icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻1号

1971年01月発行

綜説

尿道の解剖—疾病と関連して

著者: 田林綱太1

所属機関: 1東京医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.13 - P.26

文献概要

緒言
 尿道は単に膀胱に蓄積した尿を体外に排出の用路をなす簡単な粘膜管のように考えられるが,仔細にこれをみると相当複雑な構成となつている。また男子ではその一部は生理器官と共在し,女子でも腟に併走し,外陰部に開口するところから周囲組織との関係などははなはだ複雑であり,ことに炎性機転を惹起した場合にはこれらの問題が絡み合う関係上,その解剖学的知見を知悉する必要がある。かかる故に世上内外幾千の学徒が終世を傾けての研究が文献として遺されている。しかもなお遺漏なしとしない問題があり,恩師上林教授がそれらの事柄を指摘して,余にその研究を命ぜられ,あわせて当時尿道の専門研究者であつた佐藤恒祐博士にその教えを受けしめられた。時は大正の中期である。爾来一門を挙げて,それらの事項を辿つてみたが,余の怠惰と細管遅々の怨みは今日なお多くの未解決の問題を抱えている。
 幸いに教室各位の努力は当該部に疾患のない事故死ないし胎児の材料を多くの標本として座右に山積してあるが,老耄の余はその切片の半分も目通しできないであろうが,しかし誰かが完成する日のあることを期待する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら