icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻8号

1971年08月発行

文献概要

手術手技

結核性尿管狭窄の手術療法

著者: 町田豊平1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.629 - P.635

文献購入ページに移動
Ⅰ.結核性尿管狭窄について
 尿路結核症における尿管狭窄の治療は,尿管病巣の治療のためというより腎機能保持の手段としての意義をもつ。尿流障害の解除によつて腎機能の改善をはかり,ひいては尿路結核にたいする薬物治療の効果をあげるためである。この尿管狭窄の治療が最近とくに関心をもたれるようになつたのは,ストレプトマイシンをはじめとする抗結核剤が病巣の治癒途上において狭窄形成の原因となることがわかつてからである。
 結核性尿管狭窄は多くの統計がしめすように,膀胱に近い下部尿管に最も発生しやすく(第1図)ついて腎盂尿管移行部(第2図)で中部尿管のみに狭窄がみられるのは比較的少ない。本来尿管結核は腎結核から管腔性に波及したものであり病巣発生の危険性は全尿管区域におよぶと考えてよい。発生した尿管粘膜上の結核結節は,結核性潰瘍から筋層浸潤に進みその治癒過程で線維性瘢痕組織が生じる。抗結核剤はこの線維性瘢痕を一層促進させるものである。したがつて臨床上の結核性尿管狭窄の特徴は,比較的広範囲におよぶ連続的あるいは断続的狭窄が特微である。また抗結核剤によつて急速に狭窄形成がみられるので腎機能は絶えず注意していなければならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら