icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻8号

1970年08月発行

文献概要

追悼

故楢原憲章先生追悼の辞

著者: 池上奎一1

所属機関: 1熊本大学

ページ範囲:P.749 - P.749

文献購入ページに移動
 昭和45年6月5日未明,楢原先生には熊大附属病院第一内科病室において,御家族や門下生の見守る中,静かに永眠された。昨年3月停年退官後は,熊本市立市民病院院長として活躍されていた先生が,身体の不和を洩らされるようになつたのは夏の頃からであつたが,持前の我慢強さと責任感から休息もとられず,ついに11月初旬胃出血に斃れ,胃切除術を受けられた。術後経過は順調で,再び元気を回復されたかにみえたが,切除標本の組織学的所見は癌であり,それを知る少数の1人として,心痛遣る方なかつた。本年4月の日本泌尿器科学会総会には,切符から宿舎まで用意されたのであつたが,出発直前より病の床に臥され,再び起き上ることがなかつた。
 先生は昭和3年熊本医科大学を卒業,皮膚科泌尿器科教室に入り,故三宅勇教授ならびに当時助教授の北村包彦先生に師事され,昭和11年北村先生の後任として助教授に就任,主として泌尿器科学を分担,昭和14年4月第39回日本泌尿器科学会総会において,宿題報告「腎臓病変の全身的影響」を発表するなど,数々の輝かしい業績を遺されるとともに,今日の熊大泌尿器科教室の礎石を築かれた。昭和24年教授に昇任,皮膚科泌尿器科教室の第2代主任となるや,皮膚科と泌尿器科の分離,独立を目指して教室の充実を計り,昭和36年7月1日両講座の分離が実現した後は,泌尿器科教室の初代主任として教室の建設に努力を傾けられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら