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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻11号

1971年11月発行

雑誌目次

図譜・357

大動脈炎症候群に合併した腎血管性高血圧症

著者: 三品輝男 ,   永井崇夫 ,   大塚拓治 ,   北村忠久

ページ範囲:P.860 - P.861

 患者 9歳,女児。
 初診 昭和44年8月18日。

図譜・358

多量の砂様結石を尿中に排出した腎結石症

著者: 小川由英 ,   畠亮 ,   川上隆 ,   池田直昭

ページ範囲:P.862 - P.863

 患者 29歳,男子。
 主訴 血尿,左側腹部痛。

図譜 膀胱鏡アトラス・11

膀胱の奇型

ページ範囲:P.866 - P.867

綜説

尿浸潤と尿道瘻

著者: 梅津隆子

ページ範囲:P.869 - P.880

A.尿浸潤
 尿浸潤(Urinary extravasation, Periurethral ph-legmon)は尿路損傷部から(外傷,炎症,腫瘍など)尿が尿路周囲組織に溢流し,これに細菌感染が加わり,急激に高度の蜂窩織炎を惹起し,広範な壊死脱落とともに,重篤な全身症状(敗血症,中毒症)を伴ない,かつては100%死の転帰をとつたものである。
 化学療法剤,抗生物質の出現,加えて輸液,手術法の進歩に伴なつて発生率,死亡率は著減したが,なお治療の時期を失し,あるいは適切な全身的ならびに外科的処置が講ぜられぬ時はなお死を免れ得ず,また,難治性の尿瘻を遺す。

手術手技

尿管性尿路変更術における尿管—腸吻合手技

著者: 百瀬俊郎 ,   尾本徹男

ページ範囲:P.883 - P.890

はじめに
 尿管性尿路変更(ureteral diversion)とは,尿管に手術操作を加える尿路変更術の総括を意味し,Whitmore, Jr.の分類27)に準ずると第1表のようになる。
 この中で非腸管法については,次号にその紹介が予定されているので,ここでは腸管利用法を簡単にふれたのち,その術後成績に大きな影響をあたえる尿管—腸吻合手技についてのべてみたい。

Urological Letter・125

電池式電機手術器の小手術への利用

ページ範囲:P.890 - P.890

 われわれの専門用にデザインされたものではないが,われわれ医師なかまの医療器具が泌尿器科医にとつてまことに便利な器械として使うことができる。眼科医のためにデザインされ,結膜の小さな電気凝固用に造られた電池式電気焼灼器のあることを私は最近知つたのである。この焼灼器は恐らく細心の止血を必要とする尿道下裂の形成手術に便利であると思われた。この焼灼器は本手術に際しては非常に有効であつた。ことに出血点をクレンメで掴みかつ結紮することの困難な陰茎のグランスあたりで便利であつた。尿道手術の際にもまたこの焼灼器は格別便利である。
この"OPTEMP"という名のこの機器は高価ではないし,disposableであり,泌尿器科医はどんな手術室ででも得られるし,使用し得る。この焼灼器はP.O.Box 1959, Forth Worth, Texas 76101のAlcon Laboratories, Surgical Products Divisionから買える。価格は1組僅か4.15ドルで,最小単位は1ダースで買い得る。(W.U.C.L.Oct 25, 1971.Milton B.Ozar, M.D., Kansas City, Misouri)

原著

乳児後腹膜奇形腫の1例

著者: 片海七郎 ,   三橋慎一

ページ範囲:P.891 - P.896

緒言
 後腹膜奇形腫は比較的稀な疾患とされてきたが,本邦ににおける報告例も最近は急増し,もはや稀有の疾患とは言えなくなつている。われわれも乳児の本症1例を経験したので,その症例を紹介するとともに本邦における乳児後腹膜奇形腫を集計し若干の考察を加えたい。

表在性膀胱腫瘍の再発に対するThiotepaの膀胱内注入の効果について

著者: 井上武夫 ,   平野昭彦 ,   長田尚夫 ,   田中一成 ,   田口昭文 ,   福島修司 ,   岩本晃明

ページ範囲:P.897 - P.900

緒言
 膀胱腫瘍は再発の傾向が強く,患者にとつてはもちろん,われわれ医師も頭を悩ます疾患である。井上は7年前,横浜市大在任中,しばしばかかる再発に悩む患者が印象に残つた。たまたまVeenemaのThiotepaの膀胱内注入の腫瘍再発抑制の論文を読み,自分が一城の主になつたら追試してみようとひそかに思つた。間もなく横浜市民病院に赴任したので早速実行した。5年間の在職で東洋医大に移つたので,この機会にまとめてみた。全症例の5年以上のfollow upは,後任の福島部長にお願いして結論を出す予定であるので,今回は中間報告である。
 既に斉藤(1969),尾関(1969)の立派な発表もあり,今更でもないが,発表し御批判を乞うものである。

前立腺肥大症のGestonorone Caproateによる治療

著者: 桜井叢人 ,   狩野健一

ページ範囲:P.903 - P.910

緒言
 一般に前立腺肥大症に対しては手術療法が比較的安全に行なわれている。しかし,患者が老齢であることから,心血管系あるいは呼吸器系の合併症を有し,根治手術が行なえないことがしばしばある。このような症例には古くからいろいろな治療が試みられてきた。その代表的な治療法の一つが性ホルモン療法であり,男性ホルモン,女性ホルモン療法あるいはその併用療法など行なわれてきた。しかし,予期された効果が認められず,また副作用が多く,今日では一般にかえりみられなくなつている。
 1965年にGeller, Bora, Roberts, Newman, Linand Silva1)がはじめて前立腺肥大症の治療に黄体ホルモン剤を用いて,きわめて有望な成績を報告した。その後,一部2)に否定的な報告もあるが,Vahlensieck und Godde (1968)3), Scott and Wade(1969)4)およびNagel and Bargenda (1970)5)などはその有効性を支持する報告を発表している。

尿道カルンケルの臨床病理学的検索—とくに再発との関係

著者: 斉藤博

ページ範囲:P.911 - P.915

緒言
 尿道カルンケル(urethral caruncle)は現在一つの臨床的疾患(clinical entity)として取扱われている。しかし,病理組織学的には必ずしも単一の所見を呈してはおらず,これを病理学的な疾患(pathological entity)としてよいかどうかについてはなお異論がある(Herbut, 19521)など,後述を参照)。
 著者は東京医科歯科大学泌尿器科学教室において最近10年間に診療した203例のうち,病理組織学的検索を行なつた59例の成績をもとに,とくに上述の問題点に関連してその組織像と再発との関係に重点をおいて若干の考察を行なつた。

自己陰茎切断症症例

著者: 今村巖 ,   藤村誠 ,   伊達智徳

ページ範囲:P.917 - P.920

緒言
 陰茎切断症は陰茎外傷の中に含まれ,非常に珍しいものである。陰茎切断症をその発生機転により分類すると,一般に事故による場合と計画的に行なわれる場合に大別される。われわれは,そのいずれにも属さない意識障害下に行なわれた自傷行為による陰茎切断症例を経験したので報告する。

先天性単純性睾丸嚢腫の1例

著者: 佐々木恒臣 ,   西尾彰

ページ範囲:P.921 - P.923

はじめに
 5カ月の乳児で睾丸の無痛性腫大を認め,悪性腫瘍として,高位除睾術を施行して検索したところ,睾丸実質内に嚢腫があり,その内容は透明な液体であつた症例を経験した。1966年にSchmidtがcongenital simple cyst of the testisとして発表している疾患に相当すると思われるので報告する。

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外国文献

ページ範囲:P.927 - P.928

BRITISH JOURNAL OF UROLOGY Vol.43, No.3, June 1971
Pseudocysts of the Pancreas presenting as Renal Mass Lesions.Mark D.Kiviat, Earl V.Miller and Julian S. Ansell 257
Renal Sarcoma.J.D.Jenkins, C.K.Anderson and R.E.Williams 263

内国文献

ページ範囲:P.929 - P.930


 腎不全と貧血,東条静夫・他:診と療,59;(9),51, 1971.肺—腎症候群,近藤有好:最新医学,26;(9);1639, 1971.

文献抄録

睾丸回転症の解剖と診断

ページ範囲:P.930 - P.930

 著者らは1960年以降経験した40症例の睾丸回転症について臨床的観察を行なうとともに発生要因の解剖学的所見について述べている。
 40例の治療方法についてみると第1群の11例は急性の睾丸回転症症状にて来院したが,いずれも回転を整復した上に睾丸固定術を施行。第2群の慢性的な睾丸回転症症状を反覆するいわゆる慢性型の回転症に対しても睾丸固定術を施行。第3群の19例に対しては睾丸動脈栓塞による壊死のために除睾術が施された。これら3群の症例についてみると,第1群の整復可能であつた例は11例で,右側6左側5睾丸である。年齢は8歳より21歳の患者であつて,手術をうける以前にも疼痛発作を経験し,自然整復している。急性発作より来院手術までの経過時間は7時間以内9名,他は12時間以内1名,18時間以内1名となつている。手術時に観察された回転原因と考えられる解剖学的要因についてみると4型に分けられる。第1型は正副睾丸と精索を高い位置で白膜が包んでいるもの4例,第2型は睾丸間膜が長くかつその附着部が狭小で睾丸の可動性が大きいもの1例,第3型は副睾丸自体がその部にて回転したもの2例,第4型は正副睾丸が完全に分離していたもの1例となつている。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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