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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻7号

1971年07月発行

雑誌目次

図譜・349

融合腎

著者: 猪狩大陸 ,   久保隆 ,   加藤義明 ,   沼里進

ページ範囲:P.516 - P.517

 患者 48歳,主婦。
 初診 昭和45年4月3日。

図譜・350

経直腸式前立腺撮影像—前立腺癌

著者: 杉浦弌 ,   長谷川進

ページ範囲:P.518 - P.519

 経直腸式前立腺穿刺撮影法による前立腺癌のX線像を供覧する。
 直腸内触診所見で前立腺癌を推察できる場合には,癌組織内への造影剤注入がきわめて困難で,X線フィルム上にはいわゆる陰影欠損として描出される。このことは前立腺肥大症との鑑別診断の根拠になると考えている。

図譜 膀胱鏡アトラス・7

膀胱乳頭腫および癌

ページ範囲:P.522 - P.523

綜説

尿道異常開口—とくに尿道上裂と重複尿道

著者: 高橋博元

ページ範囲:P.525 - P.536

はじめに
 尿道開口異常のうち,尿道上裂および重複尿道はいずれも尿道下裂に比し発生はまれであり,筆者が今日まで尿道上裂に遭遇したのはわずかに2例である。一方重複尿道も盲端に終る副尿道とも申すべきものには遭遇したが,完全重複尿道に到つてはいまだ遭遇する機会を有しておらぬ。

文献抄録

18Fluorineによる骨スキャンニング/副腎腫の胸部転移像の自然消失

ページ範囲:P.536 - P.536

 放射性同位元素による癌の骨転移スキャンニングは数年前より行なわれているが,肺癌の骨転移に対して18Fluoriueを用いてX線で不明の転移巣をスキャンニング可能であることがGalasko (1969)により報告された。著者らはこれにヒントを得て前立腺癌の骨転移巣の検索を行ないX線撮影と18Fluorineのスキャンニングとの成績を比較検討し,かつスキャン後に死亡し剖検し得たる例についても剖倹所見と比較して述べている。検査した前立腺癌症例は30例で,いずれもX線的に骨検査と18Fluorineによる全身スキャンニングを施行した。18Fluorineの2mi—crocuriesを静注1時間後にγカメラにてフォトをとる。撮影は912インチ径にして17ヵ所行ない前肢,下腿以下を除いてすべての骨をカメラに収める。
 以上の検査結果についてみると30例中レ線学的に明確に骨転移を認めたのは11例で,残りの19例はレ線的には転移は認められなかつた。

手術手技

特発性後腹膜線維症とその手術手技

著者: 南武

ページ範囲:P.539 - P.546

はじめに
 Cerneyら1)は後腹膜線維症を3つに分けて,原因の明らかなもの,疑わしい原因があるもの,まつたく原因がわからぬもの,としている。
 原因となり得るものとしては,MethysergideやErgotaminなどの長期連用2),上行性リンパ管炎を伴つた下肢の炎症3),血管性疾患4〜6),胃腸炎7,8),下肢の血栓性静脈炎や下腹部の強打による血腫,腹部大動脈瘤からの血液の漏出によるもの,胆嚢破裂とその周囲の広汎な膿瘍で,手術でいつたんは良くなつたものの4ヵ月後に後腹膜線維症のため無尿となつた例1)などがある。またHenoch-Schoenlein症候群と後腹膜腔出血後2ヵ月して起こつた5歳の少年の例7)もある。なお幼小児の例にはFarrerら9)やDuffy10)の報告もあり,またアジアカゼのあとに起こつた例11)もある。これなどはアレルギー性血管炎によると考えられており,組織像も多彩である。淋疾から長期の骨盤内炎症を起こすことは知られているが,慢性細菌性膀胱炎から後腹膜腔炎が起こる可能性もある1,12)。また胆道系の手術やWertheimの手術,盲腸後虫垂の手術後などにもおこり,潰瘍性大腸炎,尿路感染,腎周囲膿瘍のあとにも起こることが知られている13)

原著

動脈撮影による腎障害について—症例報告および文献的考察

著者: 長谷川辰寿 ,   安藤裕 ,   新美明達

ページ範囲:P.547 - P.552

はじめに
 腎動脈撮影法は周知のごとく,現在ではDosSantos1)以来の経腰法およびSeldinger2,3)改良による股動脈法が広く用いられている。著者らはSeldinger法を好んで用いているが,最近,腎盂腫瘍症例にこの方法を用いて腎動脈撮影を行なつたところ,明らかに造影剤注入による一側性腎障害の発生を経験した。この症例の障害腎の病理学的検索とその発生機序について検討し,動脈撮影による腎障害について文献的考察を試みたので報告する。

結核性萎縮膀胱に発生せる扁平上皮癌の1例

著者: 加藤弘彰 ,   原田忠

ページ範囲:P.553 - P.557

はじめに
 われわれは前立腺にまで癌が浸潤していたにもかかわらず,膀胱癌を疑わしめる臨床検査成績がえられず病理組織学的に初めて診断できた症例を経験した。同例は結核性萎縮膀胱を基礎疾患としてもち,膀胱鏡検査ができなかつたことも診断を困難にした原因であるが,他にも種々の因子が関与していたのでその経過を報告する。

アデノウィルス11型による成人の非細菌性急性出血性膀胱炎の2例

著者: 山中雅夫 ,   沼崎義夫 ,   熊坂鉄郎 ,   宮沢偵二

ページ範囲:P.559 - P.562

緒言
 アデノウィルス11型による非細菌性急性出血性膀胱炎については,熊坂ら1)が1966年3月に典型的な本症の小児同胞例を経験し,ウィルス学的検索を行なつた結果,アデノウィルス11型が本症の病原ウィルスであろうと報告したのが初めであるが,この事実はその後の症例についても確認され,われわれ2)はすでに非細菌性急性出血性膀胱炎の病因としてウィルス感染説を提起した。結局,1968年3月までの2年間に,われわれの検索した本症症例は,初めの同胞例を含め合計11例を数えたが,そのすべてにアデノウィルス11型の感染が再確認され,その成績はすでに詳細に報告され3),欧米の諸雑誌もこれを評価している4〜7)
 しかるに,これらの症例はすべて小児に限られていて,成人の本症患者にはこれまで1例も遭遇せず,したがつてアデノウィルス11型による非細菌性急性出血性膀胱炎が小児のみに限られる特殊な疾患なのか否か,成人の非細菌性急性出血性膀胱炎は病因が異なるのか否かが解決していなかつた。しかるにその後,われわれはアデノウィルス11型の感染を確認できた成人の本症症例を相次いで2例経験したので,ここに報告する。

女子尿道平滑筋腫の1例

著者: 広野晴彦 ,   能美稔 ,   高橋厚 ,   中神義三 ,   陳泮水 ,   淡輪邦夫

ページ範囲:P.563 - P.569

緒言
 尿道の非上皮性腫瘍は,良性・悪性ともに比較的まれな疾患であるが,臨床上,カルンクルス,尿道癌などとの鑑別のうえから重要なものと考えられる。
 本邦における女子尿道非上皮性良性腫瘍は池上1)(1916)の報告以来,自験例を含め38例にすぎない。

空置回腸を利用した尿路形成術の検討—第1編 臨床経過

著者: 堀内誠三 ,   星野嘉伸

ページ範囲:P.571 - P.575

はじめに
 尿管・膀胱の障害に対し空置回腸を利用した歴史は古いもので,1898年にすでにRutokowski18)とMikulicz12)がヒトの膀胱容量の拡大を目的として行なつている。また尿管の代用として空置回腸を用いたのはSchoemaker(1910)19)といわれている。
 しかし,一般的に行なわれるようになつたのは比較的新しく,抗生物質と麻酔法の進歩に負う所が多い。

小児の非特異性副睾丸炎について

著者: 西田亨 ,   平野哲夫

ページ範囲:P.577 - P.581

緒言
 幼小児の非特異性副睾丸炎に関する論文は内外ともに予想外に少ない。
 われわれは最近乳児の1例を経験したので報告するとともに,最近約7年間の当科男子小児外来患者の陰嚢内腫脹・硬結性疾患について統計的観察を行なつてみたので報告する。

Urological Letter・120

尿の溢流による仮性嚢腫

ページ範囲:P.552 - P.552

 50歳の白人の女を,後腹膜腔に嚢腫状物があるというわけで診せられた。まるで6ヵ月の妊娠のようにみえた。しかし,経腟的穿刺で尿様の液が含まれていることがわかつた。IVPでは右腎に軽度の水腎症がみられた。
 既往歴には10年前にEndometeriosisのために子宮の広汎全摘を受けたことがある。筆者が診たときよりも1ヵ月早く骨盤腟内に生じた鶏卵大の腫瘤の摘出のために開腹術が行なわれている。子宮摘出術のあと毎年の検査で,今までに1度もこの腫瘤は触知されなかつたという。その腫瘤は病理学的にはcystic endometriomaであり,術後腹部痙攣がかなり起こつたが,術後経過はおどろくべきほど良好であつたという。

学会印象記

第59回日本泌尿器科学会総会印象記

著者: 西浦常雄 ,   酒徳治三郎 ,   百瀬剛一 ,   大越正秋 ,   園田孝夫 ,   黒川一男 ,   舟生富寿 ,   黒田一秀 ,   安藤弘 ,   仁平寛巳 ,   町田豊平 ,   赤坂裕 ,   新島端夫 ,   佐藤昭太郎 ,   熊本悦明

ページ範囲:P.583 - P.590

第59回日本泌尿器科学会総会(会長・高安久雄東大教授)は4月3・4日の2日間東京・世田谷区民会館で開催された<一般講演>
尿路診断法
 山崎義久ら(三重大)は水溶性気管支造影剤を5〜10mlに空気を注入して排泄性膀胱二重造影を行ない,膀胱頸部の変化を動的に追及したが,頸部硬化症がBPHと異なつた像を呈するのが印象的であつた。伊藤弘世ら(千葉労災)も脊損患者について排尿時の膀胱頸部の態度を観察しているが,膀胱撮影はX線テレビの応用によつてその有用性を高め,器質的変化よりさらに進んで機能的変化の追及に進みつつある。藤田公生ら(国立がんセンター)は水溶性造影剤によるレリーフ造影を追加し,膀胱腫瘍の診断治療上膀胱撮影の重要性を強調した。水本竜助ら(日大)は膀胱像の外周の淡い陰影に注目し,これがIVPで1%,膀胱撮影で3%,BPHで15%,頸部硬化症で20%の頻度にみ,この排尿筋像の出現理由を組織学的に検討した。中新井邦夫ら(阪大)は家兎について諸刺激の外括約筋筋電図に対する影響を観察して報告した。福岡洋ら(横市大)は犬で動脈撮影の際に下大静脈を嚢カテーテルで閉塞すると,動脈像,静脈像,腎盂像が連続して描出され,小児腹部腫瘍への応用の可能性を追加した。小池六郎(杏林大)は膀胱鏡カメラをフィルム上により大きな像がえられるように改良し,4倍増感現像で1/15で撮影可能とし,3種の交換鏡をそろえた。

見聞記

第10回国際ガン学会総会(Houston−1970)・1

著者: 吉田修

ページ範囲:P.591 - P.593

 今回は第10回国際ガン学会総会について報告する。すでに1年が経過しており,いささか旧聞に属することとは思うが,私の知る限りでは泌尿器科関係の学術誌にこの国際ガン学会についてあまり報告されていないようであるので,この機会に書いておきたいと考えたからである。
 第10回国際ガン学会総会は,1970年5月22日より29日まで,Apolloの打上げでおなじみの米国Texas州Houston市で開かれた。第9回国際ガン学会総会が東京で開かれて4年後である。世界各国から多数のガン学者が参加し,日本からの参加者も多数あつた。演題もきわめて多く,その詳細をここに報告することは不可能であるので,泌尿器科に関係があるもののうちから選んで紹介しておきたい。今回は臨床に関するもののみをあつめ,次回に基礎的研究に関するものにつき述べてみたいと思う。

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外国文献

ページ範囲:P.595 - P.597

THE JOURNAL OF UROLOGY Vol.105, No.2, February 1971
Renal Artery Aneurysm.J.F.Rhodes and G.John-son, Jr.  155
Metabolism of Renal Cortex in Ischemic Renal Hypertension. F.B. Hendricks, J.G.White and H. K.A. Schirmer  158

内国文献

ページ範囲:P.598 - P.599


 腎髄質の機能,水電解質代謝とホルモン,酒井文徳:ホルモンと臨床,19;(4),1,1971.
 腎不全患者における腎機能の研究,第1報,慢性血液透析患者の腎機能に関する研究,川村寿一・他:泌尿紀要,17;157,1971.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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