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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻3号

1971年03月発行

雑誌目次

図譜・341

腎外傷の動脈像

著者: 大井鉄太郎 ,   佐々木寿

ページ範囲:P.184 - P.185

 患者 20歳,学生。
 主訴 無症候性血尿。

図譜・342

膀胱壁固着性異物(鋼線)結石

著者: 西田亨 ,   草階佑幸

ページ範囲:P.186 - P.187

 患者 38歳,家婦。
 主訴 頻尿,終末時排尿痛。

図譜 膀胱鏡アトラス・3

膀胱結石

ページ範囲:P.190 - P.191

綜説

尿道疾患の機械的診断法

著者: 重松俊

ページ範囲:P.193 - P.199

 尿道疾患の機械的診断法には二つの意味がある。すなわち(1)狭義にはなにか器械を使用して診断を下す方法と,(2)広義には器械ばかりでなく,視診および触診を併用した用手法が含まれる方法である。したがつて尿道疾患のうちこの機械的診断法が適用されるのは非常に限定されるようである。すなわち尿道炎,尿道狭窄,腫瘍などが主で,結石,異物などはレントゲン的診断法が最適である。この機械的診断法は非常にPrimitiveな方法,換言するならば実地医家的な方法といえる。またそれだけに使用の頻度も高くなるかと思う。尿道疾患別に述べることにする。

手術手技

巨大尿管症—手術療法の方針と手技

著者: 落合京一郎

ページ範囲:P.201 - P.204

緒言
 巨大尿管(mega-またはmegalo-ureter)というよび名は,まだかなりルーズに使用されている傾向がないわけではない。たとえば,著明な拡張を示した水尿管(hydroureter)に対して使用される場合などである。しかし,mega-あるいはmegalo-ureterとよぶ場合は,これは単に著しく尿管が拡張している状態のものをさすものではなく,臨床的には独立して取扱われるべき疾患と考えた方がよいという主張が有力化しており(Johnston,1967;Rudhe & Ericsson,1967;Eckstein,1969;Rehbein et al.,1969;Flatmark et al.,1970など),著者も当教室における経験例からこの解釈に賛するものである。とくに,その治療法の観点からも,これ以外の水尿管症とは区別しておくのがよいと考えている。
 この巨大水尿管症に関しては,当教室の小池(現杏林大学教授)および筧が近く原著としてその詳細を発表するのでここでは省略し,手術療法の基本的方針と術式の概略を記述することにする。この巨大尿管症もそれ以外の水尿管症も著明な尿管の拡張を呈するという点では共通しているが,両者はほぼ次のような特異のちがいを示しているものである。

原著

腎結石を伴うCushing症候群

著者: 生亀芳雄 ,   小川秀彌 ,   菅間正気 ,   小野順一

ページ範囲:P.207 - P.213

緒言
 Cushing症候群はH.Cushing1,2)によりPituitarybasophilismとして報告されてから多くの症例が発表されてきた。
 その後内分泌学の進歩に伴つて本症候群は副腎皮質の過形成,腺腫,癌などによるものが大部分であることが判明した。また外科的には術式,および術前,術中,術後管理などについても多くの検討が加えられ,今日では,その治療法も詳細な点を除けばほとんど確立されている。

珊瑚状結石を合併せる腎腺癌の1例

著者: 大室博 ,   藤枝順一郎 ,   勝目三千人

ページ範囲:P.215 - P.219

緒言
 腎腺癌は腎腫瘍中最も多く,また珊瑚状結石もしばしば見られるが,腎腺癌に珊瑚状結石を合併した1例を経験したので報告する。

成人にみられたCongenital Unilateral Multicystic Kidneyの2例

著者: 近藤猪一郎 ,   井上卓治 ,   間宮紀治 ,   公平昭男

ページ範囲:P.221 - P.227

緒言
 腎の嚢胞性疾患については,以前よりその発生,分類などに関して多くの説があり,未だ一定したものがない。その中で,1967年Gleason et al.18)が述べている分類が臨床上便利と思われるので第1表に掲げておく。この分類では,renal dysplasiaの中に,unilateral multicystic disease,multicysticrenal dysplasia,unilateral polycystic disease,poly-cystic disease with abundant stroma,renal ap-Iasia,およびhypoplastic multicystic kidneyなどといわれるものが含まれている。
 Unilateral multicystic kidneyという名称は,1936年Schwarz2)が"An unusual unilateral mul-ticystic kidney in an infant"として始めて使用し,その後1955年にSpence4)が彼自身の経験例4例とそれまでの報告例をまとめて定義づけて以来,一般に使われるようになつたが,しかし一つの疾患とするよりもrenal dysplasiaの一形式と考えるほうが良いように思われる。

男性化症を示した副腎性器症候群の1例—特にホルモン測定成績

著者: 工藤茂宣 ,   寺山百合子 ,   二川原和男 ,   三樹明教 ,   白岩康夫 ,   舟生富寿

ページ範囲:P.229 - P.236

緒言
 副腎性器症候群の発生病理は,近年副腎皮質ステロイドの生合成に関与する酵素系の異常に由来することが明らかとなつてきている。われわれは,男性化症を示した副腎性器症候群につき,内分泌学的検索を行ない,その代謝異常を分析し,その結果,従来21-hydroxylase欠乏は軽度欠乏,高度欠乏とに分類されていたが,この酵素欠乏は種々の程度に連続的に欠乏し得るものと考えるにいたつたので報告する。

Endometriosisによる尿管通過障害の1例

著者: 広田紀昭 ,   折笠精一

ページ範囲:P.237 - P.242

緒言
 endometriosisとは子宮内膜組織あるいは子宮内膜由来の組織が異所性に発育し,月経周期に一致して子宮内膜と同様の変化を示し,その結果,種々の症状を呈するものをいう。
 endometriosisはごく普通にみられる疾患で,初経から閉経までの婦人の8〜15%にも及ぶという(Hawthorone,1951)。しかし,その発生部位は女性性器あるいは骨盤内腹膜に多く,尿路に発生することは比較的まれのようである(第1表)。また,尿路のendometriosisとしては,圧倒的に膀胱に発生した例の報告が多く,その他の尿路に発生した例の報告は極めて少ない(第2表)。

性染色体構成XYYを示した尿道下裂兼停留睾丸の1例

著者: 関根昭一

ページ範囲:P.243 - P.247

緒言
 XYY症候群は1961年Sandberg et al.が第1例目を報告し1),その後は散発的な報告がみられていた。しかし,最近刑務所,精神病院などの特殊施設でかなりの頻度でみられることより,犯罪,非行と関連して本症候群が注目されるようになつた。われわれは最近,性染色体構成XYYを示した尿道下裂兼停留睾丸の1例を経験したので,ここに報告する。

蓚酸塩尿路結石症におけるマグネシウム代謝とマグネシウム療法

著者: E.ヒーンツ ,   H.-J.シュナイダー ,   M.マルチンゾーン ,   高崎悦司

ページ範囲:P.249 - P.256

 尿石疾患は過去20年の間に急激に増加している。大幅な罹患率の増大により,現在ではわれわれの人口約1%が尿石のために治療を受けている(Schmincke &Lengwinat)(第1図)。
 このことはまた恒常的に上昇しつつある生活水準と,そしてこれにより変化した栄養とに明らかに関係している(Hienzsch & Schneider)。

文献抄録

結核性無機能腎の長期予後

ページ範囲:P.219 - P.219

 抗結核剤の進歩により結核腎摘出の適応が最近では変わつて来たが,腎結核による敗血症,高度の出血,堪え難い疼痛,高血圧症あるいは悪性新生物が考えられる時には腎摘出せざるを得ない。従来腎結核病巣は血行感染性の活動病変をおこすので腎摘出がよいとされていたが,著者らの経験から十分な化学療法を行なえば結核性の無機能腎は必ずしも摘出の必要はないと考えている。
 著者らは1945年以降,泌尿性器結核患者800症例を取扱つているが,この内270例の尿路結核中結核性の無機能腎22例の長期経過の観察について述べている。観察経過年数は1年から5年が7名,6年から12年が9名,13年から22年が9名となつている。いずれの患者も2年目までは毎3ヵ月に1度,5年目までは6ヵ月に1度,以降1年に1度の検査を行なつている。1956年以降は抗結核剤の3者併用で2カ年の化学療法を行なつた。これらの長期観察中無機能腎の摘出を行なつたのは3例であり,2例は偏腎性の高血圧の疑いで腎摘出をしたが血圧の下降はみられず,他の1例は悪性腫瘍の合併を考慮して摘出したが,腫瘍はみられなかつた。合併症として1例に変形菌混合感染による慢性腎盂腎炎で2年間の化学療法で治癒した症例があつたが,他には顕著な合併症はみられなかつた。

Urological Letter・114

Ⅰ.前立腺炎の治療にButazolidinを,他

ページ範囲:P.227 - P.227

 慢性前立腺炎の治療に使われる普通の方法には抗菌物質,温浴,前立腺マッサージ,また時には鎮痙剤などがある。慢性前立腺炎のある患者には下背部痛,もものつけ根のうずき→この不快感の睾丸への放散,会陰部および内転筋表面のうずきなどの種々なる程度のものが起こりうる。これらの後者の症状の治療にはButazolidinが卓効を奏する。普通の他の治療法と共に本剤を100mg宛1日に2〜3回ずつ,1〜2週間用い,そのあとは1日に1回宛用いると症状の多くが消失する。Butazolidinはまた急性前立腺炎にも,固有の抗菌剤と共に用いると非常に効果があることも分つた。Butazolidinはまた急性副睾丸炎の治療にもよいし,殊に浸潤の吸収が明らかに促進される。

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外国文献

ページ範囲:P.259 - P.261

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.104, No.2, August 1970
Correlation of Angiography and Natural Historyin Evaluation of Patients With RenovascularHypertension.B.H.Stewart, H.P.Dustan W.S.Kiser, T.F.Meaney, R.A.Straffon and L.J.McCormack 231
Peroral Dissolution of Renal Calculi.K.Uhlir 239

内国文献

ページ範囲:P.263 - P.265


 腎血管系に関する研究—腎動脈第一次枝結紮イヌにおける腎血管系の変化について—,半田詮:日腎誌,7;605, 1970.
 糸球体腎炎における腎内血管構築の変化に関する実験的研究—Microangiography応用による—,沢武紀雄:日腎誌,7;621, 1970.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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