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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻5号

1971年05月発行

雑誌目次

図譜・345

巨大なる後腹膜腫瘍(ホジキン肉芽腫)の1例

著者: 井川欣市 ,   門野雅夫 ,   宮岸武弘

ページ範囲:P.352 - P.353

 患者 相沢某,37歳,男子,自衛官。
 主訴 右側腹部腫瘤。

図譜・346

Virilizing Male Hermaphroditism

著者: 河村毅 ,   和久正良 ,   北川龍一 ,   岩動孝一郎 ,   松本泰 ,   徳江章彦

ページ範囲:P.354 - P.355

 患者 21歳,戸籍上女性,事務員。
 主訴 外性器異常。

図譜 膀胱鏡アトラス・5

特異的膀胱炎

ページ範囲:P.358 - P.359

綜説

後天性尿道狭窄

著者: 多田茂

ページ範囲:P.361 - P.367

はじめに
 尿道が正常範囲以下に病的に狭いかまたは拡張性が消失している状態を尿道狭窄という。
 男性尿道はその口径の大きさについても個人差があり正常範囲が広いといわれている。また各部位によりその口径の大きさにも差をみとめるが一般には次のような常識的な数字がBurns & Thomp-sonによつて記載されている。
meatus 21〜27pendulous urethra 27〜33bulbous 33〜36prostatic urethra 45vesical neck 36(以上の数字はFrench caliber)

手術手技

尿管口の異常症の臨床と手術—とくに尿管瘤について

著者: 東福寺英之

ページ範囲:P.369 - P.375

はじめに
 尿管下端の先天的または後天的嚢状拡張を言い,一般に尿管口は小さく,外面は膀胱粘膜,内面は尿管粘膜で被われ,その間に多少の筋肉を有する。膀胱壁内部の固着が不十分のために起こる状態と言われ尿管末端部が膀胱内に嚢状となつて突出していることが多いが,尿管口の異所性開口に際してもみられる。尿管口を嚢状拡張の中央部にみることが多いが,嚢の内下方,後面などにも存在する(第1図)。
 本症は珍らしいものではなく,Campbellは膿尿を有する小児の4%に,また総ての年齢層で膀胱鏡検査を要する患者の1〜2%にみられると言い,膀胱鏡検査時に尿管瘤が極く小さいものから間歇的に膨満,虚脱を繰り返すものもあり注意深い検索によらなければ見落すことが少なくない。

Urological Letter

成人のVUR/後腹膜腔の軟部組織腫瘤

ページ範囲:P.375 - P.375

 成人における膀胱尿管逆流現象は,在来考えられていたよりも実際には多いということは明らかである。前立腺の手術を受けた人にはしばしばVURがみられる。
 前立腺の手術を受けた人々のうち膿尿が常にあるような場合,あるいは膿尿を繰り返すときには,いつでもその原因としてVURの有無を確めるべきである。

原著

腎腫瘍(Ganglioneuroblastoma)の1例

著者: 板谷興治 ,   中村武夫 ,   山本巌 ,   梶川欽一郎

ページ範囲:P.377 - P.381

緒言
 副腎,腹部交感神経節などを原発巣とするNeu-roblastomaは小児悪性腫瘍の一つとしてよく知られているが1),同系のNeurogenic tumorにGan-glioneuroblastomaとGanglioneuromaがある2)
 われわれは腎に原発したと思われるGanglio-neuroblastomaの1例を経験したので報告する。

外傷性破裂を伴つた腎腫瘍の1例

著者: 水本龍助 ,   北村俊一 ,   河西理

ページ範囲:P.383 - P.386

緒言
 最近,道路交通事情の悪化に伴い,交通事故が頻発しており,これにつれて尿路外傷も増加している。
 われわれは,再度の外傷により腎破裂を生じ,Shock状態になつた患者で腎腫瘍が合併していた症例を経験したので報告する。

嚢腫状に拡張した異常開口尿管下端の腟外脱出例

著者: 安藤裕

ページ範囲:P.387 - P.390

緒言
 尿管開口異常症例は珍しくないが,われわれは最近異常開口をもつ水尿管の下端が嚢腫状に拡張し,これが腟外に脱出した1例を経験したので,報告する。

盲管重複尿管の1例

著者: 大矢正巳

ページ範囲:P.391 - P.394

緒言
 重複尿管の一枝が盲端に終わる盲管重複尿管(Blind Ending Bifid Ureter)は,本邦では今なお尿管憩室(Ureteral Diverticulum)の名称で報告されている例が多いが,私も本症の1例を経験したので報告する。

下大静脈後尿管の1例

著者: 東野秀雄

ページ範囲:P.395 - P.398

緒言
 下大静脈後尿管は胎生期における下大静脈の発生異常による尿管の走行異常である。本症の臨床第1例は,欧米ではKimbrough1)が1935年に,本邦では1942年山本2)がそれぞれ報告しており,以後泌尿器科学の進歩,特にレ線検査法の進歩と共に,臨床例の報告は漸増の傾向にあり,欧米ではすでに150例以上の報告がある。一方,本邦では石部ら3)は,1968年末までに75例を蒐集し報告している。
 著者も最近本症の1例を経験したので報告する。

膀胱結石症例にみられた粘液産生腺癌と尿路乳頭腫症

著者: 藤田公生 ,   藤間弘行

ページ範囲:P.401 - P.406

緒言
 膀胱腫瘍は泌尿器科領域でもつとも高頻度にみられるが,他方ではいまなお発生病理,診断,あるいは治療に関して数多くの問題をふくんでいる腫瘍である。著者はここに興味ある症例として,膀胱結石患者に尿路乳頭腫症と膀胱の粘液産生腺癌のみられた1例を示し,この症例をめぐつていくつかの問題点について述べてみたい。

巨大膀胱結石の1例

著者: 渡久地到 ,   伝法忠夫

ページ範囲:P.407 - P.410

緒言
 診断技術の向上で尿路結石は比較的小さいうちに発見,治療されるのがほとんどである。最近われわれは本邦における,200g以上の巨大膀胱結石49例中,21番目に相当する310gの巨大膀胱結石を経験したので報告する。

見聞記

アメリカの大学における研究生活—ウィスコンシン大学医学部臨床腫瘍学教室

著者: 吉田修

ページ範囲:P.411 - P.414

 1970年12月,東京慈恵会医科大学で膀胱腫瘍に関するinformalな会合があり,町田豊平助教授のお招きでこれに参加し,非常に有意義で楽しい時間をもつことができた。その時,南 武教授にお会いして色々とお話しをうかがつたが,南先生は1958年頃The University of Cali-forniaに滞在され,1970年の第58回日本泌尿器科学会の総会でアメリカでの御経験にもとついて,日本における泌尿器科専門医の教育のあり方について講演されており(日泌誌,61;841-845,1970),自然に話題が日本とアメリカの医学教育の比較などにおよんだ。南先生のアメリカ御滞在と私のそれとはちようど10年間の隔たりがあり,私も自分の経験や考えを卒直に申し上げたが,こうしたことが今回この<見聞記>を書くようにと医学書院より依頼のあつた動機と思う。
 しかし,よく考えてみると,マルコ・ポーロの「東方見聞録」は,彼らが訪れた「東方」が当時の西洋人にとつて遙かに遠い国々であり,「東方」に住んでいた人間の風俗,習慣が非常に珍しいものであつたから多くの人に読まれたものであろう。がしかし,今やアポロは3回も月世界まで行つて帰つて来る時代である。

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外国文献

ページ範囲:P.417 - P.418

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.104, No.5, November 1970
Acute Changes in Renal Size in Normal and Hypertensive Dogs.M.L.Shultz.  629
Medical Therapy of Renal Calculi.G.W.Drach,M.J.V.Smith and W.H.Boyce.  635

内国文献

ページ範囲:P.419 - P.420


 Kill型人工腎による血液透析の研究—Disequilibriumsyndromeの臨床的観察—,福重満・田戸治・松木暁・溝口勝・田中広見・仁平寛己:泌尿紀要,17;89, 1971.
 Gambro filter(disposable parallel flow dialyzer)の使用経験,川村寿一・岡部達士郎・山下奣世・沢西謙次・金津和郎・原 晃:泌尿紀要,17;100,1971.

文献抄録

前立腺肥大症凍結療法の長期予後

ページ範囲:P.420 - P.420

 著者らはすでに120名の前立腺肥大症に凍結療法を施行し,その内80名について2年以上の経過を観察して報告している。治療成績について著効群は術後の尿放出力が良く,残尿もほとんど認めず,かつ尿道鏡的にも前立腺尿道部に腺組織の残存がわずかなものか,あるいは両側葉は残つていても後部尿道がU字型に開大して排尿障害の認めない症例である。この著効群に入れられるものは80例中26例で32.5%に相当する。
 次に臨床症状が治療前とあまり変らないものをやや有効ないし無効例としたが,これに属する症例は全体の約2/3にあたる。これらの症例では臨床症状と尿道鏡所見とが必ずしも一致しないので分類しにくいが,尿道鏡所見から次の4型に分けている。第Ⅰ型は内尿道口が細いV字型をなすもので,前立腺組織がわずかに除去されたために後部尿道頂部と両側葉の間にV字を形成している。この型を呈するものは21例で26%にあたる。第Ⅱ型としては大形のV字型内尿道口を示すもので14例で17%である。これは精阜から膀胱頂部にかけて両側葉が残存し,排尿障害があり,ある程度の残尿を示す。このうち2例は残尿が高度のためTURにして12g前後の腺組織を切除して症状は緩解した。第Ⅲ型は孤立的に腺組織塊が後部尿道に残存して排尿障害となつているものであるが,この型は残尿は少ない。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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