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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻2号

1971年02月発行

雑誌目次

図譜・339

副腎静脈撮影により腫瘤描出に成功した褐色細胞腫の1例

著者: 中田瑛浩 ,   今津曄 ,   吉田豊彦 ,   片山喬

ページ範囲:P.100 - P.101

 患者 52歳,家婦。
 主訴 心悸亢進。

図譜・340

両側尿管瘤

著者: 近喰利光 ,   秋元成太 ,   小川秀彌 ,   宮内十三郎 ,   富田勝 ,   西浦弘

ページ範囲:P.102 - P.103

 患者 18歳,男性。
 主訴 腰痛,発熱。

図譜 膀胱鏡鞍アトラス・2

膀胱異物

ページ範囲:P.106 - P.107

綜説

尿道疾患のレ線学的診断法

著者: 小田完五

ページ範囲:P.109 - P.118

はじめに
 尿道疾患の診断に際して,レ線学的診断法は機械的診断法とともに臨床検査における車の両輪にもたとえられるものである。その中でも造影尿道撮影がその主軸をなしており,その他に尿道部位の単純撮影,気体尿道撮影,膀胱撮影,腎盂撮影,さらにその他の部位の単純撮影などがふくまれる。

手術手技

下大静脈後尿管の診断と治療

著者: 佐藤昭太郎 ,   坂田安之輔

ページ範囲:P.119 - P.125

Ⅰ.下大静脈後尿管について
 胎生初期に,3対の主要静脈(postcardinal vein,subcardinal veinおよびsupracardinal vein)が左右に発生し,その吻合枝によつて,いわゆる尿管周囲静脈環が左右両側に形成される。腎,尿管は,この静脈環の中を通過して上行し,第8週頃に本来の腎の位置に達する。正常の発生過程では,supracardinal veinのみが残存して下大静脈を形成し,他の2対の主要静脈は萎縮してしまう。この発生過程に異常が起こり,静脈環を形成する前面部のpostcardinal veinが萎縮しないで,下大静脈を形成した場合には,尿管が下大静脈の背面を廻る形となり,下大静脈後尿管(retrocaval ureter)と呼ばれている。尿管の奇形というよりは静脈の奇形であるが,実際には尿管の下大静脈との交叉部より上部に尿停滞が起こり,水腎症,水尿管症に基づく種々の尿路系の症状が出現する。

Urological Letter

急性腹症の原因としての腎動脈血栓/膀胱壁内尿管結石の経尿道的尿管切石術

ページ範囲:P.125 - P.125

 急性腹症のときには,剥離性大動脈病,潰瘍穿孔,膵臓炎,冠状動脈閉塞などのほかに腹部大動脈の大きな枝の血栓もまた考慮しなければならない。次に述べる症例は興味深い好適例である。
 67歳の老人が6時間も続いた心窩部の激痛を訴えて来院した。既往歴としては15年来の高血圧以外特にとり立てるほどのものはなかつた。その高血圧も薬剤でかなり良く調節されていた。この患者は初めは急性心筋硬塞として治療された。この激痛は36時間後には消失した。今までにEnzymesは決して高くなつていなかつたし,ECGにも特別な変化は見られなかつた。今後更に起こる可能性のある心筋障害を防ぐために抗凝血剤を投与した。

原著

腎外傷症例の検討

著者: 新井元凱 ,   杉田篤生 ,   川村俊三 ,   小津堅輔 ,   石崎允

ページ範囲:P.127 - P.132

緒言
 近年重工業の発展に伴う産業災害の増加,ならびに交通事故の激増にともなつて,尿路外傷も多く経験されるようになつた。とくに腎外傷は,当教室においても13例を経験しているので,腎のレ線学的所見を中心として検討を行ない,2,3の知見を得たと思われるので報告する。

腎無形成の2例

著者: 市川哲也 ,   万波誠 ,   柏木崇

ページ範囲:P.135 - P.139

緒言
 腎臓の発育不全症は泌尿器科診断学の発達した今日では,もはや稀な奇形ではない。本邦においては1889年山極1)の報告を最初とし,報告例は増加しつつある。しかし,本症の分類,診断などについて,なお不明の点も少なくない。最近,われわれは手術的,病理組織学的に確められた,腎無形成の2例を経験したので報告し,あわせて若干の考案を加える。

腎盂白板症(腎盂真珠腫)の1例

著者: 堀米哲 ,   本間昭雄 ,   藤田征隆

ページ範囲:P.141 - P.146

緒言
 腎盂腎杯の正常移行上皮が角化せる扁平上皮に変化する現象を腎盂白板症と呼んでいるが,これが進行し角化層のケラチンよりなるうすい膜様物が重層し,たまねぎ状に腎盂内に腫瘤をなすに至つたものを腎盂真珠腫と呼んでいる。この疾患は比較的稀であり,また特異な腎盂レ線像や,角化膜様物質の尿中排泄などの特異な症状を呈するにもかかわらず,合併症としての慢性炎症症状,結石の症状などが表面にでるために術前診断が困難な疾患として知られている。最近当料においても腎盂白板症の1例を経験したので報告する。

無顆粒細胞症をきたした1例

著者: 加藤弘彰 ,   原田忠

ページ範囲:P.147 - P.150

緒言
 顆粒細胞の減少をもたらす原因には,アレルギー,化学的物理的障害,重症感染症,系統的造血器疾患,Hypersplenism, Banti症候群,悪性腫瘍の骨髄転移などがあげられている。
 われわれは腎切石術々後に薬物アレルギーによると考えられる無顆粒細胞症の1例を経験したので,その経過を報告すると共に発症の原因となつた薬物に関していささかの考察を行なつた。

尿道狭窄の研究—尿道狭窄に対する内尿道切開術の経験

著者: 平野昭彦 ,   井上武夫 ,   広川信 ,   鈴木彦人

ページ範囲:P.151 - P.155

まえがき
 内尿道切開術は,1854年Maisonneuveによつて始めて行なわれた。ついで1872年Otisが"dila-ting urethrotome"を発表したが,その後出血,感染などの合併症に対する批判から行なわれなかつた。1948年Davis and LeeはMaisonneuve ure-throtomeを用いて良結果を得,また最近では1967年Wolfがsuper otis urethrotomeを用いてやはり好成績をあげてから再び注目されている。本邦においては未だみるべき報告はないが,著者らは最近2年間に男子尿道狭窄の11例に内尿道切開術を行なつていささかの臨床知見を得たので発表して御批判を仰ぎたい。これに若干の文献的考察を加えた。

東大分院泌尿器科外来における昭和35年より昭和44年までの尿路結石症の統計的観察

著者: 河村毅 ,   和久正良 ,   北川龍一 ,   岩動孝一郎 ,   松本泰 ,   徳江章彦 ,   高崎悦司

ページ範囲:P.157 - P.162

緒言
 尿路結石症は比較的頻度が高いため泌尿器科領域における重要な疾患の一つにあげられている。わが国でも近年稲田の2回にわたる全国統計をはじめ,数多くの臨床的観察が報告され,発生頻度や結石の部位的分布など統計的推移が検討されている。
 今回われわれは,東大分院泌尿器科外来における昭和35年〜44年の10年間の尿路結石症患者について統計的観察をおこなつたので,その成績を報告し,おもに稲田の昭和40年の第2回全国統計との比較検討を試みた。なお,尿路結石症患者はレントゲンで確実な診断を得た新来患者のみを対象とし,前立腺結石を含めた。

学会印象記

日本泌尿器科学会第22回西日本連合地方会

著者: 酒徳治三郎

ページ範囲:P.165 - P.167

 四国路とはいえ,晩秋の冷気が肌身にしみる11月最後の日曜日,29日に,徳島大学の黒川一男教授のお世話で,日本泌尿器科学会第22回西日本連合地方会が開催された。臨床泌尿器科の編集室から印象記の執筆を依頼されたが,2年前にも広島での西日本連合地方会印象記の拙文を掲載させていただいたので一旦おことわりしたものの,編集室からの御熱心な依頼で,恥をしのんで再び筆をとる次第である。
 各講演やシンポジウムの詳細な内容については,いずれ地方会機関誌である西日本泌尿器科誌上に掲載されるので,これについて縷縷と説明を加えることなく,学会の点描ないし感想を記することで,私の責をはたすことができれば幸いである。

文献抄録

両側同時発生の原発性尿管癌の2例

ページ範囲:P.168 - P.168

 人体の重複癌は必ずしもめずらしくないが,主題のような尿管癌は文献的にも極めて稀なものである。今までに報告された症例は12例であるが,内7例は同時に発生しており,5例は時期を異にしているものである。著者の2症例を紹介すると,第1例は68歳男子,主訴は無症候性血尿,入院時の血液生化学的検査では特に異常を認めない。排泄性腎盂撮影で右側尿管上部に2.0cmと左尿管下端部に0.6cmの陰影欠損部を認め,その近接部の尿管は軽度に拡張している。内視鏡では左尿管口が梢浮腫状に開大している。治療は左尿管下端を切除,尿管膀膀再吻合。右側尿管もURJ近くを切除し,尿管尿管の吻合を施行した。
 この症例では術後3ヵ月で膀胱頂部に腫瘍が発生したので電気焼灼し,その後約9ヵ月健康である。腫瘍はいずれもGrade Iの乳頭状移行上皮癌であつた。

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外国文献

ページ範囲:P.169 - P.170

DER UROLOGE
Jahrgang 9, Ausgabe A, Heft 5,September 1970
Antirefluxoperation:Indikation und Ergebnisse. Moormann, J.G.,Burwick.P.,Kemper, K.241
Die Hydrocele im Säuglings- und Kindesalter -Gegenüberstellung zweier Operationsver-fahren, Nachuntersuchungsergebnisse.Daum, R.,Völker, J.,Weiss.H.249

内国文献

ページ範囲:P.171 - P.172


 腎盂腎炎, 堺薫:小児科臨床, 23;1420, 1970.
 腎不全, 佐藤仁:小児科臨床, 23;1424, 1970.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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