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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻4号

1971年04月発行

雑誌目次

図譜・343

癒合性交叉性変位腎

著者: 江藤耕作 ,   向田正幹 ,   上村計夫

ページ範囲:P.272 - P.273

 患者 ○○,21歳,女子。
 初診 昭和45年9月7日。

図譜・344

尿道・膀胱異物

著者: 広野晴彦 ,   能美稔 ,   高橋厚 ,   中神義三 ,   陳泮水

ページ範囲:P.274 - P.275

 患者:J.T.54歳,男子,季節労務者。
 主訴:頻尿,排尿痛,血尿。

図譜 膀胱鏡アトラス・4

慢性膀胱炎

ページ範囲:P.278 - P.279

綜説

先天性尿道狭窄と弁膜形成

著者: 井上武夫 ,   平野昭彦 ,   岩本晃明

ページ範囲:P.281 - P.288

はじめに
 先天性尿道異常のうちで,通過障害をおこす臨床的に必要なものは次のごとくである。
1.前部尿道 1)尿道狭窄(a)尿道口狭窄(b) Nonmeatal Stricture 2)前部尿道弁 3)女児尿道末梢部狭窄(Distal Urethral Stenosis) 2.後部尿道 1)尿道弁 2)尿道狭窄 3)精阜肥大

手術手技

尿管の膀胱外開口の手術適応およびその治療

著者: 宮崎一興 ,   公平昭男

ページ範囲:P.289 - P.295

はじめに
 尿管下端である尿管口が正常な位置に開口していないものを一般に尿管開口異常と呼ぶが,それにも膀胱内で異常な位置に開口しているものと,膀胱以外の部に開口しているものがあり,後者を尿管の膀胱外開口という。尿管の異常開口例の80%はHinman7)によると,一側または両側の完全重複腎盂・完全重複尿管の一尿管が異常開口しているものであり,非重複尿管が先天性に異常開口している例は比較的少ないとされている。このように尿管の数と,異常開口との関係には様々の組合わせが考えられ,第1図のごとく,比較的頻度の高いものはおよそ7型に分類することができ,中でもⅢ型のものが最も高頻度であるという19)。重複尿管を伴わないⅠ,Ⅱ,Ⅶ型と,重複尿管を伴うⅢ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ型とは発生学的に原因を異にするといわれるので,発生論について概説する。

原著

結石腎にみられたXanthogranulomatous pyelonephritisの1例

著者: 中村章

ページ範囲:P.297 - P.302

はじめに
 Xanthogranulomatous pyelonephritisは慢性腎盂腎炎のうちで,脂肪顆粒を有する泡沫細胞(FoamcellまたはSchaumzellen)が著明に増殖し,肉眼的に黄色調を呈する特殊な型である。欧米ではすでに100例を越す本症の報告があるが,本邦においてはこれまで12例の報告があるに過ぎず,比較的最近になつて注目されるようになつた疾患である。著者は最近結石腎にみられた本症の1例を経験したので報告し,若干の考察を行なうこととする。

レ線TV透視下経皮的腎生検法—同一術者による通常法腎生検との比較

著者: 日台英雄

ページ範囲:P.303 - P.309

はじめに
 Iversen,Brun7)らが1951年に吸引法による経皮的腎生検法を発表したのち,肝生検に使用されていたSilvermann針がこれに応用され,更にMue-hrcke9),Kark17)らにより静脈性腎盂撮影像をもととして腎下極を作図上求める方法が確立されてから経皮的腎生検法は広く普及するようになつた。
 とはいえMuehrckeらの経皮的腎生検法でも常に組織診断に十分な量の腎組織を確実かつ安全に採取しうるわけでなく欧米で50〜98%7,9,18,22),本邦でも40〜97%11,19,24)にも変動する成功率が報告されている。
 また,副作用10,22)については強度の血尿,腎周囲血腫,腎茎部損傷,腎梗塞などによる腎摘除例,気胸,血胸,腎動静脈瘻,尿管損傷1),肝・脾・胆嚢・大腸などの損傷例,更には少数ではあるが死亡例12,22)すら報告されている。

完全膀胱外反症の1例

著者: 大石幸彦 ,   町田豊平 ,   南武

ページ範囲:P.311 - P.317

緒言
 膀胱外反症は先天的に膀胱前壁および下部腹壁が欠損し,膀胱粘膜が外部に露出している疾患で,多くは他の泌尿外性器奇型を合併した完全型である。最近16歳女子の完全膀胱外反症の1例を経験し,本症にLowsley-Johnson法で手術し成功したので報告する。

尿道外に脱出せる巨大尿管瘤の1例—その術後経過について

著者: 田口裕功 ,   石塚栄一 ,   石堂哲郎 ,   村山鉄郎

ページ範囲:P.319 - P.322

緒言
 尿管瘤は1835年Lechlerが剖検で認めたものが最初とされ1),それ以来数多く報告されている。本邦でも1923年尾形の報告以来多数の報告,原著がみられ2〜5),現在まで近喰らによれば165例となる5)。しかし,尿道外に脱出した症例は比較的まれで,現在まで10数例が報告されているにすぎない。著者らは最近尿道外に脱出した両側の巨大尿管瘤の1例を経験した。これに対し,最も簡単な方法である膀胱高位切開による尿管瘤切除術を施行した。これで問題とされる膀胱尿管逆流現象に対して長期間にわたる観察を行ない良好な結果を得たので報告する。

北大泌尿器科における睾丸腫瘍症例の遠隔成績

著者: 仲野谷祐介

ページ範囲:P.323 - P.328

緒言
 近年睾丸腫瘍の治療成績は向上しているが,わが国における遠隔成績調査は不十分でかつ欧米に比べて成績も悪いようである。われわれは先に幼小児の睾丸腫瘍症例につき予後成績良好であることを報告したが,今回全睾丸腫瘍につき追跡調査の結果を得たので,少ない症例数であるが以下報告する。

交叉性睾丸転位症の1例

著者: 福井準之助

ページ範囲:P.329 - P.333

緒言
 睾丸の位置異常の中でも,停留睾丸は日常よく経験するが,正常の下降路外に存在する睾丸転位は,極めてまれな異常である。最近,交叉性睾丸転位症の1例を経験したので報告する。

文献抄録

グラウィツ腫瘍と肝機能

ページ範囲:P.302 - P.302

 著者らは1961年より1967年までの7年間にMayo Clinicにて400例の腎腺癌を治療し,その臨床知見について述べ,従来の報告者の臨床統計と比較してその相違点を考察している。腎癌のTriasとして今まで血尿・腫瘤・疼痛などがあげられているが,最近では診断技術の進歩で初診時の諸症状が変わつてきている点を述べている。400例中初診時に尿路症状のあつた者は166例(41%)で,残り234例(59%)はこれを欠いている。後者の内82例(21%)は臨床的な訴えのない時期に発見され,152例(38%)は体重減少,食思不進などの全身的症状を主訴としていた。このように腎腺癌の初期症状は非常に変化している。次に腎癌と肝機能低下に関する研究報告は1961年以来2,3の人々によりなされているが,著者らの症例についでは60症例に肝機能の異常が認められた。術前の肝機能検査として,Sulfobrom phthalein試験では60例中55例(91%)に異常がありPro-thrombin試験では44例(73%),γ-グロブリンでは43例(71%),血清ビリルビンでは42例(70%),アルカリフォスファターゼには36例(60%)に異常値を認めた。そして腎癌摘出後の肝機能検査は31例について行なつたところ,肝機能の回復は患者の予後判定に密接な関係のあることを述べている。

Urological Letter

前立腺部尿道に再発した膀胱腫瘍へのThio-tepa注入と60Co療法/精管結紮と睾丸固定術後の精子造成能

ページ範囲:P.309 - P.309

 この患者は,初め1959年に自分が診て膀胱高位切開したうえで電気切除した膀胱腫瘍の患者で,大きい移行上皮癌で,GradeはⅡであつた。その後の11年間に20回の再発があり,その度毎に経尿道的電気切除あるいは焼灼をした。そのうち2回は膀胱高位切開を必要とした。
 あまり頻回に再発するので,1969年にサイオテーパ60mgを20mlの滅菌水にとかしたものを1週に1度膀胱内に注入し,2〜2.5時間そのままにさせておいた。1970年3月に行なつた膀胱鏡的検査では再発はみられなかつた。

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外国文献

ページ範囲:P.335 - P.336

THE JOURNAL OF UROLOGY Vol.104, No.4, October 1970
American Urological Association and Medical Care Crisis. D.J. Jaffar. 489
Doctor and Government.R.O.Egeberg. 494

内国文献

ページ範囲:P.337 - P.338


 小児腎機能検査概説,特集・腎炎およびネフローゼ,小林昭夫:小児科臨床,24;(1),5,1971.
 腎生検の適応の意義,特集・腎炎およびネフローゼ,和田博義・他:小児科臨床,24;(1),18,1971.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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