文献詳細
原著 文部省科学研究費による総合研究
腎移植の臨床に関する研究
文献概要
Ⅰ.臨床例について
われわれの屍体腎移植例は5例であるが,満足すべき結果を得たとはいい難い。これらの症例の経験から屍体腎移植における腎機能の保全が問題になると思われた。腎保存法は腎潅流保存を行なわない方法であり,腎剔除後乳酸加リンゲル液にて洗浄,冷却を行ない,高圧酸素下(3気圧)15℃に保存したがcold ischemia timeは2時間前後であつた。この結果,腎移植直後より十分な腎機能を発現した例がなく,第4例,第5例の腎組織像,腎微小血管像を検討し,拒絶反応よりむしろ高度の阻血性腎不全の像が強いことが認められた。すなわち腎微小血管像上では皮質への造影剤の注入が極めて不良である点が特徴的であつた。かかる知見より非潅流,浸漬保存における腎機能を検討することにした。
われわれの屍体腎移植例は5例であるが,満足すべき結果を得たとはいい難い。これらの症例の経験から屍体腎移植における腎機能の保全が問題になると思われた。腎保存法は腎潅流保存を行なわない方法であり,腎剔除後乳酸加リンゲル液にて洗浄,冷却を行ない,高圧酸素下(3気圧)15℃に保存したがcold ischemia timeは2時間前後であつた。この結果,腎移植直後より十分な腎機能を発現した例がなく,第4例,第5例の腎組織像,腎微小血管像を検討し,拒絶反応よりむしろ高度の阻血性腎不全の像が強いことが認められた。すなわち腎微小血管像上では皮質への造影剤の注入が極めて不良である点が特徴的であつた。かかる知見より非潅流,浸漬保存における腎機能を検討することにした。
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