文献詳細
原著
前立腺肥大症のGestonorone Caproateによる治療
著者: 桜井叢人1 狩野健一1
所属機関: 1新潟大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.903 - P.910
文献概要
一般に前立腺肥大症に対しては手術療法が比較的安全に行なわれている。しかし,患者が老齢であることから,心血管系あるいは呼吸器系の合併症を有し,根治手術が行なえないことがしばしばある。このような症例には古くからいろいろな治療が試みられてきた。その代表的な治療法の一つが性ホルモン療法であり,男性ホルモン,女性ホルモン療法あるいはその併用療法など行なわれてきた。しかし,予期された効果が認められず,また副作用が多く,今日では一般にかえりみられなくなつている。
1965年にGeller, Bora, Roberts, Newman, Linand Silva1)がはじめて前立腺肥大症の治療に黄体ホルモン剤を用いて,きわめて有望な成績を報告した。その後,一部2)に否定的な報告もあるが,Vahlensieck und Godde (1968)3), Scott and Wade(1969)4)およびNagel and Bargenda (1970)5)などはその有効性を支持する報告を発表している。
掲載誌情報