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手術手技
下大静脈後尿管の診断と治療
著者: 佐藤昭太郎1 坂田安之輔1
所属機関: 1新潟大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.119 - P.125
文献購入ページに移動胎生初期に,3対の主要静脈(postcardinal vein,subcardinal veinおよびsupracardinal vein)が左右に発生し,その吻合枝によつて,いわゆる尿管周囲静脈環が左右両側に形成される。腎,尿管は,この静脈環の中を通過して上行し,第8週頃に本来の腎の位置に達する。正常の発生過程では,supracardinal veinのみが残存して下大静脈を形成し,他の2対の主要静脈は萎縮してしまう。この発生過程に異常が起こり,静脈環を形成する前面部のpostcardinal veinが萎縮しないで,下大静脈を形成した場合には,尿管が下大静脈の背面を廻る形となり,下大静脈後尿管(retrocaval ureter)と呼ばれている。尿管の奇形というよりは静脈の奇形であるが,実際には尿管の下大静脈との交叉部より上部に尿停滞が起こり,水腎症,水尿管症に基づく種々の尿路系の症状が出現する。
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