文献詳細
原著
アデノウィルス11型による成人の非細菌性急性出血性膀胱炎の2例
著者: 山中雅夫1 沼崎義夫2 熊坂鉄郎3 宮沢偵二3
所属機関: 1国立仙台病院泌尿器科 2国立仙台病院ウィルスセンター 3仙台逓信病院皮膚泌尿器科
ページ範囲:P.559 - P.562
文献概要
アデノウィルス11型による非細菌性急性出血性膀胱炎については,熊坂ら1)が1966年3月に典型的な本症の小児同胞例を経験し,ウィルス学的検索を行なつた結果,アデノウィルス11型が本症の病原ウィルスであろうと報告したのが初めであるが,この事実はその後の症例についても確認され,われわれ2)はすでに非細菌性急性出血性膀胱炎の病因としてウィルス感染説を提起した。結局,1968年3月までの2年間に,われわれの検索した本症症例は,初めの同胞例を含め合計11例を数えたが,そのすべてにアデノウィルス11型の感染が再確認され,その成績はすでに詳細に報告され3),欧米の諸雑誌もこれを評価している4〜7)。
しかるに,これらの症例はすべて小児に限られていて,成人の本症患者にはこれまで1例も遭遇せず,したがつてアデノウィルス11型による非細菌性急性出血性膀胱炎が小児のみに限られる特殊な疾患なのか否か,成人の非細菌性急性出血性膀胱炎は病因が異なるのか否かが解決していなかつた。しかるにその後,われわれはアデノウィルス11型の感染を確認できた成人の本症症例を相次いで2例経験したので,ここに報告する。
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