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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科24巻9号

1970年09月発行

雑誌目次

図譜・329

両側骨盤腎

著者: 志賀弘司

ページ範囲:P.772 - P.773

 患者 53歳,男,工員。
 主訴 頭痛。

図譜・330

盲端に終わる過剰分枝尿管

著者: 吉邑貞夫 ,   福岡洋

ページ範囲:P.774 - P.775

 患者 22歳,家婦。
 主訴 右下腹部痛。

図譜 泌尿器科病理組織図譜・9

膀胱移行上皮癌(Ⅱ)

著者: 田崎寛 ,   坂口弘

ページ範囲:P.778 - P.779

 1.移行上皮癌Grade III, Transitional cell carcinoma, Grade III.
 患者 65歳,男子。主訴 血尿。
 経過 無症候性血尿で来院,膀胱鏡で三角部に広基性の腫瘍を認め,他に周囲に数個のdaughter tumorsを認めたので膀胱全剔,回腸導管形成を行なつた。

綜説

膀胱全摘除術と尿管腸吻合術

著者: 堀内誠三

ページ範囲:P.781 - P.791

はじめに
 膀胱腫瘍の治療法として普通行なわれているものは,経尿道的電気凝固術,経尿道的電気切除術,腫瘍切除術,膀胱部分切除術,膀胱全摘除術,放射線療法(高圧X線療法,コバルト療法,ラドン療法,放射性同位元素注入療法)および化学療法などがある。一般に放射線療法,化学療法は補助的手段として用いられ,腫瘍切除後に行なわれる場合が多い。
 膀胱腫瘍の大部分は上皮性の腫瘍で,乳頭腫,乳頭状癌が多く,これらの腫瘍の特徴としては良性の乳頭腫も再発を繰返すことがまれでないが,比較的膀胱内に限局されており,転移が少ないとされている。

文献抄録

睾丸腫瘍に対する化学療法剤の併用

ページ範囲:P.791 - P.791

 著者らは17例の睾丸腫瘍の転移症例に化学療法剤の併用治療を行なつてその効果を臨床的に観察した。症例は転移の明らかに証明された15例の胎生癌と2例の奇形癌で,内12名は肺転移があり,5名は腹部に転移性腫瘤が認められた。尿のchoriouicgonadotropin価は7名に高値であつた。治療法は5-fluorouracil cyclo-phasphamide,methotrexate,vincr-stineの四者の併用で,1回の治療コースとしてS-FU 7.5mg/kg/dayを5日間連続,Cytoxan 7.5mg/kg/day,MTX 7.5mg/kg/day,VCR0.25mg/kg/dayを第1日と第4日に各静注する。治療は白血球数を指標に特に異常がなければ断続する。治療結果についてみると完全に治療に反応した症例は5名で,いずれも胎生癌で内1名はchoriouicの要素をもつていた。5名の軽快平均日数は9カ月で,要した治療コースは平均2.8であつた。完全に軽快経過を示した3名はgonadotropin価は陽性にでていた。有効であつた症例は2名で,転移腫瘤は1/2以下に縮少した。この2名はいずれも胎生癌であつた。治療効果は4コース後に現われ,平均7週日の軽快期間で,この2例はいずれもchoriouic gonado-tropin価は陰性であつた。

手術手技

恥骨後前立腺摘除術

著者: 加藤篤二 ,   岡部達士郎

ページ範囲:P.793 - P.798

 前立腺肥大症に対する手術療法としては,前立腺へ到達する経路により経尿道的前立腺摘除術(TURP),会陰式前立腺摘除術,恥骨上前立腺摘除術,恥骨後前立腺摘除術などがあるが,いずれも一長一短があり優劣はつけ難い。恥骨後前立腺摘除術の長所には,膀胱を切開する必要がないこと,手術野が広いことなどがあり,腺腫が大きくTURPが不適当な場合や,また年齢が比較的若い場合も術後ヘルニアを来たしにくく,時に起こる大出血に対しても危険が少ないので適応があるといえる。しかし,手術時の出血量が多く,小腺腫,極度に肥満した場合には適しない欠点がある。
 恥骨後前立腺摘除術は,1945年にMillinが報告して以来Millinの術式ともいわれ,その後追試,改良が加えられ,日本では昭和24年に市川,楠,土屋によつて紹介されて以来多数の推賞者がある。筆者は当初はMillinの術式を愛用し,しかし,いつの間にか縦切開の変法に変わり,この後はどちらかといえば恥骨上式を主にしている。最近では特別な適応以外は恥骨後式は行なつておらず,特に本術式の主張者ではない。本法の諸点についてはもはやいうべきことがないが,恒例によつて解説を加える。

Urological Letter

前立腺内仮尿道内に嵌頓したバルーンカテーテルの抜去,他

ページ範囲:P.798 - P.798

 最近1人の患者を診たが,これらの器具を使い慣れない一般外科医によつて糸状ブジーとその接続カテーテルを間違つて挿入され,そのためにできた前立腺内の仮尿道内にバルーンカテーテルが入れられ,バルーンが膨ませてあつた。このカテーテルは,鼠蹊ヘルニアの修復手術のあと,まだ麻酔がさめないうちに入れられたのであつた。バルーンは5mlだけ膨まされていた。
 尿が流出しないので,泌尿器科医が診断を頼まれた。行つてみると麻酔はすでに醒めて,患者は激しい痛みを訴えていた。バルーンカテーテルの膨らみを除こうとしたができなかつた。これは恐らくバルーンを膨ますチューブの内腔が圧迫されているためであろうと考えた。そこでエーテルや鉱物油を注入したり,尿管カテーテルに使うスタイレットを挿入してみたが不成功に終わつた。直腸内指診でもバルーンを触診することはできなかつた。

原著

腎盂撮影上尿路腫瘍を疑わせた他臓器原発腫瘍の3例

著者: 星野嘉伸 ,   酒井邦彦 ,   富田義男 ,   仁藤博 ,   寺田洋子 ,   堀内誠三

ページ範囲:P.801 - P.805

はじめに
 レ線検査は泌尿器科の診断上,非常に重要な役割を果している。しかし,その解読の際に腎盂撮影などに表われた変化が,泌尿器系以外の臓器から由来したものであるような場合をしばしば経験する。われわれは,今回泌尿器疾患の症状および所見を呈したにもかかわらず腎盂撮影上にみられた変化が,泌尿器系以外の臓器原発の悪性腫瘍による転移,もしくは浸潤であつた3例を経験したので報告する。

子宮頸癌患者に対する一時的腎瘻の意義

著者: 松本恵一 ,   中内浩二 ,   藤田公生

ページ範囲:P.807 - P.810

緒言
 子宮頸癌患者にはしばしば癌の浸潤のため,あるいは手術や放射線治療に伴つて尿管狭窄が起きることが広く知られている。以前はこのような患者が尿管狭窄による尿毒症で死ねばむしろ幸せであるという考えさえあつたが,癌に対する治療法の進歩した現在では尿路変更についても積極的に考えていく必要があるように思われるので,参考までにわれわれの経験を紹介してみる。

盲腸,腎盂に発生した重複癌の1例

著者: 久保隆 ,   加藤義朋 ,   猪狩大陸 ,   沼里進

ページ範囲:P.813 - P.816

緒言
 重複癌の報告は近年,増加の傾向を示しているが,なお比較的稀なもののようである。また,重複癌のうちでも,腎腫瘍特に腎盂癌と他臓器癌との重複癌は極めて稀なものとされている。
 最近,われわれは盲腸癌と腎盂癌が重複した1例を経験したのでここに報告する。

コールドパーマ第2液服用による急性腎不全の2症例

著者: 加藤宣雄 ,   篠崎忠利 ,   柴山勝太郎 ,   黒沢功

ページ範囲:P.819 - P.821

緒言
 コールドパーマ第2液,すなわち,ブロム酸カリウムの服用による中毒で,急性腎不全をひきおこした症例は,本邦において,文献上さきに4例をみる。今回,われわれも,美容師が自殺の目的で,コールドパーマ第2液を服用し,無尿となり尿毒症状態で入院し,人工腎による人工血液透析を行ない,救命し得た2症例を経験したので報告する。

イタイイタイ病患者におけるRadioactive Isotope Renogramによる腎機能検査

著者: 村田勇 ,   中川昭忠 ,   広野禎介 ,   佐伯良昭

ページ範囲:P.823 - P.827

緒言
 1952年にOeserとBillion1)131I-Diodrastを用いて,腎機能検査を行なつて以来,Radioisotopeによる腎機能検査は,Taplin2),Kadeらへと発展し,1955年には,Winter3)が臨床的応用に成功するに至り,数多くの成績が報告されている。
 わが国においても,南4)5),市川6),高橋7),町田8),志田ら9〜13)の多くの報告がみられるが,著者らも,"イタイイタイ病"患者の腎機能検査に本法を使用する機会をえたので,その概要を報告する。

先天性副腎皮質過形成患者の尿中Testosterone排泄値

著者: 木下健二

ページ範囲:P.829 - P.832

はじめに
 先天性副腎皮質過形成(congenital adrenal hy-perplasia,以下CAHと略)は副腎におけるsteroid生合成の先天性酵素障害によるものであるが,その障害される酵素には種々のものが報告されており,その種類によつて臨床症状も異なつてくる1)2)。その中で一番多くみられるのは単純な男性化症を示すsteroid 21—hydroxylase障害のものである。この男性化の症状は副腎よりのandrogenの過剰分泌により惹き起こされるものであるが,そのandrogenが何であるか長い間懸案となつており,それをめぐつて多くの研究がなされている3)〜8)
 Schubertら9)が尿中よりtestosteroneを検出して以来,CAH患者においてもtestosterone測定がさかんに行なわれており,方法的には種々の異なつたものが用いられているが,CAH患者尿中testosterone排泄値は高値であると報告されている10)〜19)

バスケットカテーテルによる抽石術後尿管狭窄をきたした1例

著者: 中神義三 ,   高橋厚 ,   菅間正気

ページ範囲:P.833 - P.837

はじめに
 尿管結石症に対する治療法は観血的療法と非観血的療法および内科的療法の三者が大別されるが,結石の大きさおよび存在位置により適応を選んでそれぞれ治療されているのが現状である。非観血的療法の1つとして最近一般に普及してきたバスケットカテーテールによる抽出術があるが,これは安易に,また暴力的に行なわれると合併症として尿管損傷などが起こることは衆知のことと思う。ここにわれわれはバスケットカテーテルによる抽石術後,尿管損傷をきたし,その後,炎症性狭窄を起こしたものと考えられる1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。

陰茎絞扼症の5例

著者: 古畑哲彦 ,   高橋剛 ,   井上卓二 ,   岩崎孝史

ページ範囲:P.839 - P.844

緒言
 陰茎絞扼症の報告は比較的少なく,本邦では約40例を数えるに過ぎない。われわれの教室では昭和29年より今日まで5例の陰茎絞扼を経験しているので,これらをまとめて報告すると共に多少の文献的考察を試みる。

見聞記

第65回AUA総会印象記(2)

著者: 田崎寛

ページ範囲:P.845 - P.849

一般演題(5月12日)
 5月12日午前中の一般演題の中で,全米のresearch-essay contestの1位を獲得したLos AngelesのP.C.Walshがその研究内容を披露した。Mechanism of Androgenic Ac-tionという題でEffect of SpecificIntracellular Inhibitorsという副題がついている。ratのventralprostateにおけるandrogen actionを仲介している細胞内の動きとcy-proterone acetateの作用機序について検討を加えたが,細胞質内の取り込みや,testosteroneからdihydro-testeroneへの移行には関係なしに,細胞内のandrogenであるcyprote-rone acetateは核内におけるdihy-dro-testosterone—蛋白—染色質の複合体の形成を抑制する。testosterone-3Hを利用して諸条件下の前立腺のhomogenateにつき測定しているが,結果の意味づけについては整理のついていない部分もあり,first prizeとしてはやや力不足の感じだつた。
 引続いてIndianapolisのJ.P.Donohueは悪性高血圧発作の管理のための両側腎剔術について述べた。すなわち,6例について両側腎摘を行ない,高血圧の改善と2次的な血管の変化の好転をみている。

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外国文献

ページ範囲:P.853 - P.856

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.103, No.1, January 1970
Retropubic Vesicourethropexy(Editorial).R.C. Benson 1
Virilizing Adrenal Adenoma: Report of Case In-vestigated Angiographically.E.A.Kupic and W. M.Eddy 3

内国文献

ページ範囲:P.857 - P.858

腎・腎盂
 ○尿素窒素,奥田稔:メディチーナ,7;(7),10,1970.
 ○腎機能の諸問題—とくに分腎機能を中心として(シンポジウム)(1)腎機能による高血圧症の診断,福地総逸:日腎誌,12;18,1970.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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