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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻8号

1971年08月発行

雑誌目次

図譜・351

両側珊瑚状結石の形成過程

著者: 川口安夫 ,   伊藤芳雄 ,   上田正山

ページ範囲:P.612 - P.613

 患者 藤森某,47歳,主婦。
 主訴 腰痛および発熱。

図譜・352

経直腸式前立腺撮影像—前立腺肥大症,第2報

著者: 杉浦弍 ,   長谷川進

ページ範囲:P.614 - P.615

 前立腺肥大腺腫のX線学的描出像(撮影像)については第1報1〜4)で詳述したが,その後の研究により,いかなる場合にも同じような像が描出されるとは限らないことがわかつた。すなわち,前立腺肥大症の型(矮小型か,成熟型),あるいは肥大腺腫を構成している細胞成分(腺性成分か,線維・筋成分の多寡)により異なった像が描出される。
 今回は矮小型と成熟型の前立腺肥大症の撮影像を供覧する。

図譜 膀胱境アトラス・8

膀胱浸潤癌と異所的腫瘍

ページ範囲:P.618 - P.619

綜説

尿道下裂—外性器異常所見の表現としての意味で

著者: 熊本悦明

ページ範囲:P.621 - P.627

はじめに
 一口に尿道下裂といつてもそれが疾患名としての名称なのか,外陰部所見に対する表現なのかわからない。たとえばIntersexの外陰部所見にHypospadiasと記載されていることはすくない。これはProstatismという言葉が,前立腺肥大症,前立腺癌なども含めた排尿困難症に用いられる場合と,狭義のProstatism (Bladder neck con-tracture)に用いる場合とがあるのに似ているといえよう。
 単純に,編集部より与えられたテーマの"尿道下裂"を疾患名と解釈して綜説を書こうと考えたが,すでにその種の論文は多数あり,泌尿器科専門医の読者はすでに目を通されている方がほとんどであろうと思うと,あえて屋上屋を重ねる文を書く気にならない。

文献抄録

逆流防止のPull-through尿管移殖法/実験的睾丸奇型癌の発生と治療

ページ範囲:P.627 - P.627

 逆流防止の外科的手術の要点は,膀胱の非伸展性部位への尿管断端の固定,膀胱壁内尿管の長さが3cm以上で壁内尿管の筋層支持が充分であること,壁内尿管に狭窄のない点である。
 著者らは1939年著者の一人Pattonが行なつた尿管再移植法を改良して簡単な逆流防止の尿管移植法を紹介している。手術手技は移植尿管の膀胱近接部を剥離して膀胱斜入部で切断し,尿管口より鉗子を以て切断尿管端を膀胱内へ約3cm引入れる。尿管端固定部まで膀胱粘膜を切開し,ここに尿管を入れて尿管端は3針固定する。尿管の膀胱壁斜入部位に2針かけてこれを骨盤壁に固定し,壁内尿管の短縮防止と壁内での屈曲と狭窄を防ぐようにする。

手術手技

結核性尿管狭窄の手術療法

著者: 町田豊平

ページ範囲:P.629 - P.635

Ⅰ.結核性尿管狭窄について
 尿路結核症における尿管狭窄の治療は,尿管病巣の治療のためというより腎機能保持の手段としての意義をもつ。尿流障害の解除によつて腎機能の改善をはかり,ひいては尿路結核にたいする薬物治療の効果をあげるためである。この尿管狭窄の治療が最近とくに関心をもたれるようになつたのは,ストレプトマイシンをはじめとする抗結核剤が病巣の治癒途上において狭窄形成の原因となることがわかつてからである。
 結核性尿管狭窄は多くの統計がしめすように,膀胱に近い下部尿管に最も発生しやすく(第1図)ついて腎盂尿管移行部(第2図)で中部尿管のみに狭窄がみられるのは比較的少ない。本来尿管結核は腎結核から管腔性に波及したものであり病巣発生の危険性は全尿管区域におよぶと考えてよい。発生した尿管粘膜上の結核結節は,結核性潰瘍から筋層浸潤に進みその治癒過程で線維性瘢痕組織が生じる。抗結核剤はこの線維性瘢痕を一層促進させるものである。したがつて臨床上の結核性尿管狭窄の特徴は,比較的広範囲におよぶ連続的あるいは断続的狭窄が特微である。また抗結核剤によつて急速に狭窄形成がみられるので腎機能は絶えず注意していなければならない。

原著

交叉性融合性腎変位の1例

著者: 斉藤清 ,   井上卓治

ページ範囲:P.637 - P.645

緒言
 腎には比較的先天性奇形が,多く発生しやすいと考えられているが,この内で,交叉性腎変位は割合珍しい奇形の一つと言われており,形成不全腎の8分の1,馬蹄鉄腎あるいは骨盤腎の5分の1にみられる1)。交叉性腎変位とは,腎の発育途上において,正常の位置とは反対の側に移動するもので,変位腎からの尿管は正中線を越えて正常の位置で膀胱に開口する2)。最近,われわれは疼痛・血尿を主訴として来院した患者において,腎盂撮影により本症を見つけた。そこで経過観察中,頻回に主訴を繰返し,腎機能検査にて非変位腎は機能を喪失しているため,非変位腎を剔出した症例を経験したのて報告すると共に,本症について若干の文献的考察を加えた。

空置回腸を利用した尿路形成術の検討—第2編回腸の吸収および血液電解質の変動

著者: 堀内誠三 ,   星野嘉伸

ページ範囲:P.647 - P.653

はじめに
 第1編において著者らが三井厚生病院にて施行した33症例の空置回腸を利用した尿路形成術について,その臨床経過を中心に術式の検討,合併症などを報告した9)
 すでに空置回腸を利用した手術の発表は多数にあるが,その回腸よりの尿成分の吸収や排泄についてふれてある論文は少ない。われわれは本編で回腸における尿成分の吸収と血液電解質の変動について検索した結果を報告する。

尿路感染症に関する研究—恥骨上式膀胱穿刺による採尿法について

著者: 石部知行 ,   仁平寛巳 ,   碓井亜 ,   小田サキ子

ページ範囲:P.655 - P.660

緒言
 尿路感染症の診断および治療には膿尿の所見だけでは不十分で,結局は尿中の起炎菌を証明することが必要となり,一般にはKass12)の中間尿法が行なわれている。しかし,彼も述べているように統計的には95%の確率であり,false positiveの可能性を否定することはできない。このため真の感染症との鑑別が問題となり,特に薬物の治療効果,起炎菌の変動などを判定する場合,時に中間尿法は無意味なものになりかねない。またすべての患者尿から細菌を分離同定し,定量培養のうえそれぞれの細菌についての薬剤感受性を求めることは経済的にも,また時間的にも大きな負担である。
 このような点から採尿をより無菌的,すなわち汚染なしに行なう方法として膀胱穿刺法が行なわれてきたが,わが国ではいまだ広く用いられるにいたつていない。今回中間尿法と恥骨上式膀胱穿刺法を比較したのでその成績を報告する。

膀胱平滑筋肉腫の1例

著者: 秋元成太 ,   沼沢和夫 ,   菊地宏和 ,   近喰利光

ページ範囲:P.663 - P.667

緒言
 膀胱の悪性腫瘍は,その大部分が癌腫であり肉腫はきわめてまれなものである。Gussenbauer)が1875年に報告以来,欧米においても本邦においても少数例の報告があるにすぎない。われわれは当教室においては2例目にあたり,本邦文献上23例目に相当する膀胱平滑筋肉腫を経験したので若干の文献的考察とあわせて報告する。

陰茎海綿体造影法

著者: 三木誠 ,   入倉英雄 ,   斎藤賢一 ,   南武

ページ範囲:P.669 - P.674

緒言
 陰茎の疾患は,視診,触診,生検などにより,比較的容易に診断が下されることが多い。しかし,疾患によつては,陰茎内部の状態をより十分に知ることが望まれ,かかる場合に最も有力な検査法として陰茎海綿体造影法(corpus cavernoso-graphy)がある。May & Hirtl1)(1955)は本法を各種陰茎疾患に応用し,その診断的価値を高く評価しており,その後もMolnar & Hajos2)(1960),Hirtl3)(1962),Hamilton & Swann4)(1967)らによりPeyronie's diseaseなどへの応用が報告されている。
 最近われわれも本法を各種陰茎疾患に応用し,若干の興味ある結果を得たので報告する。

Urological Letter・121

前立腺部尿道からの原発性移行上皮癌

ページ範囲:P.667 - P.667

 前立腺部尿道から生ずる原発性癌のうち移行上皮癌は稀なものではない。筆者の経験した4例について,その治療法と予後について簡単にのべよう。4例とも上部尿路は正常であつた。また膀胱も全例が正常であつた。膀胱壁の所々から材料をとつて生検したが,腫瘍もなくin-situの変化もなかつた。そこで前立腺部尿道が原発であると結論した。
 第1例:55歳の男が排尿障害で来院した。前立腺部尿道に1つの小さいポリープ様のものがあつたので.生検に出したらGrade Ⅱの移行上皮癌であることがわかつたので,完全に切除した。その後症状がまつたく去つた。その後追跡検査のため生検に出したら,異状上皮のあることはわかつたが,はつきりした腫瘍は証明されなかつた。しかし転移のために2年後に死亡した。

見聞記

第10回国際ガン学会総会(Houston−1970)(Ⅱ)

著者: 吉田修

ページ範囲:P.677 - P.679

はじめに
 恩師稲田務先生は1964年と1966年の2回の欧米出張の記録をまとめて「世界神経旅行」(光村推古書院)という本を上梓された。先生は壺青と号し,俳人としても高名であるが,その独特な文章はすみずみまで神経のゆきとどいた,実に簡明にしてかつ優雅なものである。最近この本を読みかえしてみたがヨーロッパやアメリカの街を小柄な御身体に肩かけバッグとカメラをぶらさげて,ニコニコしながら少し肩を振つて歩いておられる御姿が彷彿として実に楽しかつた。そしてまた,その几帳面なことにもまつたく頭が下つてしまつた。「何月何日何時何分にどこそこを出発して,何時何分に目的地どこそこに着く。天気は晴で凉しい。」といつた詳細にして正確な記録。「ここで2本目のボールペンのインクが切れて,3本目を使用する。」と書いておられる。詳しく色々な事柄を記録されながら旅行されたものと思う。せつかくの御薫陶をうけながら,愚鈍な弟子であつた私はいまだにまともな文章も書けない。もつとも稲田先生のような名文は誰れにでも書けるというものではなく,私ははじめからそんなだいそれた野心はもつていないが……。また,なんでも詳細に記録しておくという習慣も身につけずじまいである。恩師のせつかくの御薫陶を無にしてしまつた天罰がいまここにあたり,この見聞記を書くにあたつて四苦八苦している始末である。

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外国文献

ページ範囲:P.680 - P.682

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.105, No.3, March 1971
Urinary Concentration, Dilution and Acid Excre-tion in Subjects with Single Kidney.O.S.Better,A.M.Nahir, C.Chaimowitz, Y.Naveh and D.Richter-Levin 323
Malposition of Renal Lobe(Lobar Dysmorphism):Condition simulating Renal Tumor.A.Charghi,P.Dessureauli, G.Drouin, G.E.Gauthier, P.Perras,P.Roy and J.Charbornneau 326

内国文献

ページ範囲:P.683 - P.684


 最近のトピックス,腎不全—BUN上昇を中心に,浦壁重治:メディチーナ,8;(5),78,1971.
 外科的に治療しうる高血圧,初音嘉一郎:メディチーナ,8;(5),128,1971.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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