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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻12号

1971年12月発行

雑誌目次

図譜・359

腎石灰型結石

著者: 伊達智徳 ,   今村巌 ,   藤村誠

ページ範囲:P.944 - P.945

 患者 43歳,女子。
 主訴 右側腹部鈍痛。

図譜・360

L型腎

著者: 野辺崇 ,   泊忍 ,   大井好忠

ページ範囲:P.946 - P.947

 患者 53歳,女子,主婦。
 主訴 左背部痛,腰痛。

図譜 膀胱鏡アトラス・12

紫外線膀胱鏡と膀胱腫瘍の治療後所見

ページ範囲:P.950 - P.951

綜説

尿道腫瘍

著者: 赤坂裕 ,   今村一男

ページ範囲:P.953 - P.962

Ⅰ.男子尿道腫瘍
1.男子良性尿道腫瘍
 元来男子良性尿道腫瘍は極めてまれなものである。また男女別についても女子に比し男子良性尿道腫瘍は少ないものである。

手術手技

尿管皮膚移植術

著者: 中島文雄 ,   小柳知彦

ページ範囲:P.965 - P.975

はじめに
 近年各種のSupravesical urinary diversionのうち尿管—曠置回腸—皮膚吻合法(ileal conduit)がもつとも優れた方法として広く用いられている。しかしileal conduitはかなりの侵襲を伴う大がかりな手術であり,重篤な早期および後期合併症も決して少なくない。これに対し尿管皮膚移植術はもつともprimitiveな尿路変向法であるが,簡単な手術で侵襲が少ないうえileal conduitのように腸管の曠置を要せず,したがつて術後の腸管通過障害の危険はほとんどなく,また尿成分再吸収の問題もないなどの利点があるため現在なおかなり広い適応を有している。特に最近では拡張・壁肥厚のある尿管ではileal conduitに優るとも劣らない成績を示すという論者が少なくない。

原著

恥骨上精嚢腺剔除術の1変法

著者: 井上彦八郎 ,   三瀬徹 ,   佐藤義基 ,   坂口洋

ページ範囲:P.1001 - P.1005

緒言
 精嚢腺は骨盤腔底部の深い部位にあつて,しかも小さな臓器であるので,精嚢腺に手術的操作を加えるには,どうしても狭い手術野の下で行なうこととなり,その上直接それ自身を発見するのにしばしば困難を感ずる。したがつて精嚢腺の手術に際しては広い手術野を得るとともに精嚢腺に最短距離で到達でき,しかも周囲との区別のできにくい精嚢腺を容易に発見できるような操作がぜひとも必要となつてくる。
 一般に広い手術野を得るには,腹壁に皮膚切開を加える下腹部正中線部,鼠径部,旁腹直筋部あるいは鼠径・旁腹直筋部などの切開法が適しており,また短距離でこの小臓器に到達するには会陰部,坐骨部あるいは仙骨部などの切開法が適している。さらに,精嚢腺を発見するには精管にそつていくのが最も簡単であるとされている。

文部省科学研究費による総合研究 腎移植の臨床に関する研究

序言

著者: 大越正秋

ページ範囲:P.977 - P.977

 1968年末までの時点において,腎移植の臨床例をもつている大学泌尿器科の仲間が相集まり研究班を組織し,腎移植について臨床的な総合研究を行なつてきた。その組織も1971年3月をもつて文部省からの研究費が打切られたのを機会に解散せざるをえなくなつた。そこでこの2年間の班員の研究業績をとりまとめ,本誌上を借りて発表することにした。
 なお各班員の分担課題は上記の通りであり,互いに連絡をとりつつ総合的研究の成果を挙げるべく努めた。

抗リンパ球グロブリン(ALG)の作製と臨床的応用および腎移植と組織適合性

著者: 大越正秋 ,   中村宏 ,   松下一男 ,   長谷川昭 ,   織田孝英 ,   岡田敬司 ,   辻公美

ページ範囲:P.978 - P.980

A.ALGの作製と臨床的応用
緒言
 ALGはStarzlらの臨床使用経験以来脚光を浴びるようになつてきたが,本邦ではまだその使用経験も多くない。われわれは長崎大学泌尿器科学教室(近藤厚・斉藤泰)で免疫してえられた馬抗人抗リンパ球血清(ALS)からALGを作製し,その力価測定,臨床的効果の検討を行なつた。

腎移植における肝障害の問題,組織適合性検査および長期生存犬の各種検査成績の検討

著者: 百瀬俊郎 ,   石澤靖之 ,   森田一喜朗 ,   安藤征一郎 ,   南里和成 ,   野本亀久雄

ページ範囲:P.980 - P.982

 われわれはこの2カ年間文部省班研究分担者として研究に参加したが,以下研究の要約について述べることにする。その研究内容は(A)腎移植における肝障害の問題,(B)組織適合性検査室の整備,(C)長期生存犬の各種検査成績の検討である。

屍体腎移植に関する研究

著者: 園田孝夫 ,   栗田孝 ,   高羽津 ,   永野俊介 ,   高橋香司

ページ範囲:P.982 - P.983

Ⅰ.臨床例について
 われわれの屍体腎移植例は5例であるが,満足すべき結果を得たとはいい難い。これらの症例の経験から屍体腎移植における腎機能の保全が問題になると思われた。腎保存法は腎潅流保存を行なわない方法であり,腎剔除後乳酸加リンゲル液にて洗浄,冷却を行ない,高圧酸素下(3気圧)15℃に保存したがcold ischemia timeは2時間前後であつた。この結果,腎移植直後より十分な腎機能を発現した例がなく,第4例,第5例の腎組織像,腎微小血管像を検討し,拒絶反応よりむしろ高度の阻血性腎不全の像が強いことが認められた。すなわち腎微小血管像上では皮質への造影剤の注入が極めて不良である点が特徴的であつた。かかる知見より非潅流,浸漬保存における腎機能を検討することにした。

剔出イエウサギ腎の体外循環実験

著者: 宮崎重 ,   定延和夫

ページ範囲:P.984 - P.985

緒言
 臓器移植,特に腎移植の発展にともなつてliv-ing donor利用の時代からcadaver donor利用の時代へと変遷している。この場合,屍体腎を一定時間保存して,後にこれを移植するわけであつて,剔出保存腎の機能を知ることは極めて重要である。現在臓器移植には,免疫抑制,組織適合性などの種々未解決な問題もあるが,保存腎の機能を移植前に知ることができれば,移植の成功に貢献するところが大きいものと期待される。この目的で,犬腎自家移植実験が従来おこなわれてきたが,実験に伴なう種々の要因に左右されるところが少なくない。
 そこでわれわれは,保存腎機能を自家移植でなく,体外循環装置を用いて検索しようと考え,イエウサギの腎を用いて体外循環実験をおこなつた。

拒否反応の本態の解析と移植腎機能の検討

著者: 宍戸仙太郎

ページ範囲:P.986 - P.988

 腎移植の現状で問題とされるのは,組織適合性,拒否反応の本態の解明ならびにその早期診断,新らしい免疫抑制法の開発,臓器の保存などである。また長期生存例では,移植腎の逆行性感染と,次第に腎機能の低下することである。私はこれらのうち,拒否反応の本態の解析と,移植腎における腎・尿管機能について検討を行なつた。

移植腎機能の研究

著者: 辻一郎 ,   廣田紀昭 ,   須藤進 ,   猪野毛健男

ページ範囲:P.988 - P.990

 移植腎機能に影響を及ぼす因子について少数例の症例検討を行なつて結論を導き出すことは困難ではあるが,一応最近までの自験9症例につき若干の検討を加えた。

移植腎機能—拒絶反応の早期診断における131I-Hippuranおよび99mTcのRenoscinticameraの臨床的意義

著者: 高安久雄 ,   岸本孝 ,   北川龍一 ,   小磯謙吉 ,   小峰志訓

ページ範囲:P.990 - P.992

緒言
 同系腎移植以外の腎移植では移植免疫反応が程度の差こそあれ起こつてくる。この移植免疫反応は臨床上,拒絶反応の症状として出現し,放置すれば移植腎は廃絶する。したがつて,これを防止し,移植腎を生着せしめ,その機能期間を長くするため各種の免疫抑制法が行なわれている。しかし,現今の免疫抑制法はいまだ十分とはいい難く,副作用も問題になつている。このような現状では,早期に拒絶反応を診断し,移植腎に不可逆性変化が生じないうちに免疫抑制法を強化する必要がある。臨床上,拒絶反応の早期診断法には各種あるが,われわれは腎機能検査法の一環として,131I-Hippuranおよび99mTcのRenoscinticameraを用いて腎移植症例のScintiphotoを撮影し,移植腎の拒絶反応を早期に診断せんと試みたので,以下これについて報告する。

腎移植後の酸塩基平衡および線維素溶解酵素系の研究

著者: 大堀勉

ページ範囲:P.992 - P.994

はじめに
 腎移植,とくに拒否反応時の酸塩基平衡および線維素溶解酵素系を追究することは,拒否反応の解明または軽減に意義あるものと考え,本研究に着手した。

同種腎移植における尿蛋白の研究

著者: 近藤厚 ,   星野知生 ,   垣本滋 ,   計屋紘信

ページ範囲:P.994 - P.996

Ⅰ.研究目的
 同種腎移植後の拒否反応における尿蛋白の変動を追求し,他の疾患における尿蛋白の変動と比較して,尿蛋白による拒否反応の早期診断法を検討した。

腎移植の術前管理および移植例の血漿レニン活性

著者: 前川正信 ,   甲野三郎

ページ範囲:P.996 - P.998

 腎移植成功の前提として,まず腎不全患者の移植前の管理を良好なものとし,移植時にはベストのコンディションにもつていく必要がある。末期腎不全では多様な合併症が存在するが,なかでも高血圧に起因する様々な不愉快な症状に遭遇することが多く,またこのために患者を失う場合もある。したがつて,高血圧に対してなんらかの処置を講ずることは腎移植待機患者の管理成績をより一層向上せしめうるものと考える。末期腎不全の高血圧は降圧剤の使用により,あるいはdry wei-ghtの状態を維持することにより治癒する例,これらの治療に若干の反応を示す例,およびまつたく影響されない症例があるが,私は今回の班研究において,これらの症例のレニン活性を測定し,若干の成績をえたのでここに報告するとともに,移植患者(阪大症例)のレニン活性を測定したのでこの点についても簡単にふれてみたい。

見聞記

欧米泌尿器科についての印象

著者: 阿曽佳郎

ページ範囲:P.1007 - P.1011

 昨夏,東京で開催された第15回国際泌尿器科学会直後,米国泌尿器科学会事務総長Prof.Leadbetterおよび同学会理事Prof.Nagamatsuより本年5月16日から20日まで開かれる第66回米国泌尿器科学会総会(Chi-cago)で高安教授と共にpyelourete-roscopeについて発表するように招聘された。同学会はChicago市で一番大きくかつ伝統を誇るPalmerHouseにおいて長老Dr.Dorsey会長の下に開催された。5日間におよぶ会期中約1500人を収容する主会場がたえず満席に近く,noteをとつたり,tape recorderに記録したりする人がかなり目立つた。ざっと出席者の半数がmember,残りはguestsで若い医師あるいは外国からの出席者であつたと思う。学会発表の形式についてはすでに以前,慶大中村氏が本誌に発表されているようなものであつたし,今回の学会の発表内容の詳細についてはすでに日医大遠藤氏が報告されているので,ここでは私たちの発表に関したことを中心にごく簡単に述べさせて頂くこととする。
 私たちの発表は,学会第3日目(5月18日)午後2時から,今回の学会から新たに発足したProf.Na-gamatsuの主催するBiomedicalEngineering Forumのもとに行なわれ,Pyeloureteroscopeの最近の成果につき約10分間報告した。

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外国文献

ページ範囲:P.1013 - P.1016

THE JOURNAL OF UROLOGY Vol.105, No.6, June 1971
Regulation of Sodium Excretion With Special Emphasis on Current Status of Natriuretic Hor-mone. S.S. Howards 749
Staghorn Calculi in Solitary Kidneys. J.A.Liber-tino, H.R.Newman, B.Lytton and R.M. Weiss 753

内国文献

ページ範囲:P.1017 - P.1018


 犬同種移植腎の電子顕微鏡的研究—免疫抑制剤非使用群における糸球体および間質の変化,徳江章彦:日泌尿会誌,62;(9),661, 1971.
 Unilateral Multicystic Kidneyの1例とその考察,高橋健一・平岡真・高岸秀俊・妹尾素淵・小林貞夫:日泌尿会誌,62;(9),714, 1971.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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