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手術手技
結核性尿管狭窄の手術療法
著者: 町田豊平1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室
ページ範囲:P.629 - P.635
文献購入ページに移動尿路結核症における尿管狭窄の治療は,尿管病巣の治療のためというより腎機能保持の手段としての意義をもつ。尿流障害の解除によつて腎機能の改善をはかり,ひいては尿路結核にたいする薬物治療の効果をあげるためである。この尿管狭窄の治療が最近とくに関心をもたれるようになつたのは,ストレプトマイシンをはじめとする抗結核剤が病巣の治癒途上において狭窄形成の原因となることがわかつてからである。
結核性尿管狭窄は多くの統計がしめすように,膀胱に近い下部尿管に最も発生しやすく(第1図)ついて腎盂尿管移行部(第2図)で中部尿管のみに狭窄がみられるのは比較的少ない。本来尿管結核は腎結核から管腔性に波及したものであり病巣発生の危険性は全尿管区域におよぶと考えてよい。発生した尿管粘膜上の結核結節は,結核性潰瘍から筋層浸潤に進みその治癒過程で線維性瘢痕組織が生じる。抗結核剤はこの線維性瘢痕を一層促進させるものである。したがつて臨床上の結核性尿管狭窄の特徴は,比較的広範囲におよぶ連続的あるいは断続的狭窄が特微である。また抗結核剤によつて急速に狭窄形成がみられるので腎機能は絶えず注意していなければならない。
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