管の利用が一般化して術後管理が容易となつたことなどの理由から適応さえ決まればいとも簡単に実施に踏み切るようになつた。しかしながら,膀胱全剔を余儀なくせしめる原疾患のほとんどが癌であることから,リンパ節の廓清,前立腺全剔を含むのがrou-tineであり,依然泌尿器科のmajor surgeryの中でも最も高度の技術と経験を要する手術に変わりはない。
 前立腺全剔のさい,膀胱括約筋の作用を維持できるかできないか,またどちらとも断定できない場合もあり,果して代用膀胱を作つて尿道断端に接続する意味があるか疑わしい場合が少なくない。一方,導管形成の方はさつぱりと括約筋に見切りをつけ,腎と尿管の機能維持の保証と,同時に癌の根治性を得ようとする意図がはつきりしている手術である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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