文献詳細
特集(増刊号の)4 泌尿器と関連領域の症候レントゲン診断
Ⅳ.腎腫瘍とそのレ線像
文献概要
はじめに
1950年代までは,腎実質内に腫瘤性病巣spaceoccupying lesionがIVPなどで発見されると,まず悪性腫瘍を前提として以後の検査,治療が考慮されてきた。そして,これらの患者の大多数は,腎腫瘍を疑わせるのに十分な症状を呈するものであつて,偶然の機会に腎内腫瘤が発見されることは比較的稀であつた。ところが最近では,一般検査としてのIVPの価値がみとめられ,急速に普及してきたため,たまたま撮影したIVPで腎実質内にspace occupying lesionを見出し,この病巣の性状の鑑別を迫られる症例が増加してきた。特に高齢者に対する手術前検査や,高血圧や尿路感染などの検討のために行なわれたIVPにて,腎内腫瘤陰影が発見される機会が漸増し注目をひくようになつた。たとえばBohne1)は,前立腺肥大症患者500例のIVPで,その2.0%にこのような病的所見を認めたと記載している。
1950年代までは,腎実質内に腫瘤性病巣spaceoccupying lesionがIVPなどで発見されると,まず悪性腫瘍を前提として以後の検査,治療が考慮されてきた。そして,これらの患者の大多数は,腎腫瘍を疑わせるのに十分な症状を呈するものであつて,偶然の機会に腎内腫瘤が発見されることは比較的稀であつた。ところが最近では,一般検査としてのIVPの価値がみとめられ,急速に普及してきたため,たまたま撮影したIVPで腎実質内にspace occupying lesionを見出し,この病巣の性状の鑑別を迫られる症例が増加してきた。特に高齢者に対する手術前検査や,高血圧や尿路感染などの検討のために行なわれたIVPにて,腎内腫瘤陰影が発見される機会が漸増し注目をひくようになつた。たとえばBohne1)は,前立腺肥大症患者500例のIVPで,その2.0%にこのような病的所見を認めたと記載している。
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