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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻1号

1971年01月発行

Urological Letter

われわれは患者をこそ治すべきである—尿の培養成績や感受性テストについて/大人の例に対してのPaquin氏膀胱尿管逆流防止手術について

ページ範囲:P.26 - P.26

文献概要

 Dr.PeckはMalpractice Racket(不当な治療収入)のために,患者に行なわれている不必要な臨床検査がかなり多くあることを適切に指摘している。筆者自身の経験からも,いかに清潔に採尿して送つても,婦人の尿中の菌の定量培養成績は価値がないし,患者のお金の浪費である。細菌のコロニー数が尿1ml中に10万以上,すなわち菌が陽性であつても意味がないということを指摘しようと,筆者は常にこの地区の内科医と闘つている。他方,尿1ml中細菌が1万以下というときの陰性ということには大きな意味がある。清潔な方法で排尿させた尿から細菌数が10万あつたという場合でも,そのすぐあとでカテーテルで採尿して出した回答が0個であつたという例を何度も経験している。感受性試験も特別に抵抗のある例か,あるいは感染を繰りかえす例だけに減らしている。感受性試験に対する筆者の経験から,この試験は普通の治療方法が効果のないような難しい症例のとき以外は必要はないと思つている。事実試験管内での感受性テストでは効果がないと認められた抗生物質を用いて治つているものも少なくない。
 筆者の診療所でも,しばしば培養試験に出しているが,大部分の例の治療方針は患者の症状,生の尿の顕微鏡検査およびメチレンブラウ染色標本検査成績を基にしている。筆者らのアリゾナ州では,筆者の知る限りではコロニー数の検査や感受性試験をやらなかつたために問題の起こつた例はない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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